2019年10月30日水曜日

2019/8/20~25 北アルプス 槍ヶ岳(夏季本合宿)

日時:8月20日(火)~8月25日(日)

メンバー:CL宮下、SL中嶌、市川、中川、森、田中、佐野、蓮容、池田

行程:
20日:静岡(9:30)=高山駅(15:23)=新穂高温泉(19:50)
21:新穂高温泉(4:20)ーわさび平小屋(5:20)ー鏡平小屋(8:34)ー双六小屋(10:30)
22:双六小屋(4:50)ー硫黄乗越(6:02)ー佐俣乗越(6:54)ー千丈乗越ー槍ヶ岳山荘

23:槍ヶ岳山荘ー頂上(12:52)ー山荘
24:槍ヶ岳山荘(5:15)ー槍沢水俣乗越分岐(6:56)-ババ平(7:42)ー徳沢(9:37)ー上高地(11:15)=松本
25日:松本=静岡

記録:
 遅まきながら記録を書くが、台風と熱帯低気圧と前線と低気圧諸々が本州に接近してくる悪天候が目に見えている天気図をしり目に2019年度の夏季本合宿がスタート。本来の計画では新穂高から双六、西鎌東鎌を通って大天井、常念、蝶ヶ岳を巡る壮大なルートを歩むはずだった。が、様々な内的、外的要因から東鎌尾根には向かわず上高地へエスケープ。普段はなかなか来られない北アルプスの地で学ばなければならないことをまざまざと見せつけられた山行だった。
 この合宿に参加した各々の感想を後記する。
槍の穂先にて
20日:晴れのち曇り
 9時半に静岡駅を出発し高山を目指す。初めての長期合宿に期待が大きいのだろう笑顔に溢れている。6時間ほど電車を乗り継いで高山駅に到着。ここで各自夕食と明日の朝食を購入。微妙な時間なこともあり飲食店はまた営業していなかったのでコンビニが唯一の頼りになった。そのあとバスに乗車し新穂高温泉へと移動。バスの運転手に怪訝な顔をされながらも初日の目的地に到着し明日から早いのでさっそく駐車場でビバークを決行。数時間後に霧雨のような雨が降ってきたので軒下やバス停に各々移動し睡眠をとることとなった。8月も後半なためか電車ではあまり立たずバスは空席が目立っていた。
 静岡駅
 高山駅
新穂高温泉
21日:曇り時々雨
 質の悪い睡眠を終えてから双六小屋に向けて歩き始めた。雨は降るか降らんかどっちつかずな状態であまり北アに歓迎されていない雰囲気を感じた。登りが急になってきたあたりから雨も本降りに変わり滑らないように気を付けながら歩みを進めた。
 濃密な雲が空に蓋をしている
8:34  鏡平小屋
 晴れていたら綺麗な湖面が見られたのだろうか
視界不良な天候
10:30 双六小屋に到着。このときは霧雨だったが風が強く吹きっさらしのテン場での設営はかなり大変で誰かが持っていないとテントが飛びかねない状態だった。ペグを打ち込んで固定したので飛ばされることはなかったが次第に強くなってきた雨がテントの防水加工を無視して内部に水滴を落とし水たまりを形成するほどにまで至った。設営を終えた後は寝不足と普段より重たいザックによる疲れからか夕食まで仮眠をとり、夕食を食べ明日に備えてまた眠りについた。風でテントの形が大きく歪みフライが飛ばないか心配な夜であった。

22日:雨強し
 朝まだ夜が明けぬ内から行動開始。朝食を食べ、テントを片し双六小屋前で準備運動を行い 4:50 出発。歩き始めから少ししてから雨が強く降り始めその中を移動。
 本日の行程は双六小屋から西鎌尾根を通って槍ヶ岳山荘へ。
 4:53 まだ暗くヘッテンの明かりが頼りになる。
 5:29 椛沢岳。展望なし。
6:02 硫黄乗越。展望なし。
風も強くなる稜線上を歩く。
8:35 一次的に雨が止むことも。
今回の西鎌尾根は雨風強かったが歩けないほどではなかった。しかしそれでも一次の低体温症になっていたと思うくらいには身体に寒さによる震えを感じていた。そのため記録用の写真を途中から全く回すことができなかったのが残念である。千丈乗越あたりから岩稜帯も増え注意力を要する箇所が出てきて、ザックがあるためか個人的には下りる方が恐さを感じ難しく思えた。下りの練習が必要である。
 午前中には目的の槍ヶ岳山荘に到着したと思う。テン場は我々のテントしか存在せずこの雨風をもたらす低気圧と前線の通過に不安を覚えながら食事や睡眠をとった。
 この日何の因果かリピート山中氏が山荘の方にライブをしに来ており男衆はそのライブにお邪魔させていただいた。「ヨーデル食べ放題」や「それぞれの味」といった曲を歌われたが「加藤文太郎の歌」が私の中では一番印象に残った。CDもHPで販売しているらしい。
 明日の天気を考慮した結果停滞することに決めていたのでライブを聞いたのち就寝。
23日:曇りのち晴れ
 水が滴り落ちてくるテントになっていたがその量が異常だと感じた朝。違和感を覚えてテントを外から見るとフライが無い。強風によって飛ばされたのかと思ったがテント本体の足に引っかかった状態でかろうじて生存していた。しかしフライの一部が擦り切れていたりゴムの留める部分が切れて破損するなど無惨な姿にされてしまった。焼け石に水な補修を終え、この日一日を停滞する。
姿を現す槍の穂先。
今から晴れるよ!

この天候のおかげか渋滞のない槍頂上へのルートを登る。
 ようやく山頂を踏めた一枚。所要時間20分弱。
安全に下る。眺め良し。
思い思いのままに。
 午後から青空が出てきたのでテントの中やシュラフ、ザックといったものを外に放り出して天日干し。雨のせいで浸水していたがだいぶ乾かすことができた。が、テントの破損、行動食の不足、モチベーションの低下などを考慮した結果、東鎌尾根に行くことは危険だと判断し明日上高地への下山を選択。夜まで読書やラジオを聞いたりしてゆっくりとした時間を過ごした。

24日:晴れ
 とても真夏とは思えない肌寒さを感じながらテントを撤収。荘厳な頂を背にし上高地へ下山を始める。
 5:15 朝日が昇る槍の穂先。
 行きたかった東鎌尾根。
 6:56 水俣乗越分岐。
 11:17 河童橋手前で記念撮影。
14:38 新島々駅。

 槍ヶ岳山荘からガレ場を下って槍沢沿いを横尾まで歩いて何故かそこから徳沢までダッシュを敢行。道行く人に元気がいいねと言われて気分よく下山。午前中には上高地に到着したが温泉の営業が午後からのためバスの整理券を先にとってゆっくり時間まで暇つぶし。数日間の疲れと汚れを落としてバスに乗り電車に乗りで松本まで移動。帰る時間が微妙という事と観光したいという意見から松本市内を散策し暗くなってから日付けが変わる
までは駅で待機。そこからカラオケの一部屋をとって朝まで寝て過ごした。正直この人数でのビバークとも言えない行為は面倒くさいと感じた。

25日:晴れ
 松本から静岡まで青春18切符を利用し帰着。お疲れさまでした。

まとめ:
 ここには合宿参加した皆の感想を載せる。
・今回は計画の時点で大分遅れが出てしまった。GWの影響でテストが8日までずれ込み、準備合宿と本合宿の間が短く十分な計画が練れなかった。そもそも2年生は計画を後ろ倒しにする癖があるようだ。また浜キャンとのコミュニケーション不足も露骨に出てしまった。やはり9人は多すぎたか…。統率がとりきれない。
現地では天候の悪化でパーティーは全く打ちのめされてしまった。風雨に曝され慢性的な睡眠不足、体温低下にあった。基礎体力もまだまだだ。直接的な撤退の原因はそこだろう。またレーションや防寒などに十分とは言えない者がおり、新人は個装まで事前にチェックした方が良いと感じた。基礎講習も十分ではなかった。天気図を実際に取れたのは良かった。食当としては、予備食が無駄になってしまったことを除けば、概ね良かったのではないか。
今回は結果的に撤退する形になってしまった。紛れもなく敗退だ。2年生も上級生として至らない部分があり新人には申し訳ない。しかし今回の件では反省する点経験して分かった点が多々あったと思う。むしろこの山行は今の我々の弱点を洗い出してくれた。決して無駄ではない。振り返りつつ、また次の山を目指そう。(ちゃんと計画して)  市川

・今回の合宿は反省すべき点が大いに残るものとなった。私はこの合宿を入部してからの4か月間の総まとめとして考えて、登山初心者から前進し、これまでのついていくだけの山行をやめて自分から行動していく姿勢で臨もうと思っていた。だが実際は計画を立てる時や準備段階からなかなか積極的に動けず、合宿中も読図や天気予測や行程変更などすべての判断を人任せにして、言われるがままになってしまった。また、合宿に対するモチベーションにも問題があった。準備合宿では初めて全行程天気に恵まれたが、本合宿の相変わらずの悪天候や人生初の野宿などで睡眠不足で気分が乗らなかった。多くの反省を踏まえ、これからはもっと積極的になり自分で考えて行動すること、そのためにさらに勉強して山に関する知識を深めることが必要だと感じた。一方、この合宿で良い点もいくつか発見した。一つは歩行技術が以前よりましになったことだ。下山時に足首を何度も捻ることはなくなり、落石も前より大分減った。もう一つはパッキングに慣れてきたことだ。余分なものは持って行かなくなり、出発前の準備に遅れなくなった。最後に、一番良かったことは山登りの醍醐味を味わえたことである。準備合宿と本合宿の槍ヶ岳では初めて快晴の山頂から絶景を堪能し、素直な感動と達成感が得られた。
以上より、夏合宿で感じ学んだことを次の秋と冬の部活に向けて生かしていけるようにしたい。 森

・この山行は自分にとって実りのあるものになったと感じている。それは、やはり憧れていた槍ヶ岳登頂もあるが、それ以上に北アルプスという山々のこともそうだし、なにより山岳部自体や自分の直すべきところを知れたからである。
北アルプスには、登山(といってよいものか)を始めた時分から漠然とした憧憬を抱いていた。いろいろな面を持つ、例えば荘厳であったり鷹揚なところも併せ持つ山容にそのような感情を抱くのは至極当然なものであるように思われた。いつかこの目で見たいと思い憧れていた山々に、ついに会いまみえるとなれば、浮き足立つのも人間の性というものである。が、その準備においての自分の甘さが後々に響くことになった。
まず、自分の失敗の一つであるレーションの不備など、聞いただけで解決する問題であるにもかかわらずそれをしなかったのは、ひとえに怠惰であり、危機意識、当事者意識の欠如で、これは由々しき問題である。はじめての長期山行であることを鑑みても、上記した3つの欠如はあってはならないことであるし、このまま自分のような登山者モドキが山に入りふんぞり返っていれば班員も迷惑であると同時に、なによりいつ命に危険が及んでも不思議ではない。不足装備は購入するだけだが、意識はそう簡単には変わらない。学校での日常生活、公道を運転するとき、トレーニング中など、日常から訓練を行い、意識改善に努め、必要な知識を身に着け、来年の夏合宿を確実に成功させることを心に誓う。池田

・今回の夏合宿は、計画の段階で準備が十分でなかったと反省する。まず今回、浜松キャンパスと上手くコミュニケーションが取れておらず、装備の確認等を十分に行わなかったために装備が足りず、早めに切り上げ下山せざる終えなくなってしまった。また装備という点では、テント等の防水を簡易に済ませてしまったために、結果的に合宿前半の悪天候で浸水被害を大きく受けることになってしまった。防水処理をしていてもあの悪天候に耐えられたかは分からないが、装備係としてもう少ししっかりシーム処理をしたり、シュラフカバーを持ってくるよう呼びかけたりすべきだったと思った。テストなどが立て込み忙しかったとはいえ、もう少しゆとりを持って予定を立てじっくり話し合う時間を作るべきだったと反省するとともに、話し合いが効率よく進むよう改善していかなければならないと感じた。 中川

・今回の夏合宿は先輩不在の上で行われたもので、ある意味で大きく我々の教訓となり反省に成り得る貴重な体験であるといえるであろう。まず、個人としての反省点であるが準備があまり遅いうえにその重い腰を上げようとしなかった怠惰な自身の山に対する姿勢が良くなかった。サブリーダーとして計画書を挙げた際も不備が多く見つかり、そのせいで浜松キャンパスとの情報共有に阻害が生じてしまったのではないかと田中、池田にも申し訳なく思う。次に個人装備についてであるが、今回天気が惡くなると予想していたのにシュラフカバーを持ってこなかったのはまずかった。勿論この装備はメンバー全員が持っているものではないものの最善を尽くすという意味では完全に思慮に欠けていたように思える。「陰極まって陽に転ずる」というが、ここまで陰極まってしまうと私はたじたじで麓に寝ることも叶わず疲弊してしまった。濡れたシュラフがパーティの士気を下げることにもつながっていると考えている。山での動きは久方ぶりのサブリーダーということもありペースを作るのが非常に難しく気楽に登れるものではないなと改めて理解した。来年こそは、と息巻いても現状のままではまた似たような失敗を繰り返すだけではないだろうか。このまま平々凡々に続けていくといつか大きな事故に繋がってしまうのではないかと勝手に杞憂してしまった。最後に早く家に帰りたいあまりに牛角でキレてしまったことも反省したい。 中嶌

・感想:全員が無事大きな怪我なく下山できて良かったと思う。天気が予想以上に悪かったのはとても残念。結果的に合宿成功ではなかったが、これからの山行に繋がる経験になった。
反省点:自分の連絡不足で直前に合宿日程を変更してもらい皆に迷惑をかけてしまった。個人装備をおろそかにしてしまい防寒着やシュラフカバーがなく体力的・精神的につらかった。また、装備係として池田にアドバイスできていなかった。下山時に所々転んだり、肩が痛くなっており体力不足を感じた。 田中

・反省点:朝の片付け、準備(テント撤収)に時間をかけすぎてしまった
パッキングが緩く、安定に欠ける状態であった 今後、締めるところをしっかり締める
日々の行動後、まだ余裕が全くない。行程の後半にあまりひどい疲労であると危険なため、日々余力を持てる水準の体力を身に着けたい
感想:初日から雨で濡れ、風も強く大変辛い状況だった。その中の停滞となったが、停滞により晴れの日に槍ヶ岳に登ることができ、これはとても良かった。また、レトルトの食品を多用したが、なかなか美味しく長期合宿の食料計画も学べた。実際、縦走を完遂したかったが、停滞とエスケープを行う経験ともなり、今年から登山を始めた身としては総じてよい経験となる合宿であった。 蓮容

(文:宮下)

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