2019年6月23日日曜日

2019/6/15~16 八ヶ岳 赤岳 リーサブ養成合宿

日時:2019年6月15日(土)~6月16日(日

メンバー:
A隊CL宮下、SL佐野、中川、田中、白水
B隊CL市川、SL蓮容、中嶌、森
行程:
15日:静岡=美濃戸口駐車場(8:00)-行者小屋(12:00)
16日:行者小屋(5:00)-中岳分岐(7:20)-行者小屋(8:00)-赤岳鉱泉(8:40)-美濃戸口駐車場(10:40)=静岡
記録:
15日:霧雨

 軽と普通乗用車の2台を借りて赤岳への登山口である美濃戸口まで車を走らせた。9人参加の合宿で定員数ぴったりの移動は膝にザックを抱えての乗車になり、快適度は低かっただろう。悪天候なのは予測済みであったが土砂降りの雨の中を移動中、渡渉もできずに撤退かな?と考えていたが駐車場まで行くと雨は鳴りを潜め、何とか登れる雨模様であった。
八ヶ岳山荘の軒下で準備中
水量は多いのか?
南沢から登り始めた。カッパが暑いくらいだ
新入生も現在地を確認し整置を行う
沢を登っていく。石も濡れていて歩きにくい
行者小屋のテン場
 正午くらいにテン場に到着し、この日の行動予定が終了。運転疲れか2年男子は夕食までお昼寝タイムを満喫。初めてのテン泊の子も居り、テントの設営やセオリーなど手間取っていたがそれは経験を重ねてもらいたい。
 夕食はシェフのミートスパゲッティなるものを頂いた。ゆで汁が残らない素晴らしき水加減で味も良かったが、量が足りない人もいたかもしれない。
 就寝中に馬鹿でかい雷鳴が一発だけ響いたがとても恐ろしく感じた。
おや…?めんのようすが……?

16日:小雨 強風
 3時半に起床し朝食を頂きながらその日の方針を決定した。本来の行程では赤岳横岳硫黄岳と南八ヶ岳を縦走する予定であったが、天気の状態を勘案した結果、赤岳の頂上までのピストンを行うこととなった。


 恐ろしいことに地図の読み間違えから取り付く尾根が見えておらず沢を遡行しすぎ雪渓の残る場所まで登ってしまった。さすがにこれはルートを間違えているなと思い一度テン場まで戻ってみると沢の方向にロープの規制線や尾根には赤テープがついており明らかに見逃しのルーファイミスをしてしまっていたことが分かった。
 小雨ほどの天気で薄暗く、足場も悪く足元にばかり注意がいってしまっていたことが主な原因であると考えている。地図読みと地形読みが正確であると思い込んでいたためコンパスも正しい方向だと過信してしまいミスに気付くのが遅れてしまったということも考えられる。
 時間がかかってしまったが文三郎尾根に乗れる場所が分かったので気を取り直して登って行った。低気圧の通過後で天気図が西高東低の気圧配置をしており、森林限界を越えると風が強く吹き込んできた。

 雨の影響で鉄階段は滑りやすく、体はもっていかれそうなほどの風を受け、視界は明かず、体感温度は氷点下に近かった。そのため中岳の分岐までは登ったが、これ以上は危険が過ぎると判断し引き返しを決めた。




 行者小屋に戻り赤岳鉱泉まで抜け、北沢から美濃戸口駐車場まで無事に戻ることができ、確かに安堵することができた。

まとめ:

 初めておおよその新体制の2年生と新入生での山行を行うことができた。ピークを踏めなかったのは残念ではあったが、当初から予想されていた悪天候のなか山行を行うことや道迷い、撤退を決めるなど、CLとして良い経験を積むことができた。
 自分も歩き方はまだまだだが、それでも恐いと思う歩行の仕方をしている人が多くいたこともあり、登っている最中はいつ撤退の判断を下すかを常に考えながら歩いた。ぜひ山行回数を重ねてしっかりとした危険性のない歩き方を体得してほしい。
 新入生にとっては大変な山行であったと思うが今回の経験を活かせるように何が足りなかったなどを2年生も同様に再度考えてみてもらいたい。

(文:宮下)

2019年5月10日金曜日

2019/5/3~5 北アルプス岳沢周辺 奥穂南稜・雪上訓練(残雪合宿)

日時:2019年5月3日(金)~5月5日(日)

メンバー:
南稜隊CL高田,SL若月
前穂隊CL大井,OB小林さん,橋倉,市川,田中,中嶌,宮下,森
参加OB:分部さん、西田さん、真達さん、青池さん、小林さん
行程:
3日:静岡(2:50)=沢渡駐車場(8:10~40)-上高地(9:10~9:45)-岳沢小屋(13:10)-小屋周辺(雪訓14:05~16:40)
4日:
奥穂南稜隊:岳沢小屋(4:14)-南稜取り付き(4:45)-トリコニー1峰(5:45)-南稜の頭(7:30)-奥穂高岳(7:40~7:52)-吊尾根最低コル(9:50)-(前穂高沢)-岳沢小屋(11:15)-小屋周辺(雪訓14:10~16:20)
前穂隊:岳沢小屋(4:50)-(奥明神沢)-前穂高山頂下200m程(9:13)-(奥明神沢)-岳沢小屋(14:05)-小屋周辺(雪訓14:10~16:20)
5日:
岳沢小屋(6:20)-上高地(8:20)-沢渡駐車場(9:10)=静岡(19:40)

記録:

3日:晴れ 但し風強し

大井が長距離ドライブデビュー戦。
部分開通した中部横断道無料区間を利用しつつ、夜の空いた道をひたすら北に向かう。
だいぶ黒くなった八ヶ岳を見送り、塩尻峠に差し掛かると後立山の北部まで見通せる北アの大絶景。
日本アルプス初めての森に山の名前を教えなどしていると沢渡に到着。
世紀の大連休とあり混んでいるかと思いきや、それほど混んでいない。
東北・北海道など遠くに遠征しているのかな?
毎度のことながらタクシーのドライバーさんと交渉し、バスより安く上高地へ。

トイレ、体操、体調確認を済ませたらいざ岳沢へ。
しっかり体操。注目を集めていました


河童橋のところで一旦止まって概念把握


樹林帯内でも比較的大きなデブリが横切っている。雪崩のリスク管理は難しい


雪が繋がっており沢沿いになんとか行ける


コブ沢からの大雪崩。デブリがすごい。


ザック二個持ち。体力の衰えを感じ悲しい
GW直前~GW前半に暖かい雨、雪、気温低下と雪の状態が不安定だったようで、
樹林帯内での比較的大きな雪崩跡、コブ沢からの大雪崩跡などデブリが凄かった。
樹林帯内でも悪条件が揃ってしまえば、規模の大きな雪崩が発生するという良いサンプルを見させてもらった。
コブ沢の大雪崩については岳沢小屋のブログでも触れられている。
https://www.yarigatake.co.jp/dakesawa/blog/details/1262/
沢沿いに出てしばらくしたところから橋倉のペースがガクッと落ちる。
1年以上山から離れていた影響のように思う。少々無理やり誘った節があったので、後ろめたさからザックを預かる。

いつもよりだいぶ時間は掛かりながらも岳沢小屋に到着。
ここもGWにしては空いており、3つのテントを広々張らせて頂けた。

初日の雪上訓練は雪上歩行(ツボ足・アイゼン)を行った。
雪山初めての田中・森の飲みこみがよかった反面、雪山何度目かの2年生部員の方が危うげだった。
雪上歩行での重要項目をめっっっちゃ単純化すると
①足裏をなるだけ全部使う(接地)!
②左右の足の間隔開く!
これに集約される。「かかと近づかない」「腰引けない」…
気を付けることを言い始めるとキリがないが、上の2つの原則は常に意識してほしい。
この2つをしっかり守った歩行ができていれば、およそ良い歩行になっていると思う。
雪訓中
2年生への雪訓指導後、上級生でスタンディングアックスビレイの研究をした。
Q.ピッケルの埋める向きは横か縦か(体が向く向きは斜面下方向か横向きか)
横派:アイゼンでスリングを踏まなくてよい
縦派:斜面上方向の確認もできる為、落石などへの対応が可能

Q.そもそもロープを通すビナにスリングを介する必要は無いのではないか。
シャフトにカラビナを直接かければよいのではないか。
メリット:必要装備が減らせる。スリングが無くなった長さ分、より体の真下で引かれるようになる。
問題点:シャフトに掛けるカラビナの向きによってはカラビナ・ピッケルに負荷がかかる。
カラビナの型によっては適さない。スリングが衝撃加重を多少和らげてる説(スリングは伸びがないけど、でも…)

夕飯は、鶏塩鍋。水菜、白菜がきのこの出汁を含んだスープで浸潤し、とても美味だった。
2年生

4日:晴れ

新月前後とあり、星空が美しい朝3時に起床。
我々奥穂南稜隊は行程が長いこともあり、一足先に出発。
南稜取り付きまではデブリが悪さをし、アイゼンを履いていると歩きにくい。
雪面が少しでも緩んでいればアイゼンを脱ぎたいところ。
南稜の取り付きは、扇沢大滝の左側尾根を左側から回り込んだところから。
雪が少ない年だとシュルンドが大きく、取り付くのが難しいらしいがそんな難しさもなくクライムオン。
南稜取り付きの少し上でハイマツが出ているところが少しあるが、それを越すと気持ち良い雪壁が続く。
トリコニー取り付きまでは休憩できるような緩斜面はほとんどない。
トリコニー手前に1箇所10m程と短いが垂直に近い雪壁が出てくる。
雪庇も少し出ており、状況によっては難しいところだと思う。
ここでは唯一ロープを出した。
ハイマツ帯を抜けたところ


乗鞍・焼岳 モルゲンロート





トリコニー取り付き下の垂直に近い雪壁


若月と前穂


1峰・2峰間リッジ




奥穂高岳山頂 素晴らしい展望で迎えてくれました


ジャンダルム方面
トリコニー1峰は岩の間を縫って易しいクライミング。2峰は一瞬で終了する。
1峰・2峰間のリッジは扇沢側に雪庇が出ており、コブ沢側をトラバースしていく。
リッジの厚みは1m無く、スリルがある。
ここを抜けると南稜の頭まで傾斜は緩む。
奥穂高岳山頂は穂高岳山荘方面から来た人たちで賑やか。
峻抜な槍ヶ岳に始まる穂高連峰は山へと心奪う魔力がある。
南稜の頭辺りまで戻り休憩を入れ、甘くないという吊尾根に向けて気を引き締め直す。

吊尾根は雪が繋がり、雪庇の出ていない部分は稜上を行き、
稜上がいけない時は岳沢側を巻いていく。
なるほど。難しいセクションが長く続くようなところは無いのだが、一歩だけ悪いといった場所が点在する。
陽が高くなり雪も腐っており慎重に進む。
吊尾根を前穂高まで抜ける予定であったのだが、
吊尾根最低コルから前穂高沢へのトレースを見て自分たちもこちらへ降りていくことに。
始めこそ広い沢なのだが中間部以下は広くない沢で、落石・雪崩があると怖い場所だ。
実際、中間部に差し掛かった時、ソフトボール程の落石が空間を切り裂くような凄いスピードで飛んで行った。これを見て2人の歩調は早まった。
沢の下山は早い一方、単調で飽きる。飽きると歩行が雑になり易い。注意しながら岳沢小屋まで下山した。

午後、前穂隊の帰りを待って雪上訓練を行う。
項目は
・雪上支点の構築・強度実験(ボラード・スノーバー縦/横埋め・デッドマン)
・雪上歩行再確認
・弱層テスト・弱層評価方法

青池さんと合流し夕飯のカレー。
市川が持ってきた不思議な色の魔改造じゃがいもを除いて、とても美味でした。
吊尾根から涸沢のテント村をのぞむ


前穂高沢へ下降




5日:晴れ

天気よく名残惜しいが下山する。
しっかり体操


最後にみんなで




河童橋まで下山


また来ます

まとめ:
初心者が含まれる前穂隊が傾斜のきついダイレクトルンゼを超えて前穂高山頂直下200mまで行ってしまうというヒヤリハット事案があった。
事前計画の段階では、今回前穂隊に参加したメンバーは更に2グループに分け、技量・経験が足りない者は岳沢周辺での散策・訓練の予定となっていた。
前日討議の結果、全員奥明神沢を登り、傾斜のきつくなるダイレクトルンゼ付近で隊を分け技量・経験が足りない者は下山することとなっていた。
だが実際には隊を分け下山することは無かった。
このような判断に陥ってしまった原因として
①引き返しタイミングについての共有認識の曖昧さ
②山頂まで行きたいという隊員意志を優先してしまった
③下山時の危険が予測しきれていなかった
④現役部員とOBでリーサブを組んでおり、隊員力量の適切な評価ができていなかった

下界でのリーダーと、山中におけるリーダーで最も優先すべきことは違う。山中におけるリーダーが最も大切にすべきことは、パーティーの安全管理。
自身の判断特性を客観的に把握し、誤った判断を起こさないために何に気を付けるべきか再確認が必要だ。

(文:高田)

2019年4月3日水曜日

2019/3/22 中央アルプス 木曽駒ケ岳

日時:3月22日(金)

メンバー:CL大井,若月,杉山,高田,市川,宮下,中嶌,中川,高橋

行程:
22日:静岡=菅の台バスターミナル(08:15)-しらび平(09:05~09:30)-千畳敷(雪訓09:30~10:50)-浄土乗越(11:45)-中岳(12:15)-木曽駒ケ岳(12:45~13:10)-中山(13:30)-浄土乗越(13:50)-千畳敷(雪訓14:20~15:30)-千畳敷(15:55)-しらび平(16:02)-菅の台バスターミナル(16:45)=静岡

記録:
1年生はこれまでに、雪上訓練を2度程富士山で実施してきたが、雪不足のためにどちらも満足にこなせたとは言い難かった。4年生の卒論などが大方終わり、時間が取れるタイミングで雪訓を兼ねて山行を実施した。
4年生が4人(大井,杉山,若月,高田)も集まったのは1年ぶりくらいではなかろうか(もう1人いるはずの4年生の存在はきにしない)。
特に杉山は就職で静岡から離れるので、これから一緒に山に行ける頻度もがくっと減るだろう…。杉山の門出を祝うお別れ山行になってしまった。

02:30に静岡の部室に集合し、03:00前には部室を出発。高田車と杉山車に分かれ発進。当初の山行計画では八ヶ岳方面に行く予定であったが、唐沢鉱泉手前3㎞程で突然路面状況が悪くなり、前進を断念。杉山車と協議の結果、木曽駒ケ岳なら、始発のロープウェイに間に合うのではないかとの結論に至り、駒ヶ根方面に転進することとなった(06:30)。
高速も利用し、菅の台バスターミナルに始発前に到着する。始発のバスには乗れたが、始発のロープウェイには乗れず、増発便が出る09:30までしらび平で待機した。
当日の千畳敷の様子
千畳敷カールを見上げる市川

最初に雪訓として弱層テストと雪上歩行の練習を1時間程行った。


弱層テストをする1年生

雪上歩行訓練の様子
10:50頃に雪訓は終了し、木曽駒ケ岳へと向かう。
八丁坂を下から見上げる
久しぶりの登山が慣れない雪山のせいか、高橋,中嶌,中川の3人はしんどい様子。
辛い時に歩行が乱れるので、そこを意識させながら登っていく。
浄土乗越に11:45到着。封建山荘付近で休憩をとった。
稜線上は風が強いかと思ったがそうでもなく、安心。
浄土乗越に到着
ギロチンで処刑される高田
休憩後、中岳を目指し出発。中岳には12:15頃到着した。
中岳ですれ違ったパーティから山頂にタヌキがいると聞き、ちょっとわくわく。
中岳からの下りでせっかく稼いだ標高を無駄にしたくないとぼやく中嶌。
駒ケ岳山頂まであと少し
12:45木曽駒ケ岳山頂到着。
天気が良く御嶽から乗鞍、北アルプスまでよく見える。
木曽駒ケ岳から見る空木岳方面もまた美しい。
山頂にて
そして山頂の鳥居付近でタヌキを発見。
このタヌキは何故山頂を目指したのか思いを巡らせる。
アルパインクライマー
山頂を13時過ぎに出発。行きと同ルートで下山。
千畳敷には14:20頃に到着する。時間もあり、富士山では満足にできなかった滑落停止訓練を行った。
雪上訓練も終わり、ロープウェイを待つまでの間、4年生と1年生に分かれての雪合戦となった。両軍とも塹壕を掘りながらの戦いとなり、第一次大戦を彷彿させる熾烈な戦いであった。結果は2勝1敗でもちろん上級生が勝った。正直雪合戦が1番疲れた。
激戦の最中カメラが捉えた1枚
15:55のロープウェイに乗って千畳敷を後にする。ロープウェイ内で話を聞くと、今年はやはり降雪量が少ないとのこと。
菅の台バスターミナルに到着した後は、こまくさの湯に入り明治亭でソースカツ丼を食べるおなじみ?のコース。静岡には12時前に戻って解散となった。



まとめ:
当初は天狗岳に行く予定であった今山行だったが、まさかのアプローチ敗退となり、転進しての木曽駒ケ岳であった。
天気もよく、楽しい登山となった。
1年生にとって初めてとなる本格的な雪山山行であったため、慣れない部分が多く疲れたと思う。今回の登山で雪山やりたいと思ってくれれば幸いである。
今後、後輩主体の部活動となっていくが、どんな山岳部になっていくか楽しみである。

(文:大井)

2019年4月1日月曜日

2019年3 月27 日~28 日 白根南嶺 笹山(黒河内岳)東尾根

日時:2019年3月27日(木)~3月28日(金)

メンバー:CL若月, 市川, 宮下, 中嶌

行程:
27日:静岡→奈良田温泉駐車場→東尾根取付→2330m 平坦地
28日:幕営地→笹山南峰→笹山北峰→笹山南峰→幕営地→東尾根取付→奈良田温泉→静岡
29日:予備日
記録:
 予め深夜の内に奈良田温泉付近の駐車場にテントを張り就寝。3シーズンシュラフで冬山を乗り切ろうとした中嶌はその寒さに驚愕しこれから2000m登ることへの一抹の不安を覚える。

朝7時に出発しつり橋を渡り付近の笹山登山口にとりつく。最初尾根を登っている最中の景色は正しく夏山の様相でありかなり暑かった。3月後半ともあり山はすっかり葉をつけ緑一色であった。
標高1603m地点で水場入り口に到達する。南アルプスの天然水を北アルプスの天然水ペットボトルにいれる市川。そういうところだぞ。
冬眠から覚めた熊だろうか?ただの土方だろうか?。イカしたザックをもっている。
標高2000m程で冬山らしくなる。段々と積雪が見られるようになった。ここでアイゼンを装着する。過去数回の雪上訓練を経て一年生はなんとかアイゼン歩行を習得した。完璧とは言えないものの着実に歩を進めて行く。
ひたすら歩を進め何とか幕営予定地に到着。標高2300m地点である。雪の上にテントを張るのは初めての経験であり疲れた体では中々大変であった。さて、冬山での楽しみの一つと言えば暖かい食事であるがチーズに脳髄まで浸した若月先輩のせいで(おかげで)魔のキムチチーズ鍋が完成する。見た目こそ橋倉先輩の故郷である極貧ルンペン収容地栃木県の郷土料理「しもつかれ」を彷彿とさせるが味は抜群である。「キビャック」と同じで見た目によらないのである。おいしいものにおいしいものを加えているのだから不味くなるはずがないと孟子も言っていた。


中嶌はプラティパスに穴が開いており防寒具がびしょぬれになっていた。緊急下山も考えられたがドライバッグにシュラフを入れていたため難を逃れた。二日目、天候がすぐれず行動開始が朝5時となる。ワカンを用いて笹山まで向かう。雪もやむことなく景色も何も見えなかったため北嶺は断念。そのまま幕営地に降り撤収。
爆速で下山し帰りは奈良田温泉を満喫する。

まとめ:
冬山に泊まるというのが初めてだったということもあり寒さを舐めていた。地面が雪なので体温をごりごり持っていかれる。さらにウンチをするときに寒すぎて尻の感覚が消えうせパンツを上げたはずなのにそれを感知できず存在しないパンツを探し続ける奇行に及んでしまった。雪があるというだけで足の疲労は並みのものではなく体力のない私は市川宮下にラッセルを任せっきりになってしまった。来シーズンはより強くなってバリバリ冬山を登れる男になろうと思った。関係ないが私はあまり疲れると黙り込み脳内で忍たま乱太郎の「勇気100%」を流し精神を安定させている。

(自由律俳句 吟者:中嶌聖朗)