2019年10月31日木曜日

2019/9/6~7 釜川右俣千倉沢

日時:9月6日(金)~9月7日(土)

メンバー:CL高田,SL市川,中嶌

行程:
6日:静岡=大谷内ダム=駐車地点(7:15~7:44)-取水堰堤(8:09)-819m出合(9:09)-三ッ釜(12:27~13:41)-(千倉沢)-清水沢出合付近にて幕営(17:18)
7日:幕営地点(8:05)-林道横断点(10:50~11:10)-駐車地点(14:30)=大谷内ダム=静岡

記録:
今後部内で沢活動を引っ張っていくであろう2年生2人を連れて、新潟県へ沢遠征。
関東の沢(白山書房)によるとグレードは4級だということでビビり気味の2年生2人と格闘してきた。
三ッ釜 下部
6日:晴のち曇時々霧雨

南の海上に台風がいることもあり静岡は曇りで雨も予報されていたが、
新潟まで来ると青空の沢日和。
静岡から車を走らせること5時間。釜川沿いの林道ゲート前に到着。
ゲート前に5台程、ゲート手前を左手に入った奥のスペースに10台程は停められそうな駐車スペースがあったが、ド平日のこの日、他に車は無かった。

準備をし、いざ沢へ。
沢への下降点を見つけるのに少し手間取った。
正解はゲート手前を左手に入った奥のスペースから延びる踏跡を辿る。
しかし駐車地点付近に何か所も赤テープが大量に付けられ踏跡のあるところがあるのだが、
何れも沢に降りていく踏跡ではなく困惑させられる。何の為のものだろう…
取水堰堤


市川「水量多くないっすか!?」


青空の元、遡行開始!




いきなり泳ぎ…!
さすがは豪雪地帯にある沢、水は冷たく、量豊富だ。
沢幅の広いところでは穏やかな流れも、狭まったところでは轟音を立て暴れている。
一方、豪雪地帯に多いというオロロやアブの姿は幸運にも見かけない。
二俣(2:1) 右俣へ
底の見えない淵をもつ小滝 右から行く


泳いで登って…
奥にCS滝 右から巻きました

まだまだ余裕そう


側壁がそそり立ちカッコいいところ。これが暗い沢だったら恐ろしい


泳いで左の溝状のところから登る
後続はロープで登ってもらう


滝上から


「やっと落ち着けるか…」「ん!?」


なかなか休ませてくれません(笑)


水中のホールドを拾いながらヤツメウナギ泳法で


ホワイトウォーターの危険、見極めを学んでもらう


水は綺麗


へつって 市川


へつって 中嶌



中嶌「先輩!ここ泳ぎで突破していいっすか?」
まだまだ沢も前半なのにゴリゴリ体力消耗するスタイルを選ぶ中嶌。
分かりやすく楽しそうなのでこちらも嬉しいが、以下のことを改めて学んでもらう
①水の流れを読む → 
・おかしな流れがある淵・釜は泳がない
・逆に反転流を利用して楽に進めることも 
②ホワイトウォーターの怖さ 
・浮力が下がる→沈む 空気を含んだ水の比重は軽くなる
・空気を含んだ水は抵抗が少ない為泳ぎづらい
・釜いっぱいに斜めにホワイトウォーターが入るような
 釜は強力な反転流が発生している場合があり危険

光をも飲み込む緑色の深い淵を覗くと稲妻の如く魚の家族が走る。
冬には雪で埋まる過酷な谷にもこれだけの命が生きることに改めて驚かされる。
三ッ釜






中嶌「ほぉーー!魚めっちゃいますよ、ここ!」


三つ釜の縁を歩く


三つ釜を上部から振り返る
決して我々を驚かすために出来たわけではないこの三つ釜。
浸食されてきた壮大な歴史を想像する。自然の造形力には毎度驚かされる。

さぁ今日の核心はここから。怒涛の滝ラッシュ!!
滝の左側から登る


ひえ~ 底の見えない淵を泳いで水線左側に取り付く


飛沫を間近に感じながらの登攀


30mロープギリギリだったので滝の高さは15m程でしょうか?
頑張る中嶌


市川「あそこ、めっちゃ魚いますね」


これも水線左側から登った。落ち口が微妙そうだったのでロープ出す。キャメロット#0.5利用


出てくる滝がみんな美しくてお腹いっぱい。


水が冷たくなってきて突っ込むのを躊躇する2年生2人


いやでも泳ぐしかないっしょ!!


メインディッシュないい滝が次から次へと出てくる。
そろそろデザート級で頼みます!!
この滝は右岸側の壁から巻くが中間部が少し悪い。

豪華な滝、淵があまりに多く、写真に収めるのを忘れてしまうほど。
市川は体重が軽いせいかちょっとした水流突破に時間が掛かる。太れ!!
後半部、2年生2人は滝が出てくるたび「これで終わってくれ!!」と神頼みしてて笑いました。

この沢、側壁に生える草木の幹が軒並み沢側に傾斜して倒れている。
(雪が多い地域特有?)
懸垂する時は支点のすっぽ抜け防止で、幹にタイオフしたスリングを支点のバックアップで取るというこれまでの沢では無い経験をした。
焚き火と市川
魔界から召喚したかのようなヤバい色の菓子を作る中嶌


予定より1時間ほど遅い17時過ぎに幕営予定地の清水沢出合に到着。
たくさん滝登ったね。2人共よく頑張った!
出合は清水沢の滝が近い関係で風が吹き寒いので、千倉沢を5分程遡行した左岸側で露営。
焚き木は市川の頑張りでたくさん集まった。
中嶌の火の扱いでよく燃え、21時過ぎまで焚火を囲んで語り合う。
濃密な1日の終わりは、天の川が横たわる美しい星空を眺めながら。

7日:晴れ




さっそく泳ぎますよ


滝右側の壁から小さく巻くように登りました


淵を泳いで中央の岩から登る


市川滑るか!?


絶好の沢日和




短い廊下も意外に流れが強い




ラスボスの滝右側からトラバースして滝の裏側を通り左の水線から登る
ロープを出していましたが、アッセンダーで滝裏通過中の中嶌が滝の流れに負けロープの伸びで水にドボン




復帰して登ってくる中嶌


やっと穏やかになりました




飛んでいるみたい


林道横断点


橋の上


想像していた林道と違う…普通にバリエーション


林道…らしいです
この日も朝からいい天気だ。ラーメンで簡単に朝飯を済ませ、いざ出発。
出発して直ぐ水に浸かるシーンがあり若干悶えながらも
順調に進んでいくと大きな釜を従えたラスボスの滝が。
高さは20mちょっとだろうか。中間部から上は傾斜も落ち
大きな問題は無さそうだが、下部の突破が核心だ。

ロープを繋ぎ滝へ。滝裏のスペースは思ったよりも狭く、
這って進む。少しでも水流に当たれば水流に連れていかれ、
滝つぼに持っていかれそうだ。
早まる鼓動を鎮めながらここを通過。後は苔で滑りやすくなっている左の水流を気を付けて辿れば滝上だ。
次は中嶌がアッセンダーで登る。
私の位置からだと核心の滝裏通過が見えないが、ここに
差し掛かったところでロープにテンションが掛かる。
恐らく水流に持っていかれたのだろう。
滝壁にホールドが無いこと、水が入り重くなったザックの
せいで上手く釜から這い出せない中嶌。
10分が経ち、補助ロープで中嶌のサポートをしようと
準備し始めていた頃何とかアッセンダーを頼りに登ってきた。
小柄な市川は上手く滝裏を通過し突破。

この滝が終わると滝らしい滝は無くなり、
太陽で照り輝く穏やかな流れとなる。
続いた登攀での緊張を解きほぐしてくれるようだった。

橋が横切る所で林道上に上がる。装備を解除し、
林道を行くが、想像していた林道とは異なった。
背丈以上の草木をかき分けて進むような感じ8割、
2割ダート道。
道がこれだけ自然に還りつつあるのに、沢を横切る橋が
あれだけしっかり残っていたことに驚く。

予想よりも時間は掛かりながらも駐車地点に夕方前には
到着し今回の沢旅は完了。

まとめ:
滝登攀、泳ぎ、焚火、釣りと沢の良さを存分に味わう
ことのできる良沢だった。
これから沢活動を引っ張っていくであろう今回の2人は、
あまり難しい沢に連れて行けておらず、沢のシビアな面を感じてもらう為にも易しくは無い沢に連れていきたいという思いがあり、それを先ずは達成でき良かった。
2人からも今後の沢に繋がるような良い反省が聞かれ、今後の彼らの沢旅紀行が楽しみだ。

私自身の反省は、ロープ装備についてだ。今回30mシングルロープ(8.9mm)と20m補助ロープ(6mm)を持って行った。滝の登攀、懸垂下降は30mシングル。お助け、廊下の泳ぎ突破、短い難所に補助ロープを使用した。補助ロープの使用は少し掴むくらいのイメージでいたが、テンションを掛けるなどハードな使い方をしてしまった。初心者を連れていくときにはお助け用でもテンションを掛けることを前提としてロープ選定をせねばならないと思った。

市川感想
多分今までで一番大きな沢登りだったと思う。そして初めての沢泊だった。今回は全てフォローだったが、それでも滝を登るのに苦戦した。こういった長い沢でこうもこなす滝の数が多いと、一つ一つにあまり時間をかけてはいられない。迅速かつ丁寧な行動が必要だと感じた。基礎的なロープワークは勿論、滝の登攀力もつけていきたい。 沢泊自体は楽しかった。行動範囲も広がりそうだと思う。

中嶌感想

初の沢泊だったが、泊まり云々の前に沢の難易度がたかかった。一度アッセンダー登攀で滝から落ちた時は実力の無さと水の怖さを改めて感じた。しかし沢での焚き火はとても楽しく、水もかなり綺麗で自然に溶け込むような思いがした。帰ってから沢靴を見たがよくこれで行ったなと自分を褒めたくなった。この沢を通して精神的に成長できたと思っている。

(記録文:高田)

2019年10月30日水曜日

2019/8/20~25 北アルプス 槍ヶ岳(夏季本合宿)

日時:8月20日(火)~8月25日(日)

メンバー:CL宮下、SL中嶌、市川、中川、森、田中、佐野、蓮容、池田

行程:
20日:静岡(9:30)=高山駅(15:23)=新穂高温泉(19:50)
21:新穂高温泉(4:20)ーわさび平小屋(5:20)ー鏡平小屋(8:34)ー双六小屋(10:30)
22:双六小屋(4:50)ー硫黄乗越(6:02)ー佐俣乗越(6:54)ー千丈乗越ー槍ヶ岳山荘

23:槍ヶ岳山荘ー頂上(12:52)ー山荘
24:槍ヶ岳山荘(5:15)ー槍沢水俣乗越分岐(6:56)-ババ平(7:42)ー徳沢(9:37)ー上高地(11:15)=松本
25日:松本=静岡

記録:
 遅まきながら記録を書くが、台風と熱帯低気圧と前線と低気圧諸々が本州に接近してくる悪天候が目に見えている天気図をしり目に2019年度の夏季本合宿がスタート。本来の計画では新穂高から双六、西鎌東鎌を通って大天井、常念、蝶ヶ岳を巡る壮大なルートを歩むはずだった。が、様々な内的、外的要因から東鎌尾根には向かわず上高地へエスケープ。普段はなかなか来られない北アルプスの地で学ばなければならないことをまざまざと見せつけられた山行だった。
 この合宿に参加した各々の感想を後記する。
槍の穂先にて
20日:晴れのち曇り
 9時半に静岡駅を出発し高山を目指す。初めての長期合宿に期待が大きいのだろう笑顔に溢れている。6時間ほど電車を乗り継いで高山駅に到着。ここで各自夕食と明日の朝食を購入。微妙な時間なこともあり飲食店はまた営業していなかったのでコンビニが唯一の頼りになった。そのあとバスに乗車し新穂高温泉へと移動。バスの運転手に怪訝な顔をされながらも初日の目的地に到着し明日から早いのでさっそく駐車場でビバークを決行。数時間後に霧雨のような雨が降ってきたので軒下やバス停に各々移動し睡眠をとることとなった。8月も後半なためか電車ではあまり立たずバスは空席が目立っていた。
 静岡駅
 高山駅
新穂高温泉
21日:曇り時々雨
 質の悪い睡眠を終えてから双六小屋に向けて歩き始めた。雨は降るか降らんかどっちつかずな状態であまり北アに歓迎されていない雰囲気を感じた。登りが急になってきたあたりから雨も本降りに変わり滑らないように気を付けながら歩みを進めた。
 濃密な雲が空に蓋をしている
8:34  鏡平小屋
 晴れていたら綺麗な湖面が見られたのだろうか
視界不良な天候
10:30 双六小屋に到着。このときは霧雨だったが風が強く吹きっさらしのテン場での設営はかなり大変で誰かが持っていないとテントが飛びかねない状態だった。ペグを打ち込んで固定したので飛ばされることはなかったが次第に強くなってきた雨がテントの防水加工を無視して内部に水滴を落とし水たまりを形成するほどにまで至った。設営を終えた後は寝不足と普段より重たいザックによる疲れからか夕食まで仮眠をとり、夕食を食べ明日に備えてまた眠りについた。風でテントの形が大きく歪みフライが飛ばないか心配な夜であった。

22日:雨強し
 朝まだ夜が明けぬ内から行動開始。朝食を食べ、テントを片し双六小屋前で準備運動を行い 4:50 出発。歩き始めから少ししてから雨が強く降り始めその中を移動。
 本日の行程は双六小屋から西鎌尾根を通って槍ヶ岳山荘へ。
 4:53 まだ暗くヘッテンの明かりが頼りになる。
 5:29 椛沢岳。展望なし。
6:02 硫黄乗越。展望なし。
風も強くなる稜線上を歩く。
8:35 一次的に雨が止むことも。
今回の西鎌尾根は雨風強かったが歩けないほどではなかった。しかしそれでも一次の低体温症になっていたと思うくらいには身体に寒さによる震えを感じていた。そのため記録用の写真を途中から全く回すことができなかったのが残念である。千丈乗越あたりから岩稜帯も増え注意力を要する箇所が出てきて、ザックがあるためか個人的には下りる方が恐さを感じ難しく思えた。下りの練習が必要である。
 午前中には目的の槍ヶ岳山荘に到着したと思う。テン場は我々のテントしか存在せずこの雨風をもたらす低気圧と前線の通過に不安を覚えながら食事や睡眠をとった。
 この日何の因果かリピート山中氏が山荘の方にライブをしに来ており男衆はそのライブにお邪魔させていただいた。「ヨーデル食べ放題」や「それぞれの味」といった曲を歌われたが「加藤文太郎の歌」が私の中では一番印象に残った。CDもHPで販売しているらしい。
 明日の天気を考慮した結果停滞することに決めていたのでライブを聞いたのち就寝。
23日:曇りのち晴れ
 水が滴り落ちてくるテントになっていたがその量が異常だと感じた朝。違和感を覚えてテントを外から見るとフライが無い。強風によって飛ばされたのかと思ったがテント本体の足に引っかかった状態でかろうじて生存していた。しかしフライの一部が擦り切れていたりゴムの留める部分が切れて破損するなど無惨な姿にされてしまった。焼け石に水な補修を終え、この日一日を停滞する。
姿を現す槍の穂先。
今から晴れるよ!

この天候のおかげか渋滞のない槍頂上へのルートを登る。
 ようやく山頂を踏めた一枚。所要時間20分弱。
安全に下る。眺め良し。
思い思いのままに。
 午後から青空が出てきたのでテントの中やシュラフ、ザックといったものを外に放り出して天日干し。雨のせいで浸水していたがだいぶ乾かすことができた。が、テントの破損、行動食の不足、モチベーションの低下などを考慮した結果、東鎌尾根に行くことは危険だと判断し明日上高地への下山を選択。夜まで読書やラジオを聞いたりしてゆっくりとした時間を過ごした。

24日:晴れ
 とても真夏とは思えない肌寒さを感じながらテントを撤収。荘厳な頂を背にし上高地へ下山を始める。
 5:15 朝日が昇る槍の穂先。
 行きたかった東鎌尾根。
 6:56 水俣乗越分岐。
 11:17 河童橋手前で記念撮影。
14:38 新島々駅。

 槍ヶ岳山荘からガレ場を下って槍沢沿いを横尾まで歩いて何故かそこから徳沢までダッシュを敢行。道行く人に元気がいいねと言われて気分よく下山。午前中には上高地に到着したが温泉の営業が午後からのためバスの整理券を先にとってゆっくり時間まで暇つぶし。数日間の疲れと汚れを落としてバスに乗り電車に乗りで松本まで移動。帰る時間が微妙という事と観光したいという意見から松本市内を散策し暗くなってから日付けが変わる
までは駅で待機。そこからカラオケの一部屋をとって朝まで寝て過ごした。正直この人数でのビバークとも言えない行為は面倒くさいと感じた。

25日:晴れ
 松本から静岡まで青春18切符を利用し帰着。お疲れさまでした。

まとめ:
 ここには合宿参加した皆の感想を載せる。
・今回は計画の時点で大分遅れが出てしまった。GWの影響でテストが8日までずれ込み、準備合宿と本合宿の間が短く十分な計画が練れなかった。そもそも2年生は計画を後ろ倒しにする癖があるようだ。また浜キャンとのコミュニケーション不足も露骨に出てしまった。やはり9人は多すぎたか…。統率がとりきれない。
現地では天候の悪化でパーティーは全く打ちのめされてしまった。風雨に曝され慢性的な睡眠不足、体温低下にあった。基礎体力もまだまだだ。直接的な撤退の原因はそこだろう。またレーションや防寒などに十分とは言えない者がおり、新人は個装まで事前にチェックした方が良いと感じた。基礎講習も十分ではなかった。天気図を実際に取れたのは良かった。食当としては、予備食が無駄になってしまったことを除けば、概ね良かったのではないか。
今回は結果的に撤退する形になってしまった。紛れもなく敗退だ。2年生も上級生として至らない部分があり新人には申し訳ない。しかし今回の件では反省する点経験して分かった点が多々あったと思う。むしろこの山行は今の我々の弱点を洗い出してくれた。決して無駄ではない。振り返りつつ、また次の山を目指そう。(ちゃんと計画して)  市川

・今回の合宿は反省すべき点が大いに残るものとなった。私はこの合宿を入部してからの4か月間の総まとめとして考えて、登山初心者から前進し、これまでのついていくだけの山行をやめて自分から行動していく姿勢で臨もうと思っていた。だが実際は計画を立てる時や準備段階からなかなか積極的に動けず、合宿中も読図や天気予測や行程変更などすべての判断を人任せにして、言われるがままになってしまった。また、合宿に対するモチベーションにも問題があった。準備合宿では初めて全行程天気に恵まれたが、本合宿の相変わらずの悪天候や人生初の野宿などで睡眠不足で気分が乗らなかった。多くの反省を踏まえ、これからはもっと積極的になり自分で考えて行動すること、そのためにさらに勉強して山に関する知識を深めることが必要だと感じた。一方、この合宿で良い点もいくつか発見した。一つは歩行技術が以前よりましになったことだ。下山時に足首を何度も捻ることはなくなり、落石も前より大分減った。もう一つはパッキングに慣れてきたことだ。余分なものは持って行かなくなり、出発前の準備に遅れなくなった。最後に、一番良かったことは山登りの醍醐味を味わえたことである。準備合宿と本合宿の槍ヶ岳では初めて快晴の山頂から絶景を堪能し、素直な感動と達成感が得られた。
以上より、夏合宿で感じ学んだことを次の秋と冬の部活に向けて生かしていけるようにしたい。 森

・この山行は自分にとって実りのあるものになったと感じている。それは、やはり憧れていた槍ヶ岳登頂もあるが、それ以上に北アルプスという山々のこともそうだし、なにより山岳部自体や自分の直すべきところを知れたからである。
北アルプスには、登山(といってよいものか)を始めた時分から漠然とした憧憬を抱いていた。いろいろな面を持つ、例えば荘厳であったり鷹揚なところも併せ持つ山容にそのような感情を抱くのは至極当然なものであるように思われた。いつかこの目で見たいと思い憧れていた山々に、ついに会いまみえるとなれば、浮き足立つのも人間の性というものである。が、その準備においての自分の甘さが後々に響くことになった。
まず、自分の失敗の一つであるレーションの不備など、聞いただけで解決する問題であるにもかかわらずそれをしなかったのは、ひとえに怠惰であり、危機意識、当事者意識の欠如で、これは由々しき問題である。はじめての長期山行であることを鑑みても、上記した3つの欠如はあってはならないことであるし、このまま自分のような登山者モドキが山に入りふんぞり返っていれば班員も迷惑であると同時に、なによりいつ命に危険が及んでも不思議ではない。不足装備は購入するだけだが、意識はそう簡単には変わらない。学校での日常生活、公道を運転するとき、トレーニング中など、日常から訓練を行い、意識改善に努め、必要な知識を身に着け、来年の夏合宿を確実に成功させることを心に誓う。池田

・今回の夏合宿は、計画の段階で準備が十分でなかったと反省する。まず今回、浜松キャンパスと上手くコミュニケーションが取れておらず、装備の確認等を十分に行わなかったために装備が足りず、早めに切り上げ下山せざる終えなくなってしまった。また装備という点では、テント等の防水を簡易に済ませてしまったために、結果的に合宿前半の悪天候で浸水被害を大きく受けることになってしまった。防水処理をしていてもあの悪天候に耐えられたかは分からないが、装備係としてもう少ししっかりシーム処理をしたり、シュラフカバーを持ってくるよう呼びかけたりすべきだったと思った。テストなどが立て込み忙しかったとはいえ、もう少しゆとりを持って予定を立てじっくり話し合う時間を作るべきだったと反省するとともに、話し合いが効率よく進むよう改善していかなければならないと感じた。 中川

・今回の夏合宿は先輩不在の上で行われたもので、ある意味で大きく我々の教訓となり反省に成り得る貴重な体験であるといえるであろう。まず、個人としての反省点であるが準備があまり遅いうえにその重い腰を上げようとしなかった怠惰な自身の山に対する姿勢が良くなかった。サブリーダーとして計画書を挙げた際も不備が多く見つかり、そのせいで浜松キャンパスとの情報共有に阻害が生じてしまったのではないかと田中、池田にも申し訳なく思う。次に個人装備についてであるが、今回天気が惡くなると予想していたのにシュラフカバーを持ってこなかったのはまずかった。勿論この装備はメンバー全員が持っているものではないものの最善を尽くすという意味では完全に思慮に欠けていたように思える。「陰極まって陽に転ずる」というが、ここまで陰極まってしまうと私はたじたじで麓に寝ることも叶わず疲弊してしまった。濡れたシュラフがパーティの士気を下げることにもつながっていると考えている。山での動きは久方ぶりのサブリーダーということもありペースを作るのが非常に難しく気楽に登れるものではないなと改めて理解した。来年こそは、と息巻いても現状のままではまた似たような失敗を繰り返すだけではないだろうか。このまま平々凡々に続けていくといつか大きな事故に繋がってしまうのではないかと勝手に杞憂してしまった。最後に早く家に帰りたいあまりに牛角でキレてしまったことも反省したい。 中嶌

・感想:全員が無事大きな怪我なく下山できて良かったと思う。天気が予想以上に悪かったのはとても残念。結果的に合宿成功ではなかったが、これからの山行に繋がる経験になった。
反省点:自分の連絡不足で直前に合宿日程を変更してもらい皆に迷惑をかけてしまった。個人装備をおろそかにしてしまい防寒着やシュラフカバーがなく体力的・精神的につらかった。また、装備係として池田にアドバイスできていなかった。下山時に所々転んだり、肩が痛くなっており体力不足を感じた。 田中

・反省点:朝の片付け、準備(テント撤収)に時間をかけすぎてしまった
パッキングが緩く、安定に欠ける状態であった 今後、締めるところをしっかり締める
日々の行動後、まだ余裕が全くない。行程の後半にあまりひどい疲労であると危険なため、日々余力を持てる水準の体力を身に着けたい
感想:初日から雨で濡れ、風も強く大変辛い状況だった。その中の停滞となったが、停滞により晴れの日に槍ヶ岳に登ることができ、これはとても良かった。また、レトルトの食品を多用したが、なかなか美味しく長期合宿の食料計画も学べた。実際、縦走を完遂したかったが、停滞とエスケープを行う経験ともなり、今年から登山を始めた身としては総じてよい経験となる合宿であった。 蓮容

(文:宮下)

2019年9月27日金曜日

2019/8/4 天竜川水系厚血川 龍王渕ゴルジュ

日時:2019年8月4日(日)

メンバー:
CL小林(OB),SL高田


行程:
4日:浜松(6:30)=龍王権現遊歩道P(7:50~8:16)-龍王権現F1(8:28~10:36)-F2-F3(10:52~12:04)-F4(12:16~12:22)-左岸側に民家が見える地点にて脱渓(12:38)-龍王権現遊歩道P(13:02)=浜松

記録:

4日:晴れ時々曇り

天竜川支流厚血川最狭部にある龍王渕ゴルジュ。

JR飯田線 佐久間駅から車で15分ほどの場所に入渓点があります。


1996年の成瀬陽一氏の今ゴルジュ遡行記を読んでから、「突破したい」と大学2年次から秘めた想いを持ち続けていた沢です。
完全遡行にはクライミングはもちろん、泳ぎスキルもマストなこの沢。
泳ぎも登攀もイケるというOB小林さんと久々に予定が合い、いざ挑戦!
F1とOB小林さん


F1の龍王権現手前までは遊歩道を使って快適なアプローチ。
川は右に屈曲し、ゴルジュから流れ落ちる水が水面を叩く轟音が聞こえてくると龍王権現が現れる。
30度を超える晴天にも関わらず、飛沫と滝が起こす風圧と恐ろしさで、身震いした。

F1のリードはじゃんけんで決める。
じゃんけんに勝った小林さんがカッパを着込み、ロープを付け、淵に飛び込む。岸から直ぐに足が付かない程深いらしく、中々進まない。何とか側壁に届くかと思ったその時、頭が半分沈む小林さん。急いでロープを引いて小林さんを回収。久々の泳ぎにうまくいかなかったとのこと。

リードを交代し、高田がゆく。
小林さんを突き返した底の見えない淵に対する恐怖と
いよいよ登れるという興奮とで、鼓動が速まる。

流れが思ったよりはあったが、泳ぎは得意で滝の右側に張り付く。
左上していくようなラインで登る。中間部が少し難しかった
常時飛沫を浴びながらの登攀だが、上部は左半身もろ浴び。

フェルトソールにはギリギリのホールドスタンスの細かさ。おまけに適度に水分を供給され、ヌメヌメが形成されてるので気を抜くと堕ちそう。



なんとか登りきりました。

そして登りきった先で水に足を取られ、流され滝壺の流芯に。フェルトソールにはギリギリのヌメヌメ、斜度であったにも関わらずもう一歩行けば楽にビレイできるという快適性を求めてしまった結果だった。
もしかすると流されるかもしれないと自分は構えていたが、小林さんはまさか流れてくるとは思っていなかったようで驚かせてしまった。(ごめんなさい)

復帰してもう一度滝に張り付いたが、集中力が落ちた状態でこなせるような代物ではなく、岸に戻り巻くことに。この滝で2時間以上格闘した。

続くF2は楽しく超えて行く。
問題はF3。F3は狭い水路状のゴルジュに右側から
滝が落ちている。
ゴルジュはやはり足が付かないほど深く、暫し作戦を立てる。
滝の手前を登ることも考えたが、登った先で結局水路を横断しないといけなさそうなこと、そもそも壁がツルツルでホールドスタンスが見当たらないということで滝の向こう側に何とかして行くことに。
F3。先ずは小林さん。
水面下のホールドスタンスを色々探って突破方法を検討して下さいましたが、それでかなり消耗し、交代。

これは力任せに突破するしかない。と私はあまり考えすぎずなるべく奥に遠くに飛んでそこから必死の側壁キックとバタ足。飛び込む前は恐ろしかったですが、飛び込んでみるとほんの一瞬のことでした。

滝の向こう側は掘れて、半ドームのようになっている。荷物を降ろして少し休憩。その先は少しでもミスると今突破した滝にもれなく戻れる要らない特典付きの壁。
F1、F3と突破が上手くいかずモチベーションの落ちている小林さんは撤退を進言するが、イケるイメージが湧いてしまった&流されても大丈夫な箇所だということで、高田リードで行く。とは言っても、もう流されたくはないので、フェルトシューズをクライミングシューズに替える。これが最高の選択だった。
この沢、ラバーソールとの相性が抜群によく、楽々登れる。続く小林さんもラバーソールの沢靴に替え、
「コイツは最高だわ!」とラバーソールの威力に感動し、元気を取り戻していた。
F4。滝左のラインを取る小林さん。

ラバーソールを味方に付けると強い。
続くF4は小林さんリードで通過。
ストレスなく楽しく登れます。

F5。

このF5を超えると左岸側に民家が見えてきて、
脱渓ポイントです。このまま遡行すると上流部にもゴルジュ帯があるようですが、時間的にも厳しいので今回はここまで。

まとめ:
完全遡行とは行きませんでしたが、満足度の高い、久々に心拍数の上がる痺れる沢登りでした。

滝の流芯に落ちるのも初めてのことで良い経験になりました。
様々研究の中で反転流に乗って抜け出せなくなってしまったら、底を蹴って脱出するなど言われていますが、全く底を感じず小林さんに引っ張ってもらうまで様々な流れを身体に感じ、研究通り脱出するのは難しいと思いました。

突破したいゴルジュリストが全然減らないので、先輩方、同期、後輩達どんどん沢に行きましょう!!

お付き合い頂いた小林さんありがとうございました !
最高でした。

(文:高田)