メンバー:若月(CL/院1年),宮下(SL/2年)
行程:
9日:静岡ー寸又峡温泉(8:25)-千頭ダム(10:25)-寸又峡川遡行-寸又川/逆河内二俣(11:57)-逆河内/上西河内二俣(12:14)-上西河内遡行ー上西河内1000m地点(15:00)
10日:幕営地(5:40)ー上西河内遡行ー1330m二俣(8:19)ー不動岳(12:57)ー不動岳東尾根1700m地点(14:50)
11日:幕営地(7:00)ー逆河内/上西河内二俣(9:15)ー天地第一吊橋(13:40)ー千頭ダム(14:00)ー寸又峡温泉(16:40)
記録:
宮下と2人で沢登りに行ってきましたので、報告します。
最初は信濃俣河内に行こうと思っていましたが、台風の影響で予定を変更。
南アルプス深南部の”上西河内”という沢に挑戦してきました。
本山行の概念図。赤線が行き、青線は帰りです。
どこを歩いたか分かる方はかなりのマニアでしょう。
とにかく記録の少ない沢で、ついに登山体系以外の記録は見つけられませんでした。
人の入らない山域だけにアプローチや下山も含めて大変でしたが、未知の沢に挑み、充実した3日間となりました。
9月9日
車で静岡から寸又峡まで移動。
8:25 寸又峡温泉のゲートを通過。長い林道歩きの始まりです。
昼間歩く場合でもヘッドランプが必要です。
今回はひんやりしていて幸せだった。
「これなら渡渉できるだろう」とうことで、寸又川をザブザブ。上西河内の出合まで進みます。
11:57 寸又川/逆河内二俣の二俣に到着。
逆河内の方へ進み少し河原を歩けば、
写真左から流れ込むのが上西河内です。
寸又峡温泉から4時間、長いアプローチでしたが、ようやく上西河内の遡行が始まります!
しばらく進むと巨岩帯が現れ、
やがて河原に。
14:50 さらに進むと7~8mくらいの滝が出現。
右壁にホールドが続いており、ここは宮下が軽々と完登。
おそらく標高1000mくらいの地点です。
9月10日
長い一日になるだろうということで、早めの5:40出発。
最初は平凡な河原を歩いて行きます。
しかし!!
6:23 圧巻のゴルジュが出現!!
光っていて写真には写っていませんが、
奥に10m弱の斜滝、さらに奥の絶壁には50mクラスの垂直の滝が水しぶきを上げています。
「キサマら人類など相手にしておらん!」
と沢に言われているような気さえしました…
…というわけで巻きます。これが人の知恵(笑)
巻きのときに見てみると、50m大滝のさらに奥も連瀑になっているようで、大高巻きとなりました。
支尾根に乗ったところで一休み。
驚いたことに、ここに鳥居や剣の残骸が。
先程の大滝を見て、先人も自然に祈ろうと思ったのでしょうか?
8:00 古い廃道を利用しつつ沢に復帰。ふたたび平和な河原が広がります。
8:19 間もなく1330mの二俣。水量は五分五分くらいかな?
左は丸盆岳、右は不動岳に突き上げるはずです。右へ進む。
水量も半減して楽勝…かと思いきや。なかなかの渓相が続きます。
5~10mクラスの滝も連続する。
ようやく一段落。平坦地で一休みします。
結局、1330mの二俣から4つほどロープを出した滝がありました。
11:38 おそらく1800m付近の二俣。
ここも右に取り、断固として沢通しに不動岳を目指します。
水が冷たく、触れていると手が痛いほど。
いよいよ源頭の様相。沢がガレて歩きにくくなったところで、
水を補給して、左手の樹林帯に進路を変えました。
あとはこれぞ深南部名物・笹藪こぎ。
急斜面を笹藪を手掛かりによじ登ります。
稜線までもうちょい。
12:51 「着いたー!」
不動岳東の2150mピークに飛び出しました。
いや~本当長かった。
それでも不動岳からの眺めはやはり素晴らしく、しばらくゆっくりしました。
あとは不動岳東尾根を降りていく。
笹が深いところがあったり、疲れて読図がはかどらなかったり大変でした。
15:00 1700m地点にタープを張る。(宮下火おこし中)
密度の濃い一日でした。
この辺りはシカが多いようで、夜はひっきりなしにシカの鳴き声や足音が聞こえました。
9月11日
この日は降りるだけ。
ゆっくり朝ごはんを食べて、7:00出発。
地図を眺めつつ、順調に下ります。
吊り橋は壊れていて使えないので、最後はガレ場を降りて、
9:15 逆河内と上西河内の二俣に戻ってきました。
時間があるので竿を出してみると、
何と釣れた!
すぐに焚火開始!時間の許す限りじっくり焼いて、おいしく頂きました。
この一匹は深南部が最後にくれた贈り物のように思えました。自然の恵みに感謝ですm(_ _)m
結局11:50までこの二俣でゆっくりし、ようやく出発。
帰りは上西河内対岸の960m峰を越えて、天地第一吊橋から帰ります。
(行きに懸垂下降した箇所があったため、帰りは別ルートを選択)
13:40 吊橋に到着。
960m峰を越えるルートも急斜面の登りやトラバースがあり、なかなか大変でした。
あとは林道を歩いて寸又峡温泉へ戻ります。
沢靴の靴づれが二人とも酷く、顔をしかめながらの林道歩きとなりました(完)
感想:
いつ行っても充実した山行を約束してくれる。深南部がそんな素晴らしい山域であることを再確認した山行となった。また行きましょう。(若月)
今回の上西河内の遡行には様々な要素があり一番楽しむことができた沢でした。夕立に降られることもなく滝も良いところにガバがあったり、かなり好条件で沢登りを行えました。
渡渉、懸垂下降、小滝の登攀、タープ泊、火おこし、藪漕ぎ、バリエーションルートなど本当に濃密な3日間を過ごし学べたと思います。あと、ヤマメがとても美味しかったです。(宮下)
(文:若月)