2024年2月19日月曜日

2024/2/18~19 北アルプス 常念岳東尾根

日時:2月18日(日)~2月19日(月)

メンバー:CL 増地4年,SL 増田2年, 食料 有間2年

行程:
17日:静岡=須砂渡ゲート(0:10)
18日:須砂渡ゲート(4:20)-送電巡視路入口(4:55)-1955峰(8:20)-2178峰(9:05)-前常念岳(11:35)-常念岳山頂(12:20)-2178峰(15:30)
19日:2178峰(7:30)-須砂渡ゲート(10:35)=静岡

記録:

2年生2人と常念岳東尾根へ行ってきました。
自分が2年生の時に1度計画し、断念したルートでもあります。当時印刷し、メモ書きして残してあった地形図を引っ張り出し、持っていきました。ようやくこいつが役に立つ時がきた。

17日、前泊のため20時に部室集合して高速を使い須砂渡ゲートへ。いきなり余談ですが、長野へ向かう中部横断道は中央道と合流するまで延々と一車線を走らされるため、時間短縮にはなりますが走ってて正直つらい。唯一快適な点といえば、信号機という名の汚い三色団子に引っかからないことでしょうか。
眠い目をこすりながらも安曇野ICで降り、夕ご飯にすき家を食べて0時過ぎに須砂渡ゲートに到着。明日は好天予報のため多くの車が停まっていました。明日に備え、3時間ほど就寝。

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18日:天候 晴

4時20分に出発。
林道を30分程歩く。凍結しているので自分はここでチェーンスパイクを装着する。

送電巡視路入口(高瀬川線No.63)
ここが目印

増田、有間

歩く

今回は計画段階で候補日を6日間ほど設けていたが、前線が南下する影響で本日以降の天候は全滅・・・。明日は午前はガス、午後には雨が降り出す予報である。そのため、体力的にはしんどいが天候が安定している本日にアタックすることを選択。東尾根は累積標高、距離ともに甲斐駒黒戸尾根と同じくらいか。いつぞやの記憶が蘇る。

樹林帯に関しては、送電鉄塔から南東尾根にのるまでが少し分かりにくいくらいで、あとは基本的に尾根筋の一本道をひたすらに歩くだけである。この日の気温は2000m地点ですら5℃と、もはや残雪期の様相で汗が噴き出るが、ここでの歩きが稜線上での行動可能時間に直結するので黙々と歩く。

歩く

日の出を見て、

また歩く

たまに薮

1955峰を過ぎたところで増田が足を攣っていた。水分不足だろうか、それとも運動不足だろうか。おそらく両方。水分と塩分を多めに摂るよう促し、注視しながら進む。

予定より早く2178峰に到着することができた。ここで泊装備を全てデポし、常念岳へ向かう。

気合い十分

森林限界に出ると、

常念岳が姿を現す

森林限界〜前常念岳までに大きな岩場を通過する箇所が3箇所ほどあり、ここが本ルートの核心部である。個人的な体感としては、1つ目より2つ目、2つ目より3つ目の方が悪いなという印象であった。もちろん雪の状態、トレースの有無でも難易度が大きく変化するので、あくまで当日の体感である。

奥に見えるのが最初の岩場。右に巻く

トラバース中

左奥に次の岩場

傾斜が強い

次の岩場も右にトラバース。ピッケルと岩のホールドを使いつつ慎重に登る。手足丁寧に決めていけばおよそ問題ないが、滑ったら逝ってしまうのでビビりながら進む。また、ハイマツが所々に露出しているので引っかけないよう2人に呼びかける。

この辺りから増田がバテる

なげえ・・・

最後の岩場は、直上してからわずかに右にトラバース。
暖かく、風も厳冬期とは思えないほど弱い。よいコンディションで登らせてもらっていることに感謝しつつ、前常念岳に到着。

振り返る

前常念岳で休憩

あとは常念岳まで傾斜もあまりなく、危険箇所も少ないビクトリーロードだが、増田の体力が気がかりである。前常念からの下降で集中が途切れないだけの余裕は持って下りたい。
増田に「自分置いて2人で山頂行くのはどうですか」と提案されたときは流石に「ありま主将・・・」の言葉が浮かんだが口には出さなかった。

最終的に、本日中は天候が保つ事、時間の余裕が十分にあることから、常念岳までのピストンを(ほぼ)空荷で行うことを提案。増田も、それなら行けるとのことで、山頂を目指す。
テント場からのデポも然り、ロケットの切り離しみたいだなと思ったが、切り離したモノを回収するという点でロケットとは違う。

空荷が功を奏しサクサク進む

一度生で見たかったこの景色

見惚れてばかりではいけない

常念小屋を見下ろし去年の夏を思い出す

三股への分岐点の手前が痩せているのでここだけ注意。
最後の急登を上がる。


着いた!やたー!🙌(松田風)

常念岳東尾根登頂

前常念から続く稜線を眺める
彼方に見えるのは越後山脈?

有間と増田もとても嬉しそう。槍穂高方面は雲に隠れてしまって見えなかったのが唯一残念。
もう一度3人で気を引き締めなおして、下山する。


下山は早い

危険箇所も危なげなく通過


森林限界まであと少しのところで雲がわいてきた。明日の環境下での稜線行動は、自分達にとっては難しいものだっただろう。初日アタックを選択した自分を心の中で褒める。トレースにも大いに助けられた山行だった。

時折覗かせる水墨画のような景色を眺めながら、1時間ほど休憩し、テン場へ戻った。

人様が残していった防風壁にあやかる

弱層テストを試したあと、晩御飯を食べる。今日の出来事やこれからの部について、自然と会話も弾んだ。

トマトペンネ
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19日:天候 曇のち雨

今日は降りるだけなので気も楽である。
途中、雨に降られかけるが下山までは持ってくれた。

下山

お疲れ様でした

高林が部室にジュースを残置してくれてあった。
やさ林。

まとめ:

まずは2年前のリベンジが果たせて嬉しかった。以前のレベルでは挑戦できなかったことが、できるようになる。他の人からすれば些細な事かもしれないが、自分の中では大きな出来事だった。

増田と有間には反省会で、山行の成功確率を少しでも上げる意識について話した。夏合宿で蓮容さんも似たようなことを話していただろう。今山行でも、成功確率を上げるための判断は随所にあるが、果たして前常念までの岩場に関して事前に把握できていなかった2年生のみで、どこまでその判断ができただろうか。また、体力づくりも、成功確率を上げるための準備として当然含まれる。だとするならば、足りなかったのは体力ではなく、準備だったと言ったほうが正しいだろう。山行自体は楽しかったが、2年生の弱い部分が露呈した山行だったようにも思える。
偉そうなことをのたまっているが、私自身もまだまだビギナーの域を出ているとは全くいえない。それほど山の世界は奥深く、すべてを把握することが難しいと感じている。

この山行が終わった日の夜、悪い夢を見た。部員が岩から100m転落する夢だ。その時の落ち方や皆の悲鳴がやけにリアルで、私が今まで何千回と想像した場面を具現化したかのような夢だった。問題なのは、山岳部では実際にこういったことが起こりうるということである。
新しく2、3年生になる部員はおのおの目標があり、高いモチベーションもある。素晴らしいことだ。だからこそ、安全意識についてもう一度見直してほしい。山行のレベルを上げるということは、順番に山の難易度をあげていけば良いという単純なものではない。そのレベルに見合った知識と技術、また思考力を並行して身につけていかなければならない。部員の中でクライミング技術や気象について書籍などで体系的に学んでいる者は少数派だろう。自分が見てきた強い人達は、圧倒的に知識・技術・思考力を持った人たちばかりである。そういった諸々の習得を忙しさを理由に怠るというのなら、その目標は目指されるべきではない。

今の後輩たちには、たくさんの刺激をもらった(もちろん先輩からも・・・)。自分もまだ行きたい山があるので、機会は減るかもしれないけど、今後も付き合ってもらえると嬉しいな。

(文:増地)


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