2019年7月28日日曜日

2019/7/28北山川水系前鬼川

日時:7月27日(土)~7月28日(日)

メンバー: 高田、中村、市川、中嶌

行程: 浜松=前鬼登山道駐車場-入渓地点-本流出合-垢離取場-小宿坊-前鬼登山道駐
    車場=浜松

記録: もともとは柿其川に行く予定だったが、天候悪化で転身することに。場所は奈良は前鬼川。前日は主将のお宅に泊めていただいた。美味しい夕食を頂き、主将の高校時代のビデオを見せられ得も言えぬ気持ちになった。
朝早く車で発ち、愛知を抜け関西へ。

林道から駐車場へ。先に2パーティーほどいた。子供連れでキャンプをしていた様だ。
日差しが伸び唸るような暑さ。支度をし駐車場下から入渓する。川は冷たく水飴のように透き通っている。
足がつかないところも多い。泳いで突破する。
身長と体重の無さからかなかなか水流を抜けることができない。フローティングロープを出してもらいやっとの思いで進む。
 大滝にぶつかり、高巻く。残置ロープが据えられている。しかし直後に対岸への渡渉を強いられる。真下は滝で水量も多く、質の悪い渡渉だった。フローティングロープは残置してあったハーケンに中間支点で取り、主将が突破を試みる。じりじりと進んでいくが、流心の辺りで体が傾いた。みるみる流されロープとハーケンに荷重がかかる。しかしすぐさま復帰し、2発目で突破。中嶌、中村先輩も抜け、自分は最後のフォローだった。もう少しというところだったが、途中で体がふわりと浮き上がる。とっさに岩へとダイブし、事なきを得た。
やれやれだぜ・・・と思ったところにまたしても難所が。中嶌が奮闘して全員無事に抜ける。僕はギリギリまでへつったが、無事入水した。
その後も泳いだりしながら進み、終点垢離取場に到着。

中嶌が糸を垂らすと一匹かかった。その後リリース。
右岸側から登山道に上がり、小中坊を経て駐車場へ。


まとめ: 豪華な転身先だった。今回は渡渉技術の大切さを学べたと思う。機会があれば
練習したい。フローティングロープはちょっとした時にさっと出せて便利だった。渡渉では水の抵抗も少なくて良い。一本持っててもいいかもしれない。


(文:市川)

2019年6月23日日曜日

2019/06/23 笛吹川ナメラ沢



日時:2019年6月23日(土)

メンバー: 大井 市川 高橋 岩崎

行程: 静岡:雁坂トンネル駐車場→沓切沢橋→久渡川降下点→1350m 二俣→1420m ナメラ沢出会→1960m 遡行終了点→2050m 鞍部→1855m ピーク→1735m 地点→久渡川→沓桐沢橋→駐車場

記録:
          6時53分 雁坂トンネル手前の駐車場で身支度。
          林道を歩くのでその後でもいい。


沓切(くつきり)橋。ここから入渓。

最初の分岐。左に。

5程の滝もとい壁。登り易い。
           名に恥じぬ美しいナメが続く。

ナメに対してフエルトが効きにくい。
中ノ沢との出合い
脱渓。背の低い笹薮を抜ける。

尾根に出る。下山は踏み後と赤テープと読図。
沓切橋の下に到着。

まとめ: 読図は必要だが全体的に難易度は低い。新人も良い動きをしてくれた。
    

(文:市川)

2019/6/15~16 八ヶ岳 赤岳 リーサブ養成合宿

日時:2019年6月15日(土)~6月16日(日

メンバー:
A隊CL宮下、SL佐野、中川、田中、白水
B隊CL市川、SL蓮容、中嶌、森
行程:
15日:静岡=美濃戸口駐車場(8:00)-行者小屋(12:00)
16日:行者小屋(5:00)-中岳分岐(7:20)-行者小屋(8:00)-赤岳鉱泉(8:40)-美濃戸口駐車場(10:40)=静岡
記録:
15日:霧雨

 軽と普通乗用車の2台を借りて赤岳への登山口である美濃戸口まで車を走らせた。9人参加の合宿で定員数ぴったりの移動は膝にザックを抱えての乗車になり、快適度は低かっただろう。悪天候なのは予測済みであったが土砂降りの雨の中を移動中、渡渉もできずに撤退かな?と考えていたが駐車場まで行くと雨は鳴りを潜め、何とか登れる雨模様であった。
八ヶ岳山荘の軒下で準備中
水量は多いのか?
南沢から登り始めた。カッパが暑いくらいだ
新入生も現在地を確認し整置を行う
沢を登っていく。石も濡れていて歩きにくい
行者小屋のテン場
 正午くらいにテン場に到着し、この日の行動予定が終了。運転疲れか2年男子は夕食までお昼寝タイムを満喫。初めてのテン泊の子も居り、テントの設営やセオリーなど手間取っていたがそれは経験を重ねてもらいたい。
 夕食はシェフのミートスパゲッティなるものを頂いた。ゆで汁が残らない素晴らしき水加減で味も良かったが、量が足りない人もいたかもしれない。
 就寝中に馬鹿でかい雷鳴が一発だけ響いたがとても恐ろしく感じた。
おや…?めんのようすが……?

16日:小雨 強風
 3時半に起床し朝食を頂きながらその日の方針を決定した。本来の行程では赤岳横岳硫黄岳と南八ヶ岳を縦走する予定であったが、天気の状態を勘案した結果、赤岳の頂上までのピストンを行うこととなった。


 恐ろしいことに地図の読み間違えから取り付く尾根が見えておらず沢を遡行しすぎ雪渓の残る場所まで登ってしまった。さすがにこれはルートを間違えているなと思い一度テン場まで戻ってみると沢の方向にロープの規制線や尾根には赤テープがついており明らかに見逃しのルーファイミスをしてしまっていたことが分かった。
 小雨ほどの天気で薄暗く、足場も悪く足元にばかり注意がいってしまっていたことが主な原因であると考えている。地図読みと地形読みが正確であると思い込んでいたためコンパスも正しい方向だと過信してしまいミスに気付くのが遅れてしまったということも考えられる。
 時間がかかってしまったが文三郎尾根に乗れる場所が分かったので気を取り直して登って行った。低気圧の通過後で天気図が西高東低の気圧配置をしており、森林限界を越えると風が強く吹き込んできた。

 雨の影響で鉄階段は滑りやすく、体はもっていかれそうなほどの風を受け、視界は明かず、体感温度は氷点下に近かった。そのため中岳の分岐までは登ったが、これ以上は危険が過ぎると判断し引き返しを決めた。




 行者小屋に戻り赤岳鉱泉まで抜け、北沢から美濃戸口駐車場まで無事に戻ることができ、確かに安堵することができた。

まとめ:

 初めておおよその新体制の2年生と新入生での山行を行うことができた。ピークを踏めなかったのは残念ではあったが、当初から予想されていた悪天候のなか山行を行うことや道迷い、撤退を決めるなど、CLとして良い経験を積むことができた。
 自分も歩き方はまだまだだが、それでも恐いと思う歩行の仕方をしている人が多くいたこともあり、登っている最中はいつ撤退の判断を下すかを常に考えながら歩いた。ぜひ山行回数を重ねてしっかりとした危険性のない歩き方を体得してほしい。
 新入生にとっては大変な山行であったと思うが今回の経験を活かせるように何が足りなかったなどを2年生も同様に再度考えてみてもらいたい。

(文:宮下)

2019年5月10日金曜日

2019/5/3~5 北アルプス岳沢周辺 奥穂南稜・雪上訓練(残雪合宿)

日時:2019年5月3日(金)~5月5日(日)

メンバー:
南稜隊CL高田,SL若月
前穂隊CL大井,OB小林さん,橋倉,市川,田中,中嶌,宮下,森
参加OB:分部さん、西田さん、真達さん、青池さん、小林さん
行程:
3日:静岡(2:50)=沢渡駐車場(8:10~40)-上高地(9:10~9:45)-岳沢小屋(13:10)-小屋周辺(雪訓14:05~16:40)
4日:
奥穂南稜隊:岳沢小屋(4:14)-南稜取り付き(4:45)-トリコニー1峰(5:45)-南稜の頭(7:30)-奥穂高岳(7:40~7:52)-吊尾根最低コル(9:50)-(前穂高沢)-岳沢小屋(11:15)-小屋周辺(雪訓14:10~16:20)
前穂隊:岳沢小屋(4:50)-(奥明神沢)-前穂高山頂下200m程(9:13)-(奥明神沢)-岳沢小屋(14:05)-小屋周辺(雪訓14:10~16:20)
5日:
岳沢小屋(6:20)-上高地(8:20)-沢渡駐車場(9:10)=静岡(19:40)

記録:

3日:晴れ 但し風強し

大井が長距離ドライブデビュー戦。
部分開通した中部横断道無料区間を利用しつつ、夜の空いた道をひたすら北に向かう。
だいぶ黒くなった八ヶ岳を見送り、塩尻峠に差し掛かると後立山の北部まで見通せる北アの大絶景。
日本アルプス初めての森に山の名前を教えなどしていると沢渡に到着。
世紀の大連休とあり混んでいるかと思いきや、それほど混んでいない。
東北・北海道など遠くに遠征しているのかな?
毎度のことながらタクシーのドライバーさんと交渉し、バスより安く上高地へ。

トイレ、体操、体調確認を済ませたらいざ岳沢へ。
しっかり体操。注目を集めていました


河童橋のところで一旦止まって概念把握


樹林帯内でも比較的大きなデブリが横切っている。雪崩のリスク管理は難しい


雪が繋がっており沢沿いになんとか行ける


コブ沢からの大雪崩。デブリがすごい。


ザック二個持ち。体力の衰えを感じ悲しい
GW直前~GW前半に暖かい雨、雪、気温低下と雪の状態が不安定だったようで、
樹林帯内での比較的大きな雪崩跡、コブ沢からの大雪崩跡などデブリが凄かった。
樹林帯内でも悪条件が揃ってしまえば、規模の大きな雪崩が発生するという良いサンプルを見させてもらった。
コブ沢の大雪崩については岳沢小屋のブログでも触れられている。
https://www.yarigatake.co.jp/dakesawa/blog/details/1262/
沢沿いに出てしばらくしたところから橋倉のペースがガクッと落ちる。
1年以上山から離れていた影響のように思う。少々無理やり誘った節があったので、後ろめたさからザックを預かる。

いつもよりだいぶ時間は掛かりながらも岳沢小屋に到着。
ここもGWにしては空いており、3つのテントを広々張らせて頂けた。

初日の雪上訓練は雪上歩行(ツボ足・アイゼン)を行った。
雪山初めての田中・森の飲みこみがよかった反面、雪山何度目かの2年生部員の方が危うげだった。
雪上歩行での重要項目をめっっっちゃ単純化すると
①足裏をなるだけ全部使う(接地)!
②左右の足の間隔開く!
これに集約される。「かかと近づかない」「腰引けない」…
気を付けることを言い始めるとキリがないが、上の2つの原則は常に意識してほしい。
この2つをしっかり守った歩行ができていれば、およそ良い歩行になっていると思う。
雪訓中
2年生への雪訓指導後、上級生でスタンディングアックスビレイの研究をした。
Q.ピッケルの埋める向きは横か縦か(体が向く向きは斜面下方向か横向きか)
横派:アイゼンでスリングを踏まなくてよい
縦派:斜面上方向の確認もできる為、落石などへの対応が可能

Q.そもそもロープを通すビナにスリングを介する必要は無いのではないか。
シャフトにカラビナを直接かければよいのではないか。
メリット:必要装備が減らせる。スリングが無くなった長さ分、より体の真下で引かれるようになる。
問題点:シャフトに掛けるカラビナの向きによってはカラビナ・ピッケルに負荷がかかる。
カラビナの型によっては適さない。スリングが衝撃加重を多少和らげてる説(スリングは伸びがないけど、でも…)

夕飯は、鶏塩鍋。水菜、白菜がきのこの出汁を含んだスープで浸潤し、とても美味だった。
2年生

4日:晴れ

新月前後とあり、星空が美しい朝3時に起床。
我々奥穂南稜隊は行程が長いこともあり、一足先に出発。
南稜取り付きまではデブリが悪さをし、アイゼンを履いていると歩きにくい。
雪面が少しでも緩んでいればアイゼンを脱ぎたいところ。
南稜の取り付きは、扇沢大滝の左側尾根を左側から回り込んだところから。
雪が少ない年だとシュルンドが大きく、取り付くのが難しいらしいがそんな難しさもなくクライムオン。
南稜取り付きの少し上でハイマツが出ているところが少しあるが、それを越すと気持ち良い雪壁が続く。
トリコニー取り付きまでは休憩できるような緩斜面はほとんどない。
トリコニー手前に1箇所10m程と短いが垂直に近い雪壁が出てくる。
雪庇も少し出ており、状況によっては難しいところだと思う。
ここでは唯一ロープを出した。
ハイマツ帯を抜けたところ


乗鞍・焼岳 モルゲンロート





トリコニー取り付き下の垂直に近い雪壁


若月と前穂


1峰・2峰間リッジ




奥穂高岳山頂 素晴らしい展望で迎えてくれました


ジャンダルム方面
トリコニー1峰は岩の間を縫って易しいクライミング。2峰は一瞬で終了する。
1峰・2峰間のリッジは扇沢側に雪庇が出ており、コブ沢側をトラバースしていく。
リッジの厚みは1m無く、スリルがある。
ここを抜けると南稜の頭まで傾斜は緩む。
奥穂高岳山頂は穂高岳山荘方面から来た人たちで賑やか。
峻抜な槍ヶ岳に始まる穂高連峰は山へと心奪う魔力がある。
南稜の頭辺りまで戻り休憩を入れ、甘くないという吊尾根に向けて気を引き締め直す。

吊尾根は雪が繋がり、雪庇の出ていない部分は稜上を行き、
稜上がいけない時は岳沢側を巻いていく。
なるほど。難しいセクションが長く続くようなところは無いのだが、一歩だけ悪いといった場所が点在する。
陽が高くなり雪も腐っており慎重に進む。
吊尾根を前穂高まで抜ける予定であったのだが、
吊尾根最低コルから前穂高沢へのトレースを見て自分たちもこちらへ降りていくことに。
始めこそ広い沢なのだが中間部以下は広くない沢で、落石・雪崩があると怖い場所だ。
実際、中間部に差し掛かった時、ソフトボール程の落石が空間を切り裂くような凄いスピードで飛んで行った。これを見て2人の歩調は早まった。
沢の下山は早い一方、単調で飽きる。飽きると歩行が雑になり易い。注意しながら岳沢小屋まで下山した。

午後、前穂隊の帰りを待って雪上訓練を行う。
項目は
・雪上支点の構築・強度実験(ボラード・スノーバー縦/横埋め・デッドマン)
・雪上歩行再確認
・弱層テスト・弱層評価方法

青池さんと合流し夕飯のカレー。
市川が持ってきた不思議な色の魔改造じゃがいもを除いて、とても美味でした。
吊尾根から涸沢のテント村をのぞむ


前穂高沢へ下降




5日:晴れ

天気よく名残惜しいが下山する。
しっかり体操


最後にみんなで




河童橋まで下山


また来ます

まとめ:
初心者が含まれる前穂隊が傾斜のきついダイレクトルンゼを超えて前穂高山頂直下200mまで行ってしまうというヒヤリハット事案があった。
事前計画の段階では、今回前穂隊に参加したメンバーは更に2グループに分け、技量・経験が足りない者は岳沢周辺での散策・訓練の予定となっていた。
前日討議の結果、全員奥明神沢を登り、傾斜のきつくなるダイレクトルンゼ付近で隊を分け技量・経験が足りない者は下山することとなっていた。
だが実際には隊を分け下山することは無かった。
このような判断に陥ってしまった原因として
①引き返しタイミングについての共有認識の曖昧さ
②山頂まで行きたいという隊員意志を優先してしまった
③下山時の危険が予測しきれていなかった
④現役部員とOBでリーサブを組んでおり、隊員力量の適切な評価ができていなかった

下界でのリーダーと、山中におけるリーダーで最も優先すべきことは違う。山中におけるリーダーが最も大切にすべきことは、パーティーの安全管理。
自身の判断特性を客観的に把握し、誤った判断を起こさないために何に気を付けるべきか再確認が必要だ。

(文:高田)