2023年7月29日土曜日

2023.07.29奥美濃 板取川水系川浦谷川 海ノ溝谷 遡行

日時:7月29日(土)

メンバー:蓮容,高田(OB)

行程:
29日:静岡=川浦渓谷駐車場(9:30~10:00)-入渓(10:15)-海ノ溝谷出合(10:30)-2m滝(10:45)-巨釜の滝(11:40)-3mCSの滝(12:40)-川浦渓谷駐車場(15:20)=静岡


群馬や埼玉では40℃を越える所さえ出ているような本格的な暑さ。
あの奥に海ノ溝が

ってなわけで、沢登りに行ってきました。

記録:
せっかくの高田さんとの沢登りのため、ゴルジュと泳ぎとシビレる沢をチョイスし、奥美濃の海ノ溝谷へ。名前からすでに満足させてくれそうな気配が漂います。
この谷の遡行区間は1kmちょっと。直線距離なら500m。そのくせグレードは4級ほど。。。ミジカシい系なようで、どんな核心が待っているのかワクワクしながら向かいます。

高田さんは残業続き、この3日間の睡眠時間は併せて6時間ほどとかいう大人社会の闇を垣間見ながら、すき屋の朝食と仮眠を経て駐車場へは10時ごろ。山中でもすでに気温は30度近く。
この気温、いつもなら不平不満たらたらですが今日に限っては最高です。

高田さんは寝不足だろうがなんだろうが常に元気です。
沢の前なら多分地球滅亡前日でも元気です。

今回は時短のため、荷物は1つにまとめリード空荷で遡行しました。

この日は他に1パーティ海ノ溝に入るようで、ここで挨拶を交わしました。

1号橋を渡りすぐの左岸から踏み跡を辿り、最後は懸垂15m

降り立ちました

入渓はすぐにできましたが、河床はヌメヌメ。
岩の色からしてもう嫌らしい気配が漂うほど。注意して歩きます。
全国的には晴れ傾向が続いていましたが、この辺りは連日激しい夕立があったらしく水量は特別少なくはなっていないようで嬉しい!?限り。

泳ぎ&出合

出合ました
降りたらすぐに泳ぎポイント。そこそこ長くそして深い。きれいな水を早速堪能します。
そしてまたすぐ海ノ溝谷出合が見えてきます。
本流左岸からヌメる岩をへつって侵入しました。

第一の核心
出合の滝を越えるとすぐに第一の核心。
蓮容リードで右岸を泳ぎとヘツりのミックスで突破。
それなりにクライミング力が必要でした。
時短のため高田さんを左岸側から強引に引き上げましたが、とんでもない水圧を顔面に浴びかえって大変そうでした笑

右岸は水中からだと厳しい?

本当に溝のようなゴルジュが続きます

ゴルジュゴルジュ

ヌメヌメで這い上がるのが大変(苦笑)

第一の核心後は、しばらく平和な区間が続きます。
とはいっても泳ぎはちゃんとあり、ヌメリにも気を使いながら。
しかし、素晴らしく見事なゴルジュが途絶えることなく続きます。普段なら興奮しながら無駄泳ぎや無駄水線突破をしていたことでしょう...。
しかし、今回は2人とも本能的に消耗を避けるルート取り。緩むことのないゴルジュがそうさせたのせしょうか。

巻いて温存しながら…

ゴルジュゴルジュゴルジュ!!



本当に海のような色をした溝

その溝の下にもさらに深く刻まれた溝!

まだ半分も来ていませんが、感動の連続でした。
青い水、水中深くまで及ぶゴルジュ、、、ここまででも来た甲斐があるというものでした。
次の核心までは癒しな区間が続くため、さくさく進みます。
谷の内部は外の猛暑とは無縁で、ずっと谷底の水に浸り体も冷えてきたころ、第二の核心となる大釜を持つ滝に到着しました。

この釜の前は多少開けており、セーブポイントな感じ。
行動食を体に入れつつ体温を戻します。

登攀が核心とのことで、ここも蓮容リードで行かさせていただきます。

準備体操、体温を戻して...


まずへっつてみますが...?

結局飛び込んで水際から


気持ちのいい滝でした

最初はヘツりを試みましたが、ホールド甘く断念。飛び込んで滝の右側からフリーで突破しました。離水はややパワーを要しますが、一手上に出せればガバが連続。滝の横というルートも相まって爽快なセクションです。
離水がやや大変だったので時短のため、カムでお助けを設置。1~2番が効きます。



登ったあとは水流を横切って終了。沢っぽくて映える写真が撮れます(笑)。
流心のフリクションは良好ですが、増水時は要注意かもしれません。

その後すぐに水路を持つ小滝が現れます。
高田さんが泳ぎにかかりますが、突破できず。
表層は素直な流れですが足は奥のCSに吸い込まれる感じがしたそうで、水中の流れはかなり複雑になっているかもしれないため要注意です。
高田さんでもダメな泳ぎは人類には不可能な泳ぎ。瞬時に巻きを決めました。

これは高田さんでも突破できず

左岸ルンゼ脇から巻きます。

巻きは歩いて降りられます。ヌメリ注意。

そしてそれからすぐに...。

❕ ハスイがなにか見つけたようだ。

最終核心3mCSが現れます。
高田さんのトライ

青い水、ハングし狭まったゴルジュ、灰色のCS,CS裏に隠された滝とそのホワイトウォーター...。最高に威圧的で神秘的な空間が待っていました。
最初、リードを譲っていただきますが、圧倒的水流とホワイトウォーターの前にあと一手が届かず...。10トライぐらいしたでしょうか...?断念。
高田さんに委ねます。

そして、さすがの高田さん!水流に真っ向から立ち向かう超圧倒的泳ぎで数トライのうちにCSに到達しました。(人類の出力じゃねぇ!!)
その後、CS下からハンマー投げを試みていましたが投擲は苦手であることを悟ったようで、カムを活用しCS上へ。本日一番の核心に対し、さすがの突破力でした。

他の記録を参照しても、ボイルが激しく取り付きまで完全にホワイトウォーターでした。
(それに真向勝負って...)


CS上から。...いかにもヌメリそうです。

その後はCSから側壁を直登したのち、トラバースして滝を越えます。見るからにヌメっていて落ちればCSの裏側の洗濯窯へ。本日一番の精神的核心ですが、高田さんの迫真の泳ぎを見せていただいた以上、私も働かなければなりません。
手が届く範囲のフットホールドをタワシで丹念に磨き、ハイステップを決め登ります。悪いのは最初の一歩だけで、一歩無事にこなせばあとはガバ。落ち着いて登れば大丈夫です。
直上した場所に残置があったため、ありがたく使わせていただきビレイしました。

核心CSの滝。ただまあ意外と落ちても即死系ではないような。

無事核心をこなし、ここからは脱渓点へ向かうのみ。
とはいえ、ゴルジュはしばらく続くため、完全には気を緩めずふざけず進むことを確認しながら。。。


とはいきませんでした。
残った区間はご褒美タイムというべきゴルジュ。
深青色の水路、ちょうどよい釜を持つ小滝、美しいスラブ滝…。
封印していた無駄泳ぎ、無駄水線突破をフルバーストで遊びまくり、最後まで充実の遡行でした。



??

????

!?!?!?

ゴルジュが緩んだ瞬間、一気に夏の空気へ。
無事に異空間から脱出できたことを感じながら、すぐの所にあった適当な尾根から脱渓しました。



まとめ:
海ノ溝は、短いながらも見どころが多く、というか区間全てが見どころのような素晴らしい渓谷でした。全国的な猛暑の最中、震えながら遡行できたのは贅沢という他ありません。
渇水していないならば泳ぎも高強度にこなす必要があるし、登攀力も必要で、要素ごとのバランスが取れた非常によい真夏の遊び場です。
ただし、ある程度の実力がないと水圧の強さやなんてことない場所でのヌメりにより、補助があっても突破が難しい場所もあります。一緒に行ける人を選ぶのが唯一の難点でしょうか。

しかし、こういった総合力が試される沢は非常に楽しいことを再認識しました。
これからも是非いろいろな所での遊び相手をしてやって下さい!
(文:蓮容)

2023年7月18日火曜日

2023/7/16~18 北岳バットレス 第4尾根主稜登攀

日時:7月16日(日)~7月18日(火)

メンバー:蓮容,増地,鈴木

行程:

16日:静岡=奈良田駐車場=広河原―白根御池小屋―下部岩壁偵察―白根御池小屋

17日:白根御池小屋(3:00)―大樺沢二俣(3:10)―ピラミッドフェース取付(4:15)―第4尾根主稜

   (10:00)―北岳山頂(14:30)―北岳肩の小屋(14:45)―草すべり分岐(15:30)―白根御池小屋

   (15:45)―広河原(18:35)

18日:広河原=奈良田駐車場=静岡


記録:

今夏の個人的目標であった北岳バットレスの登攀へ蓮容さんと行ってきました。


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16日:天候 晴時々曇り


今日は白根御池小屋にテントを張り、岩壁取り付きへの偵察の予定。
晴れ予報ではあるが、暖湿気が流れ込む影響で発雷リスクは高め...ということで始発である5:30の広河原行バスへ乗り込むべく2:15に部室集合。x+1回目となる奈良田を目指す。


天気のよい3連休ということもあり、とんでもない量の車が停められていたがなんとかねじ込む。危ない危ない。

いざ広河原へ

右手負傷中の鈴木もリハビリがてら御池小屋までのお散歩へやってきた。本山行の影の立役者である。
広河原へ到着し出発するがこれまたとんでもない量の人間で登山道は大渋滞であった。泊装備と登攀具の詰まったザックが重くしんどい。ストックは持ってないのでエアストックで何とか頑張る。

白根御池小屋 着

3人テントのフライを間違えてしまいダサテントが出来上がってしまった。すみません反省してます。

ダサっ

テントを張り終え3人で取り付きへの偵察へ向かう。大樺沢二俣分岐を左に進み、400mほど急登を上がる。

雪渓が出てきた

目の前にあからさまな岩峰が見えるがあれだろうか?

C沢とD沢の中間稜付近

どうやらここから登山道を逸脱するようだ。悪場が予想されるため鈴木をここで残し、蓮容さんと先へ進む。中間稜かD沢のどちらから登るか迷ったが、D沢から登った。ガレ沢で💩も多数落ちておりなんともいやらしい。3級です。

踏まれて潰された💩もありました(ハスイ)

途中で行き詰まったため、右へトラバースし中間稜に取り付くと明瞭な踏み跡に合流できた。どうやら中間稜から行くのが一番楽そうである。急登にあえぎながら進むと明日の目標であるピラミッドフェースが近付いてきた。



ピラミッドフェース取り付き

バックには池山吊尾根と鳳凰三山



雪渓のために軽アイゼンを持ってきていたが使う場面はなかった。左右一面に、そして遥か上まで続く岩壁の様相はまさしく要塞と呼ぶに相応しい。これを明日登るのかと増地はたじろぎである。

いい感じの岩陰を見つけ、明日の登攀具を全てデポし、身軽となって中央稜を降る。今日は日が進むにつれどんどん荷物が軽くなっていくのでありがたい笑。

登山道まで復帰し、待機中の鈴木を探すためにインディアンコールを飛ばすとOBの大井さんからコールが返ってきた。大井さん!?
どうやら大井さん達もバットレスへ向かうらしい。今日に登攀を始め、4尾根主稜の取り付きでビバークするようだ。メールか何かで自分たちがいることを知っていたようで、何回かインディアンコールを飛ばしていたらしい。ちなみに鈴木はそのインディアンコールに釣られて下の方へ下山して行ったそうだ。大井さん...(びっくりして写真を撮るのを忘れていました)
明日挑戦するバットレスに大先輩の人たちもいらっしゃるというのは心強いものである。

大井さんとお別れし、そそくさと下山する。御池小屋に戻ってきた時点でまだ14時前。夕立する気配もなくありがたい。

暇なのでねるねるねるね作ります

今日の晩ご飯はビーフシチュー。
個人山行ということでお楽しみが豪華

ふーん、リッチじゃん

AI生成画像みたいだな...

非常に楽しい、充実した時間でした。


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17日:天候 晴


2時に起床しマルタイ棒ラーメンを作る。水が少なくつらかった。やはり水をケチるのは良くないと一年の頃から思っているはずなのに何故こうなってしまうのか。ベーコン250gはしっかり食らいました。
落石が怖いので一番乗りで取り付きへ至りたいが、自分たちより早めに出発したパーティがいるようである。急いで支度し3時に御池小屋を出発する。

荷物も軽いので軽快に高度を稼ぎ、先行パーティにも追いついた。まだ辺りは暗かったが昨日の偵察通りに迷うことなく歩を進める。

一番乗り出来そうで蓮容さんもこの表情である

登山道を逸脱し、中間稜から取り付きへ向かう。

デポしていた登攀具を回収し、

ピラミッドフェース取り付きへ。

鳳凰三山から日の出が!
日の出を見るのは久しぶり

快晴の中、登攀開始


1P目 蓮容さんリード
ブッシュ帯手前でピッチを切る。逆層っぽく、少し岩が濡れているので嫌な感じであった。

残置は適度にありますが、カムも使いました。(ハスイ)

2P目 増地リード
短いブッシュを抜け、スラブ横の草付きを上がってみるが合っているのかどうか分からない。自信がなかったので蓮容さんを引き上げ、バトンタッチし上がってもらう。どうやらこちらで合っていたようだ。

3P目

3P目 増地リード
草付き混じりのフェースを左上する。横断バンドへ出た。

横断バンドにて

4P目 蓮容さんリード

ここで迷う。自分たちは横断バンド上にさらに階段上の脆いバンドがあるという認識でいたのだが、それを見つけられない(もしかして写真上の所がそれなのか、、?)。横断バンドを進んでいくとCガリー方面まで抜けてしまい、一度戻ってきた。

蓮容、帰宅

左から攻めるのではないかと左上を試みるも、上部のホールドが悪そうで進めない。本来このピッチはⅢ級のはずであり、そんなに悪いホールドが来るわけがない。ここが下部フランケの1ピッチ目だったのだろうか?結局、懸垂下降で蓮容さんは戻ってきた。増地にバトンタッチし、再度横断バンドからルートを探す。

しかし、見つからない。
ルートが崩落してしまったのだろうか?それともブッシュと草付きで隠されていたのだろうか?真相は壁の中である。

後日、人から聞いたり記録を探したりしたが、やはり結構悪くルートも分かり難いらしい。
やはり真相は分からず。。。リベンジしたいですね。(ハスイ)

タイムリミットもあるので、横断バンドをそのまま進みCガリーへ。当初の予定であったピラミッドフェース〜第4尾根継続登攀を断念し第4尾根主稜単体で登ることがここで決定した。

一方その頃鈴木はアイス食ってました

ヤレヤレである

第4尾根主稜の取り付き方は様々であるが、今回は横断バンド〜Cガリー〜ヒドンスラブを経由し取り付きへと至った。

Cガリーはフリーで登る。足場は良くない
フリーというかただのガレ。ちょい面倒です。(ハスイ)

ガレの大斜面

ヒドンスラブ。濡れている

上部から

蓮容さんはヒドンスラブを先にフリーで登ってしまった。自分もフリーで取り付くが、スラブ中盤で恐怖から過呼吸になってしまい結局ロープを出してもらった。高林だったら気絶して死んでいただろう。

下からは特に支点も見えず、短いしごく簡単そうなので時短を兼ねてさっさと登ってしまいました
(一応一ヵ所だけ残置があったような)。うーん、こうなるとは想定外でした。反省点です。(ハスイ)


色々大変だったがようやく第4尾根の取り付きへと至る。まだメインルートはこれからだと気を引き締め直す。


第4尾根主稜登攀開始
5P目 蓮容さんリード

クラックから易しいスラブを登る。出だしの足がツルツルだがいいクラックだった。クラックが終われば後は大優勝のクライミングである。下部岩壁はブッシュと草付きでロープの作業等が非常にやりづらかったがようやくクライミングらしく(?)なってきた。

お手本のようなダブルロープ振り分け

6P目 増地リード

白い岩のクラックを登る。このピッチでピラミッドフェースのルートと合流した。

増地はアホ程ランナウトしながら登っていきました。ヒドンスラブでのアレはなんだったのか...。
私的にはこのランナウトの方が壊れて見えました(笑)
増地の恐怖心のツボの把握は難しいですね。。。(ハスイ)

段々とガスってきた

7P目 蓮容さんリード

三角形の垂壁から緩傾斜のリッジを辿り、マッチ箱の懸垂下降点へ。ロープがかなり重くなってしまったらしい。

この三角形の垂壁、面白かった

リッジを辿る

8P目 マッチ箱から懸垂下降

左のコーナーへ20mの懸垂下降

今からこれを登るらしいが正気か?と思いました
このあたりから暑くて沢ノボリーとしか考えられなくなっていました。ありがたいガスでしたね。(ハスイ)


9P目 増地リード

残すはあと3ピッチ。スラブからカンテ上のクラックへ。2ピン目のランナウトで行き詰まり、再び過呼吸になりかけるが、薄カチを全力で握り締め強引に突破した。
この時蓮容さんにいくつか暴言を吐いたらしいが全く覚えていない。暴言はひどいと思います(すみません)。

彼にクライミング中声掛けすると大抵暴言が返ってきます。
なみだがとまらない😿(ハスイ)


ある意味思い出のピッチとなった

10P目 蓮容さんリード

カンテ〜枯れ木テラス〜脆いナイフリッジを辿り城塞ハング手前まで。右側のルンゼはルンゼと呼ぶには亀裂が大きく、崩壊が進んでいるのを感じた(と蓮容さんが言ってました)。いつかマッチ箱自体もC沢方面へ崩落してしまうのだろう。


素晴らしいロケーション


2010年の崩落の爪痕が残されている

ナイフリッジはガバでそれほど怖くはない

いよいよ最後の城塞ハング

11P目(最終) 増地リード 

第4尾根最後の核心となる城塞ハングである。今まで蓮容さんに助けてもらってばかりということもあり、最後のリードを譲っていただく。チムニーに腕を挟みながらホールド、スタンスを探し、少しずつ体を上げていく。腕が疲れるので体で突っ張りながらレスト。3日前ぐらいに蓮容さんとクライミングJAMで半日間リード壁の練習をしたが、あれがなかったらヨレて落ちていたかもしれない。何が言いたいかというと、感謝感謝ということである。

ハングを超えわずかにトラバースするとキャメロットの1番が決まり安心。そのまま右上しハイマツのブッシュ帯でピッチを切る。蓮容さんを引き上げ、グータッチをかわす。

喜びに浸りたいが時間がない

最終ピッチ終了時点で14時である。広河原〜奈良田へ帰るバスは16:40が最終便。それまでに、山頂をとり、下山しなければならない。登山道復帰を急ぎたいが、最終ピッチで力を使い果たした増地はふにゃふにゃな登りで遅れる。

登山道復帰の瞬間

間も無く、北岳山頂へ。2年生の9月以来の北岳だが、喜びもひとしおであった。

北岳登頂

滞在時間2分で下山開始。こっちのほうが辛いかもしれない。

肩の小屋

草すべり分岐

15:30までに白根御池小屋に到着できればまだ希望はあるということで全力で降り始める。15分で草すべり分岐に着き、このまま行けば今日中に帰れると自分を鼓舞する。はたして増地は間に合ったのか?








無 理 で し た \(^o^)/



草すべり中盤からまったくペースが出なくなってしまい、足元おぼつかなく御池小屋で動けなくなってしまった。全身のしびれもあり、軽度の熱中症になっていたと思われる。orz...

というわけで今日中の下山が不可能になってしまい、広河原での幕営が決定した。鈴木には先に広河原まで降りてもらっているので、広河原まではいかなければならない。水を飲み、レーションをかじり、30分ほど爆睡しなんとか回復しました。

グッタリ

鈴木が予めテント撤収し、自分たちの荷物をまとめてくれていたおかげで休息後、スムーズに撤収出来た。感謝しています。

というわけで広河原まで下山。

一方その頃鈴木は石のアートを創作してました

日焼けした体を冷やし、

余った飯達で晩酌

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18日:天候 晴


今日は帰るだけ。
北岳を貫く飛行機雲

帰りのバスは貸し切り

すき家で朝ごはんを食べ、温泉に浸かり、
のんびりと帰路につきました。


まとめ:

感想:増地
まずは目標としていた北岳バットレスに行って帰ってこられて嬉しい。ここまで共に攀じてくださった蓮容さんには感謝である。思えば2年生の秋、マルチピッチができるようになったら北岳バットレス行ってみたいね、と蓮容さんと話をしてから2年近く経ってしまったが、こうして実現に至ったのは感慨深いものである。
結果としては全ピッチOS、ノーテンだったが決して楽な道のりではなく、厳しかった。全ピッチ総じてランナウトする場面が多く緊張を強いられ、ルーファイも難しかった。山の総合力が求められているということを肌で感じた山行であった。しかしロケーションの良さやルート取りの美しさは抜群で、これが日本でも随一の人気を誇るクラシックルートだということには納得である。色々な意味で忘れられない充実した山行になりました。

感想:蓮容
北岳バットレスといった大きな岩場でのクライミングは長く目標にしてきただけあって、楽しいものでした。また、バットレスそのものでなくこの登攀へ向けてフリーのグレードを上げたりマルチを練習したり、クラックを始めたり...その過程で得た経験自体が遊び幅を広げてくれたなあと思っています。
ただ、途中からずっと
「暑い」「水」「さわ」「サワ」「沢」「沢!」
これに思考を支配されていました。
3000mといえども、この時期の直射日光のあたる岩は水属性の天敵です。
当分は沢に逃げようと決意する山行でした。


(文:増地)