メンバー:CL髙田,SL若月,装備L大井,食料L中村,杉山,橋倉,山本,岩城
行程:
17日:静岡=土砂崩れ箇所手前(畑薙第一ダム10.5km手前)(7:30)-白樺荘(9:05)
18日:白樺荘(2:20)ー畑薙第一ダム(3:10)-聖沢登山口(8:10~9:45)-出合所小屋跡(10:55)-1580m付近(12:45)
19日:1580m付近(7:20)-ジャンクションピーク(14:50)-2320m付近(15:30)
20日:2330m付近(8:00)-2450m付近(9:50)
21日:2450m付近(9:20)-白蓬の頭(10:55~11:15)-2600m付近(12:00)
22日:2600m付近(6:30)-奥聖岳(8:00)-前聖岳(8:35)-奥聖岳-山頂直下岩場(9:25~10:05)-2600m付近前泊幕営地(11:45~12:50)-ジャンクションピーク(14:45~15:00)-出合所小屋跡(17:55)
23日:出合所小屋跡(15:00)-聖沢登山口(15:55~16:05)-白樺荘(19:55~21:15)
24日:白樺荘(6:45)-土砂崩れ箇所手前(畑薙第一ダム10.5km手前)(7:55)=静岡
記録:
今年度の部目標であった、厳冬期聖岳東尾根に行って参りました。
牛歩の如く、少しずつ少しずつ標高を上げピークを踏むことができました。
17日:曇のち雨
寒冷前線の通過に伴い昼前から雨が降る予想。
初日からテントを濡らすことに戸惑い出発を一日遅らせることも考えたが、
少しでもキャンプ地を進めたいということで決行。
岩城の110Lザックもパンパン |
土砂崩れ現場 |
土砂崩れの影響で休業中の白樺荘だが、なんと聖平小屋の大島さんがいらした!
この後雨が降ること、トイレが利用できる、水が利用できるということで
駐車場で幕営させて頂くことに。
1年生は白樺荘にある本や漫画を読んだり、2年生はテントで駄弁ったりしながら過ごした。
途中でトップ(ラッセル)を若月・杉山・山本のグループに交代。ガシガシ進んでいきます。さすがのラッセル力!
晩飯はマックスバリューで買ったハンバーグとコロッケ。
雨は夜半まで続いた。
18日:曇
沼平にも一台も車が無くひっそりとしている。この辺りで橋倉が遅れる。
1時半に起きる。朝飯は明るくなってから摂ることとし、テントをしまい出発。
空は曇っており、星は見えない。
畑薙第一ダムにて |
前日の雨が凍ったようで風が吹き抜けるような場所は道全面がスケートリンクのように
なっている。大井はここで転倒し眼鏡が故障。山本も転倒の危機をガードレールに助けられる。慎重に慎重に
駐車地点から約30kmの林道がようやく終わり、聖沢登山口でラーメンを作り朝飯とする。
聖沢登山口から出合所小屋跡までは夏道。ここも凍結に気を付けながら登っていく。
出合所小屋跡辺りから常に積雪があるようになる。
出合所小屋跡から夏道を外れ、尾根にのる。
1580m付近に尾根を南側にずれたところに夏はヌタ場となっていそうな広い平坦地を
見つけ、本日はここで行動終了。
初日の雨で濡れたテントやテントマットを風にあて乾かす。
夕飯はトマト煮込み。ぺミカン肉が合いいい感じ。
19日:晴のち曇
出合所小屋跡辺りから常に積雪があるようになる。
出合所小屋跡から夏道を外れ、尾根にのる。
出合所小屋上部(1450m付近) |
1580m付近に尾根を南側にずれたところに夏はヌタ場となっていそうな広い平坦地を
見つけ、本日はここで行動終了。
初日の雨で濡れたテントやテントマットを風にあて乾かす。
夕飯はトマト煮込み。ぺミカン肉が合いいい感じ。
乾かす |
4時起床が寝坊し4時半過ぎに起きる。人数の多さに甘え、アラームをセットしなかったのが迂闊であった。
急ぎ朝食をとり準備撤収出発するが、出発が予定より40分遅れる。
本日最初のトップ(ラッセル)は大井・岩城のグループ。2人グループながら奮闘。
まだまだ余裕の表情 |
いい笑顔 大井 |
橋倉 |
中村 |
山本・若月 |
橋倉・中村・岩城のペースが落ち、後部がトップと離れてしまう。途中で注意。
橋倉は軽い吐き気を訴えるが、その他高山病の兆候が見られないため注視しながら進む。
2000m辺りから積雪が一層増える。途中でトップを高田と交代。
身長が182cmある私だが、所によっては首のあたりまで埋まりながらラッセル。
埋まりながら 大井 |
なんて言ってくれるようなラッセル狂が増えてないかな~
ジャンクションピークより100mほど登ったところで行動終了。
底を掘り下げ快適な平坦な幕営地ができる。
天気図を取り、翌日以降の荒天下での行動指針を討議。
寒冷前線の通過は早くとも正午以降であると予測されたため、
行動打ち切り最終時刻を正午とし、朝の天候・隊員の状況で再度判断ということになる。
かぼちゃシチューを食べる。うまうま!
体調不良者がいること、全体的に疲れが見えることから翌日の起床を5時とする。
20日:曇のち風雪(静岡市:暴風警報)
朝は小雪がちらついている程度で風もまだなく、空気が変わった感じもなかったため
前日決めた指針通り行動することに。トップは大井・高田。
赤テープが隠れそう。 |
場所をみつけ底を1m程掘り下げ、テントを張る。
午後になると風が強まり、雪も本格的に降り始めた。
後まで語られることになるであろうキムチーズ鍋事件… |
あっという間に雪が積もり、テントが埋まっていく恐怖を感じた。
寝る前にはテントの周りに膝上高さの堀を掘り埋まることを防いだが
翌朝にはその堀もすっかり埋まるほど雪が積もった。(降り始めから7,80cm)
そして、この日に関してはもう一つ記録に残さねばならないことがある…
「キムチーズ鍋事件」についてだ。
チーズが約1kg、そして水の量に対してあまりに多いキムチ鍋の素…
減らないキムチーズ鍋…
頑張って食べたのであるが、
日中に摂取していた水分量が少なかったことも相絡まって
髙田、若月、中村が脱水症状に陥った。このメニューに関しては反省せねばならない。
この事件と除雪作業の影響で寝るのが10時前となってしまった。
また、翌日は白蓬の頭周辺以降には進めない関係で行動が短い予定なので、
起床を6時とし回復に努めることとした。
21日:曇のち晴
朝起きると風はあるが雪は止んでいる。
若月・杉山トップ。雲もどんどん流されていき青空に。
青空に樹氷が映える |
ふっじさーん! |
岩城は終始、コースサインが樹木に引っかかるのと格闘してました |
白蓬の頭 赤石岳をバックに |
もちろん僕らの目標の聖も
聖と美しいシュカブラ |
大井と聖 |
天気は良いが風が強く、止まると寒い。
白蓬の頭より15分程聖岳方面に歩いた樹林帯内に幕営。
ここでもテントが隠れるほど底を掘り下げ、快適な幕営地となった。
明日の午前中は移動性高気圧に覆われる予報。
聖アタックの行動指針を打ち合わせ、豚汁を食べ早めに寝る。
22日:晴のち曇
天気は最高。風も昨日より弱くなっている。
条件の最高さに興奮する自分を落ち着かせ、各確認・体操を念入りに行い、いざ出発。
富士山と日の出 |
聖モルゲンロート |
ペースもよく、予想より早く進む。
髙田 |
山頂直下、下山時懸垂下降使用点 |
山頂への最後の登り |
山頂直下の危険個所は登りに関しては手足丁寧に決めていけば問題なく通過することができた。上部で一部岩が露出していた。
登頂の瞬間 |
奥聖岳登頂 |
一年間目標にしてきた厳冬期聖岳。そして冬の3000mの稜線を歩き、その素晴らしい景色を望んでいることに達成感と感動と様々な思いが押し寄せてきて胸が熱くなった。
聖岳 3013m |
下山時、山頂直下のリッジの雪が柔らかく、所々露岩していることから特に一年生の
通過に不安を覚え懸垂下降で通過する。
支点構築はスノーバーとピッケルで行う。8名ということもあり、通過に時間が掛かった。
確実な支点構築、各人のロープワークのスピードアップは今後の課題だろう。
下山は杉山のアイゼンが外れたことに気づかず少し戻った以外には順調に進み、
通過に不安を覚え懸垂下降で通過する。
支点構築はスノーバーとピッケルで行う。8名ということもあり、通過に時間が掛かった。
確実な支点構築、各人のロープワークのスピードアップは今後の課題だろう。
山頂直下リッジ 懸垂下降中 |
山頂直下リッジ 下部より見る |
雲海を見ながらの下山 |
正午には幕営地まで戻ってくることができた。
翌日は低気圧・寒冷前線の通過で午前中は確実に動けないことが分かっていたので
なるべく下まで降りたい。
下山は楽なもので、尻セードで遊びつつみるみる標高を落としていく。
ジャンクションピーク時点で15時前であり、2泊目の1580m付近まで降りることに。
するとジャンクションピークから南向きの尾根に入った瞬間、カチコチのクラストに変わった。数日前、首程までのラッセルに苦しめられたところだ。
「これが行きだったら随分と楽だったのに…」と思いながら、滑落しないよう注意しつつ
アイゼン装着する。
尻セードを楽しむ山本 |
中村 |
この辺りは行きに比べ明らかに雪の量が減っている。しかし、凍結しており滑る人が続出したので滑った回数を数えさせ滑ることを抑制する。
無事、出合所小屋まで降り牛丼を食べそそくさとテントに入る。
テントに入ったと同時に雨が降り始める。
23日:雨のち曇
雨は夜の間一時雪になったようで朝起きると積雪が増えていた。
雨が降っているので9時前まで惰眠を貪る。
テント内は水たまりが出来たりで雨はほんとに嫌だ。
トランプなんかをやり時間を潰していると昼過ぎ雨が止む。
一年生のテントは結構な浸水だったようで、雨が止むなりテントの外で装備を乾かしていた。
装備を乾かす一年生 |
シュラフを絞る山本 |
出合所小屋跡 |
聖沢登山口 |
林道途中何か所かあった土砂崩れ |
雪の押し出しなんかも何か所か |
お風呂を溜めて待っていてくれた。本当に毎度毎度ありがとうございますm(__)m
そして井川ダムの工事の関係で夜間は道路が通行止めになっているという話を伺い、白樺荘でもう一晩を過ごす。
24日:晴
エンディングにふさわしい清々しい青空。
白樺荘の管理人の方、大島さんによくお礼をしてから、出発。
土砂崩れ現場 |
ここを超えると駐車地点まですぐ。往復60kmの林道。よく歩きとおしました。
静岡のMARK ISでバイキングに行き死ぬほど食いました。
オフショット
岩城 馬鹿三の一人 |
橋倉 馬鹿三の一人 |
馬鹿三(一年生) |
まとめ:
去年の1月。どんな山岳部にしていこうか。何を目的に何を目標に僕らは山に登るのか。
そんな議論の結果の目標が「厳冬期聖岳」。
その当時の自分たちにとっては途方もなく高い目標だった。
この一年間この目標に向けて個の技術レベルの向上、体力の底上げに取り組んできた。
この決算合宿に向けての準備も2か月前から始めた。
特に2年生は意識を高く持ち努力してくれた。もちろん1年生も必死にしがみ付いてきてくれたと思う。
もう一つ合宿成功の大きな要因があると思う。個のレベルの高さではなく、1,2年生合わせた「パーティー力の高さ」が秘訣であったと思う。この部のよい雰囲気はそのままに来年度新たな新入生を迎え、更に進化した静大山岳部の活動ができるよう励んでいく。
そしてこの静大山岳部だからこそできるような「冒険ある登山」を来年度も追求していきたいと思う。
(文:髙田)
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