2025年6月28日土曜日

2025/06/28 八ヶ岳 稲子岳南壁左カンテ

日時:6月28日(土)

メンバー:蓮容(M2),増地(M2)

行程:
12日:みどり池入口駐車場(6:20)―しらびそ小屋(7:25)―稲子岳南壁取り付き(8:30)―稲子岳(11:25)―にゅう(12:05)― みどり池入口駐車場(14:15)


記録:

部室に1時に集合。静大前のファミマで院の同期に出くわし奇妙な視線を向けられるスタートとなりました。
小川山でクライミングをする後輩を廻り目平で下ろし、そこから1時間ほどかけてみどり池入口駐車場に向かいます。この土日、山岳部では山行計画が4つ同時に進行するという、時間の有効活用の極地みたいなことをやっていました。その一本がこれです。


駐車場ですでにアブがうるさい


1時間ほど歩きしらびそ小屋に到着。みどり池から南壁が綺麗に見えます。


北八ヶ岳にこんな岩壁があるとは


しばらく緩やかな登山道を歩き、

ここでバリエーションへ

急登を上がる。テープもぼちぼちとあります。

左カンテ取り付きへ到着。ぱっと見登りやすそう。


最初は増地がリード。左カンテと言いつつ初手は溝を登ります。残置支点やカムが決まる場所も多く落ち着いて登れました。気づきませんでしたが2ピッチ分まとめて登ってたそうです。終了点は綺麗なハンガーボルト×1+古びたリングボルト×2でした。


2ピッチ目終了点にてビレイ


爆裂火口と天狗岳が特等席で見られます。八ヶ岳にいるとは思えない静けさ。天気、気温もよくまったりとした気分でした。なお雨男の蓮容さんですが僕とアルパイン行く時は必ず晴れるという都合のいい特性を持っています。

時たま別パーティが登ってる声が聞こえましたが位置は同定できませんでした

3ピッチ目へ


蓮容さんがリード。ここも難しくないですが浮石、動く石は多いのでパーティ間の伝達は大事かと思います。

景色最高!


一段上に終了点があったのですが、ロープを引き上げる際にザレ石を落としたくなかったそうで蓮容さんはその手前でピッチ切ってました(カム3つだった記憶)

時間もあるのでここで大休止。
よもぎ餅って美味しいですよね

一段上がり、

4ピッチ目へ


4ピッチ目は増地リード。右のワイドクラック、左のハンドクラック両方行けます。今回は右から行きました。終了点はハンガーボルト×2でした。

4ピッチ目終了点より

そこからはコンテに切り替え、

少し上がってから正面の岩塔を左に巻く。

トラバースすると段々とザレてきます。

不安感が出てきたのでスタカットに切り替えました。


セルフが取れずザレた斜面でのビレイだったので内心ヒヤヒヤしてました。実はトラバース中にハンガーボルトがあったのですが進めそうなので進んじゃいました。ハンガーボルトから岩を直上したほうがラインとしては美しいと思います。ただ「自由に登りたい」と事前に言ってた蓮容さんとしてはまあ、よかったのでは

もう1ピッチぐらい登れるかなと思っていましたが上まで抜けてしまい「あれ、」となったものの無事登攀終了です。

楽しい登攀でした

踏み跡に合流し少し歩くと、

稲子岳山頂へ。標識がイカしてますね


僕と蓮容さんは「いなこ」岳と呼んでましたが、この日の夜に若月さんと小林さんと喋った際に「いなご」岳と呼んでいたのでそっちが正しいかもしれません。

稲子岳からは北上し、にゅうへ向かいます。ここも一応バリルートで道迷い遭難が多いそうですが基本尾根を外さなければ問題ありませんでした。

苔むしていていい雰囲気です

最後はやや強引に突っ切りました

登山道復帰。意外と歩きで疲れた

にゅう山頂


にゅうも取れたので下山します。4年前に八ヶ岳南北縦走した時は寄らなかった山頂なので図らずも取ることができ嬉しい。

1時に起床したこともあり下山中は二人とも眠気に襲われていて無言の下山でした。なので僕の(自主規制)の話で盛り上がったりして眠気を覚ましました。

途中大同心みたいな岩質の岩を見つけました。
来週菅原たちが行くそうです。頑張って🔥


14:30下山。お疲れ様でした。
この後小川山で登ってた人達と合流しお酒飲みました。蓮容さんは炎症してる右足を引きずりながら次の日ホラの貝ゴルジュへ向かっていきました。長生きしてくださいね。

今回のルート

まとめ:
稲子岳南壁左カンテはアルパイン入門として丁度いい難易度で、浮石に注意を払えば十分初心者を連れていけるルートだと感じました。そのまま稲子岳→にゅうへ縦走できる点も魅力的だと思います。程よい緊張感で楽しめました。

去年度は体調を崩してしまい、全く山に行くことが出来ませんでした。今年度は体調が回復し、蓮容さん等のお誘いもあってポツポツとですが山に行けています。こうやって健康に登山ができることが嬉しいです。

(文:増地)


2025/6/28 天竜川水系 ハンガレ沢

日時:6月28日(土)

メンバー: CL堀、SL菅原、鈴木、松田

行程:
静岡ー入渓点駐車場ー550m付近二俣ー右岸林道ー静岡

記録:
静岡を3時半に出て車を走らせること2時間半ほど。
天竜川水系のハンガレ沢に行ってきました。
入渓点の500mほど前から通行止めになってましたが、適当な場所で準備して歩いて行けるので特段問題はなし。
行ってきま〜す

砂防ダムを2個越えたところで本格的に入渓。
基本的には水線突破。初沢登りの松田も登れるラインを自分なりに考えながら突破していました。若干登攀力に不安もありましたが、全身を使って這い上がってきたので安心。

お助けひもも一度拒否られました。強いね

巻き道もそこまで悪くもなく沢への戻りやすさも良好
だいきのアグレッシブさには堀君もニッコリ菅原はひやひや......

たまに泳いでみたり

橋の手前までの核心は一個大きな滝があったのでロープを出すことに。
泳いで滝の左の岩に取り付いて堀がロープを張ってくれたので松田、鈴木はアッセンダーで登り、菅原はフォローで登りました。

写真だとスケール感が伝わらなくて残念

歩いていれば寒くは無いものの登攀待ち中に一気に寒くなってしまうため、先に登っただいきと滝の上と下で一緒に春日ダンスで体温と気持ちを高めて意を決して泳ぎに入りました。
いい終了点は左あるけど後続の抜けは右がいいなど、アッセンダーのための振られどめなど、それぞれの滝で考えることが多くありました。

え、堀君が巻くわけないじゃないですか()

その後も巻こうと思えば巻けるし、登ろうと思えば取り付ける滝が続いて各々がラインをとれて面白い感じ。

一度橋上の道路で休憩してから後半戦開始
いかにも岩魚が居そうな快適な沢歩きをしばし楽しんだ後、いよいよゴルジュへ

こういうのでいいんだよ

ゴルジュの滝1個目は左岸から巻き。

菅原先頭にまき始めたところ、堀から滝直下を見に行ってみるのひとこと。
堀君が見るだけで済ませるわけがありません。残置のハーケンを見つけ右岸の壁に一段上がってしまったもののその先はフリーソロで登れそうになくて困る。クライムダウンは出来そうにないし、カムはだいきが持っているし、ロープは堀君のザックの中...
一発殴ってやりたいもの滝をへだてているのでまずはこの大馬鹿野郎を回収することを第一に、残置のハーケンにセルフをとりロープを堀に結び、末端をこちらに投げってもらってボディビレイで滝下まで一段ロアーダウン。大人しく巻いて上がって来てもらいました。(ボディビレイとかフリクションノットとかほんとに思わぬところで使うので覚えておいて損ないなと...ありがとう雪訓ありがとう真達さん)

その先の若干悪いトラバースをこなしたりしていたら二段目に到着
ぎり足がつかないこともないけど泳ぐが吉

二段目は少し泳いで小滝の左岸からクラック沿いに登りました。
離陸(離水?)が大変でカムを決めて強引にA0しながら離陸。松田はアッセンダーでサクサク突破していきましたが、だいきが少し苦労していたのでフリクションノットで足場をつくらせて突破。初っ端のフィンガークラックを耐えて足を上げればなんとかホールドが続いている感じでしたが岩がつるつるでフリクションを信じられないのがきつい(しかしなぜか滑らない)

クラックの下が空洞で離水が大変

山ポーズが嫌いなのでされる前にシャッターを切りました

三段目は泳いで滝の右岸側のワイドクラックを登っていきます。
もう泳ぎたくない水に入りたくない太陽に当たりたい。頼む最後の滝であってくれ


心を無にして泳いで、クラックに取りつくとチキンウィングがバチ効き。岩場でもやったことない技術なのにYouTubeで見ただけなのになぜか登れる(ありがとう岳ムービーありがとう北平さん)。全身を使ってずりずり奮闘的な登攀がなかなかしびれました。
とまあ抜けてみたらその後のトラバースもよくはない。足はビリーブ手はパワー

悪いじゃねえかと心の中で悪態をついてました

上に石垣も見えます。

やることはやったし上に林道も見えるのでここを脱渓点として、飛び込んだりして雨具を少しきれいにしてみたり、沢の主と戯れてみたり
生物科の目

下山中に後続パーティーを見つけたので、静大関係者の可能性にかけて堀君がインディアンコールを飛ばしてましたが怪訝そうな顔だけを返されました。
人工林の作業道?的な道を何となく下っていくと一度民家のある綺麗な道に出ました。


民家の間を突っ切りヤマップを信じてまた山の中に入っていくと林道の跡が
ヤマップさんほんとですか?

しばしトラバースメインで歩いていくと入渓した橋のすぐ隣に出てきました
おつかれさん

バーガーキングを喰らい静岡に帰りました。大学に20時に帰ってきました。
なんと健康的でしょうか。ではおやすみなさい



…という訳にも行かず

なぜ川上村にいるんでしょうね

それぞれの家で10分のトランジットを済ませ、菅原は沢からクライミングに装備を換装し、爆速で小川山に向かい、0時前に若干宴に参加し爆睡。
菅原は朝から前嶋とマルチに、堀君は蓮容さんと沢に行きましたとさ

前嶋の初マルチ

余談ですが小川山の春のもどり雪初マルチにちょうどいいですね。
基本ボルトでカムも使えて懸垂下降2回でそこそこの時間でできてやっぱいいなと思いました。

まとめ:
今年の堀君は随分と沢に心酔しているご様子なので、ついていけるぐらいにはなっておかないとなと思う反面、自分の思考的にどうしても沢への苦手意識や不安感は拭えず......
まぁゆっくりやりますといった感じですね。ゴルジュ一段目の滝の件は堀君も反省しているようですが、その後の救出の動きはこれまでの経験や冬に身につけた経験が活きてちょっと嬉しかったり、そんなわけで総合力の世界だなとは思いました。松田は初、だいきは二回目の沢ですが楽しそうで良かったです。今度は釣りができる沢に行きたいな

(文:菅原)

2025年6月21日土曜日

2025/6/21~22 甲斐駒ヶ岳黒戸尾根 (後半組)

日時:6月21日(土)~6月22日(日)

メンバー:CL鈴木(大),SL中村,菅原,前嶋,堀,松田,大門,日比野,青島,石田,川村,村田

行程:
12日:静岡=登山口(6:30)ー七丈小屋(13:00)
13日:七丈小屋(5:00)ー甲斐駒ヶ岳(7:30)ー登山口(2:30)

記録:
今回の甲斐駒ヶ岳は前回とは違って、2つのグループに分かれて1週間ずらして登ることになった。当初は半分ずつに分かれていたが色々あって12人という大人数で登ることになった。

今回の集合は2時。駐車場対策のため早く出る。個人的には一睡もしていないので駐車場で寝たかったが、早めに出発することになった。入山前に神社を通るが、登れそうな岩が結構あって、とんでもなく美しいスラブもあった。帰ったら登ろうと決意して入山する

美しすぎて大興奮

橋を渡って登山道が始まる。今回は初登山の村田がいて、しかも前回のSLが悲惨だったのでペースには気を付けて登った。黒戸尾根は日本三大急登の一つだが、初めのほうは傾斜は強くない。むしろかなり緩いほうで、拍子抜けするほどだった。2,3時間登っていくと、急にナイフリッジのような地形が現れて、とても気持ちがよかった。

スリル満点

この後も登りとトラバースを繰り返して気持ちの良い登山道を進んでいった。登山者が多いからか、木の根の下が崩壊してハイステップになっているところが多かった。さらに道がいくつにも分岐しては合流するを繰り返しており、登りやすい道を探すのが難しかった。

みんな楽しそう

この辺りは前述したとおり寝ていないせいでとても眠く、テレポートしそうだったが何とか耐えた。七丈小屋まで残り1時間くらいのところまで順調に歩く。

登山靴ではなかなかシビアでした

最後の1時間ははしご場の連続だった。尾根もかなり細くて高度感があり、10m近くあるはしごもあった。避ける場所が少なく大人数だったので、すれ違いが大変だった。途中、村田が怖くて動けなくなることもあったが、3年生が対応してくれて歩けるようになった。七丈小屋のテン場についたが、既にたくさんのテントが張られていた。

たくさんありました

テン場についたらまだ夕飯には早いので、しゃべったり昼寝をしたりする。4時くらいから夕飯を作り始めた。今日の夕飯はカレーうどんでめっちゃおいしかった。じるerとしては1年生にカレーうどんのじるを飲んでほしかったが、飲んでくれなかった。(じるerは喜んで飲んだ。)堀さんと大樹は外で寝るらしくテント内は余裕があった。明るいうちに早めに就寝した。

一人2玉食べました

2日目は3時半に起床。ソーセージ入りの塩ラーメンを流し込む。やはりこの時間にラーメンは辛い。荷物をデポして、5時に出発。涼しくて荷物も軽いので、サクサク進んでいく。まもなく岩場が現れる。危ないので慎重に登っていく。2時間で山頂についた。クライミング好きはボルダーで遊んだ。

なかなかに悪い

ここからは下りなのでよりいっそう気を引き締めて下る。2時間ほどでテン場に到着した。撤収して10時半。昨日登ったはしご場を慎重に下っていく。

天気は最高だった

はしご場が終わって緩やかな下りになり、順調に下って行った。最後の1時間は、日比野と大門にSLを交代した。2人とも結構な速さで下っていた。2時半頃、登山口に到着。川で水浴びする者もいれば、岩に登る者もいた。夕飯は「ぼんち」に行った。今年もミックスカツカレーに挑むやつがいた。
 
まとめ:
今回、大人数で天気も少し心配だったが、よく晴れて山頂にも行けてよい山行となった。今回のテーマは岩場だった。一年生は慣れていないので、怖かっただろうし大変だっただろう。これからいろんな岩場を経験して慣れていってほしいと思う。今回SLをやっていてペースが難しいと感じた。細かく言うと、ペースの調整ではなく設定だ。メンバーが辛そうにしているとき、ペースを落としてやってあげるのは、一見当たり前のことに見える。しかし本当にそれは正しいのか。いつまでも優しくしているわけにはいかないし、少しは辛いことをしないと、体力的にも精神的にも成長しないだろう。これは、辛いときに荷物を持ってもらうかとも同じことだろう。今回の山行で、休憩中にCL(大樹)に「ちょっとは無理させたら」と何度か提案を受けた。そうしたほうがいいことは分かっている。でも僕は去年、体力の少なさでいつも辛い思いをしていたので後輩に同じような思いはさせたくない。結局無理やりペースを上げさせることはしなかった。優しくするか厳しくするか難しい議論だが、これは受け取り手の性格も関係してくると僕は思う。メンタルの強さだったり、負けず嫌いな性格であったりで、影響は変わってくるだろう。この議論に答えはないのかもしれないが、よりよいSLになるために、これからもこういったことを考えたりメンバーと話していきたい。
(文:中村)