2023年3月5日日曜日

2023/03/02~05 【個人山行】積雪期白峰三山 + 白峰南嶺北部縦走

日時:03月02日(金)~03月05日(日)

メンバー: 蓮容

行程:
2日:静岡=奈良田(19:00)-第一発電所ゲート(19:38)-あるき沢橋(22:00)-
      池山御池小屋(3日1:00)
3日:池山御池小屋(7:30)-城峰(8:50)-ボーコン沢の頭(11:40)-八本歯ノコル(12:40)-
      吊尾根分岐(14:20) -北岳(14:50)-吊尾根分岐-北岳山荘(16:00)
4日:北岳山荘(6:10)-中白根山(7:00)-間ノ岳(8:00)-農鳥小屋(9:00)-西農鳥岳(10:14)
  -農鳥岳(10:57)-大門沢下降点(11:50)-広河内岳(12:23)-大籠岳(13:38) -
      白河内岳(14:12)-笹山南峰(16:00)
5日:笹山南峰(6:30)-奈良田(8:48)=静岡



4年間の活動の締めくくりとして、冬季(春季?)の白峰三山と笹山までの南嶺縦走を計画しました。池山吊尾根から白峰三山を縦走し、最後に笹山までのなだらかな稜線を辿るルートを取ります。

白河内岳を過ぎたあたりまでは前後に誰もおらず、前日の降雪のためか基本的にトレースは無く、ラッセルもルーファイも存分に楽しむことができました。天気も帰りの運転を除けば!4日通じてよく、非常に恵まれた山行で4年間の決算を終えられたと思います。

ダイレクト尾根は難易度は低いものの(むしろ大門沢使うより容易?)、白峰三山の下降に利用している記録は少ないため細かく記録しようと思います。


記録:
2日
今回の計画は奈良田から開運隧道を通る所から始まるが、今はリニア工事の関係で昼間は侵入ができないらしい。そのため、工事の時間を避けて林道を歩く必要があるが、2日の午前は雨、5日は天気がどうなるか微妙。そのため3~4日の稜線突破を目論み、2日夜というなんとも言えない時間に登りはじめることにした。

卒論の修正やら、入学手続きやらの書類を準備しながら忙しく昼間を過ごし、16時に自宅を出る。
愛車のおんぼろカブ50に跨りいつもの道を走って19時ごろに奈良田着。
予備日含め5日分の荷物を背負っての長い林道歩きがはじまる。

今朝まで雪が降っていたのと、少し前に大門沢で大規模な雪崩があったためか、駐車場に車両は一台もなかった。白峰三山の独占に期待が高まる。。。。

開運隧道 北岳登山 玄関
開け方…?なんのことやら。。。


道中は、深い早川の谷を横にし、長い真っ暗なトンネルを黙々と歩く。昔は暗闇が怖かったものだが、山に入るようになってすっかり慣れてしまった。ただ、怖さは感じない代わりになんだか無性に寂しかった。単調な林道歩きがいろいろ考える余裕になるのかなんなのか、理由は分からなかったがあるき沢橋までの約3時間は、なんだか耐え難い寂しさを味わいながら歩いていた。

22時にあるき沢橋に。そこで泊まるか悩んだが、明日は少しでも余裕をもって八本歯ノコルに挑みたい。池山御池小屋までの1000m弱を進む決意を固める。
しかし、かなりの急登に荷物の重さ、そしてヘッテンでのルーファイに睡眠不足が加わり体力・精神共に消耗した。おかげでもう寂しさを感じる無くなったが。
踏み跡は一部不明瞭で途中から雪に埋もれてなくなる。暗闇でテープを見失うこともあったため、基本的には地形図を見ながら歩きやすい所を適当に進んだ。
途中で急坂がガチガチに凍りだしたためアイゼンを付けた。夜間・早朝に歩く場合はご注意を。

1時に小屋に着。想定よりずっと辛かった。


道中に新しそうなトレースが見られなかったことから、先行者はいないかもしれないとは考えていたが、小屋に誰もいないことでよりその確信が強まった。嬉しいやら心細いやら。
一刻も早く寝てしまいたかったが、辛うじておにぎりをフリーズドライの味噌汁で流し込む。明日の行程での消耗も鑑みて遅めの時間にアラームをセットした後の記憶はない。

=========================================
3日
6時に起床。マルタイ棒ラーメンを食べるが、朝からは味が濃く辛かった。
次は薄めに作ろう。
アイゼン、ワカンをこの時点で装備し出発する。

お世話になりました。


小屋からはやはり足跡はない。うっすらとトレースらしき窪み?を辿っていたが、これらも木曜の雪でほとんど埋まってしまっていたようだ。
歩き始めの方は、基本はなんとかなる程度の雪ではあったが、城峰手前の急登などでは雪が柔らかく、このような箇所ではラッセルに非常に苦労した。

先行者なし




こんなラッセルも。。。消耗が激しい


消耗を抑えるためゆっくりと進んでいたつもりではあったが、それでもいつもと違い先頭の交代要員がいないことで疲労が溜まる。荷物も重い。昨晩の睡眠不足も効いている。

城峰を過ぎて進むと視界が開けたが、消耗が激しくペースがあがらない。
また、八本歯ノコルすら前なのに西農鳥手前の登りが目に入り、そっちが気になってしまう。遠目からはあきらかに急で、どのように登れるのか想像がつかなかった。しかし、本日の核心すら終わってないと思い直し、まずは目先に集中しないとならないな、と切り替え歩く。

樹林を抜けてからの雪はよく締まっており歩きやすくなったが、ボーコン沢の頭についたのは想定から大きく遅れた12時前であった。


雪の白峰三山稜線
明日歩く稜線。遠めからでも西農鳥岳直下は威圧感がある


とか考える前に足を動かさねば


冬の北岳バットレス
バットレスはさすがの迫力



ボーコン沢の頭から八本歯ノコルまでは歩きやすく、大迫力の北岳へ近づいていくのが良くわかる幸せな時間であった。
八本歯ノコルは、最初は大樺沢方面に巻くように下る。おそらく核心となる部分は一応ロープは出ていた。しかし朽ちたトラロープであったため、これには触れずに慎重にクライムダウンした。降りた先もリッジとなっており緊張は続く。ピッケルで足場を作りながら慎重に進んだ。梯子は、八本歯ノ頭側のものは出ていたが北岳側は埋まってしまって、手すりのみとなっていた。

八本歯ノコルへ向かう


八本歯ノコル、到着
初手は右から巻くように降りた


下から見たもの。大樺沢方面から巻き降りた。


続いての下降が核心?その先は、まだ踏まれていない綺麗なリッジ!(嬉)


一応、ほっそいロープは出てました。


中央を素直に降りました


ライチョウに癒され


八本歯を振り返る




八本歯ノコルは確かに丁寧さは要したが、条件は悪くなく雪も適度に締まっており無事通過。
そこから吊尾根分岐までは斜度があるクラストした斜面を登って行く。一部、アイゼンの前爪とピックを刺して登る場面があり、この荷物を背負っていては休憩もできない。溜まっている疲労もあってなかなかにしんどく緊張。

このあたりで、本当になんでこんな辛いことわざわざやってんだ?
という思いがむくむくと湧き上がってきた。

なんとも、まあ懐かしい。

非常に懐かしいのこの感情、初めて本格的に味わったのは山を初めて半年も経たない1年夏の山行、やはり白峰三山縦走であった。それ以降は楽しさや必死さ、人より体力がついたことで、(あるいは脳死で歩くことを覚え)ほとんど忘れていた感覚だったが...。あれは当時の自分にとって本当にきつかったなぁ、ということを思い出した。

1時間ほどで吊り尾根分岐へ。北岳へは、夏道をたどって雪面を登るか、岩の稜線を登るか。
今回は、雪面の急登やトラバースを嫌って上り下りともに稜線の岩場を辿った。

漸く分岐へ


稜線の岩を進む



振り返ると、明日進む稜線




なんとか15時前には北岳への登頂に成功。
睡眠不足などで溜まりまくった疲労と、時間も押していたためそんなにゆっくりする気が起きなかったのは勿体なかった。写真だけ納めて北岳山荘へ向かう。

山荘へは、概ね夏道を通る。もし滑っしまうと野呂川まで転げ落ちるので、岩を掴みながら丁寧にトラバース。悪そうなところでは、あえて岩場に逃げるルーファイも。

甲斐駒の後ろには八ヶ岳


仙丈ケ岳


基本夏道(の跡)を歩く。


北岳山荘へは16時。問題なく中に入れてもらえた。
暖かくきれいで、大変ありがたい。
夕飯にはショートパスタと粉末スープ、煮豆とベーコンでスープパスタを作る。

また、持ってきた水はここで尽きたので以降は雪から水を作る。残りの行程ではかなりの水を作って飲んだが、どれも汚れのないうまい水だった。

除雪の必要なく、ありがたい


今夜も独りで気楽に過ごす
窓からは富士山が見えた


ペンネ150g、こいつに後々苦しめられる


「水分はどんなに摂っても摂りすぎるということはない」
のでいっぱい作る飲む



北岳のアーベントロート


大変な一日だった


北岳の夕日を眺めた後に夕飯を食べはじめるが、疲れた体にペンネ150gは強烈であったようだ....。
途中で吐き気すら覚えるが、残すと翌朝にはかつては食べ物であったどうしようもなくひどい氷塊ができあがるし、カロリーを少なくとも計算分は取らなければ回復にも響く。
白湯を飲んだり、温めなおしたり、時折睨めっこしたりしながら...。少しづつ減らしていく。途中でペンネからの逃避のためトイレ兼散歩で外に出たら、甲府盆地の明かりが綺麗に見えた。

夜は時折風音が聞こえるものの小屋内は暖かく、快適。
あまり記録では見かけなかったが、中白峰への登りが急で悪そうだったため、明るくなってから行動しようと4時半までゆっくり寝ることとする。

一度喉が渇いたため、練乳を湯に溶かしホットミルクにして飲んだ以外はほとんど起きることなく、すっきりと朝を迎えた。

@先輩方 いつかもこんなこと、ありましたねぇ...


=========================================
4日
ゆっくり休めたことで体は快調。無理やりパスタを詰め込んだ甲斐もあった。
アイゼンをボルダリングジムで培ったできうる限りの力で締め込み、出発。

前日は中白峰の登りが悪そうに見えたが...。とりあえず近づいてみなければ。
実際の所、固く締まった急斜面で少し緊張はしたが、丁寧にアイゼンの前爪を蹴りこむことを意識し、確実にピックを打ち付け一気に登った。ここがあまり記録にないのはこの時は不思議であった。ルートが間違っていたのか、この先の西農鳥の登りが悪くこんな所は霞んでしまうのか...。

そこから間ノ岳へは、ここまで来た人にとっては気持ちよく歩けると思う。

朝 睡眠不足も解消


正面:中白峰岳 遠目には悪そう


矢印の辺り、岩の間を登った


中白峰到着 ここから間ノ岳までの登りは緩く気持ちが良い。


白峰三山、富士山の写真に侵食されがち


間ノ岳 弘法小屋尾根も、いつかやりたい


ここから農鳥小屋までの下りも概ね夏道を辿った。

途中で広い斜面を下る部分が出てくる。固い雪の上にサラサラの雪がのっており、いやらしかったのでバックステップも交えながら丁寧に下る。このあたりは先を見据えてルーファイしないと、吹き溜まりに降りすぎたり長いトラバースになったりと面倒になりそうな場所であったので、地味に要注意。

下ってきた跡を見上げる
この斜面は滑落・ルーファイともに注意


この時期の名物?埋没した農鳥小屋へは順調に到着。
本計画のビバーク候補地の一つで、万が一の時はここに雪洞を掘ることを考えていたが、本日はその必要はなさそうだ。

ここからの登りが核心であるため、大休止を取りアイゼンも装着チェックをし、ベルトを親の敵とでもいうように締めなおす。
西農鳥への登りは見るからに急で、ここからではどういくかの判断が付かない。おおよその目星だけつけて稜線上を進む。

農鳥小屋は埋まっていた。


黄色→:夏道 赤→:稜線上
とりあえず近づいてみる


近づくために核心の下部まで上るが、ここは中白峰の上りより急で長い斜面であった。集中して一気に登る。中白峰の上り、あの程度の上りではわざわざ記録には書かない、ということだったか。

近づいたところ、核心部はだいたい目星をつけた通りになっていた。

岩か


トラバースか


トラバースは斜度があり、悪そうだったので岩を選択。このあたりの判断は状況や人によって様々だと感じた。
荷物が重いのでバランスを崩さないように、ピッケルを雪や岩にかけ、空いた手で岩を掴み、基本中の基本である3点支持で慎重に登る。

安定した場所から振り返る
上った先も急な雪面で、気が抜けなかった


核心を超えた西農鳥から見るパノラマは、歩いてきた稜線や進む稜線、仙丈ケ岳、塩見岳などなど、北ア、中央アを一望でき、それまでの緊張もあってとても印象的。
1年の時も、しんどい思いしてなにやってんだか、と思っていても、上での景色に感動してしまってなんだかんだ山を続けてしまった。そんなことを4年にもなって思い出させられたのは、なんだか悔しかった。

西農鳥岳から農鳥岳へは雪に覆われていた夏道をトラバース。アイゼンを利かせながら、事故は核心を過ぎてから起こる、と自分に言い聞かせながら進む。

農鳥岳からは夏道は完全に埋没しており、稜線を辿る。ここから大門沢までアイゼンの跡が薄く残っており、踏み抜きを避けることができて助かった。

なんだかここでの景色は特別だったので、あえて詳しくは割愛


夏道を辿る




大唐松尾根
夏に藪の海で泳いだことを思い出す。あれは楽しかった。


夏道は完全に埋没
稜線を辿る


11:50大門沢下降点。もうデザートたる笹山までの縦走を残すのみ。
この地点では体力も余裕があり、今日中の下山も考え始めていた。

ここからは特に難所はなく、お気に入りの道である。
一方、白峰三山をやる人はほとんど大門沢を利用する。
自分は雪崩が恐ろしい大門沢をわざわざ下る気はしないが...。
白峰三山の難易度を求める人にとっては興味がわかず、それならさっさと降りてしまうかとでも言うような、退屈な道で蛇足と思われているのかもしれない。
それよりラッセルや雪崩リスクがある大門沢が白峰三山にはよりふさわしいということなのだろうか。
ちなみに、本山行の10日ほど前?に大規模な雪崩で登山道が埋まり、下降路としての状況はよくなかったらしい。
しかしそんなことは関係なく、もとより自分は少しでも長く縦走の余韻に浸っていたかったため、計画段階から笹山を目指していた。

 今日は下降点すら風が弱く、優しい天気


少し上り


あとはもうデザート


とはいいつつも、広河内からの下りは適当にやると谷底へ高速輸送される。
今日何回目になるかも分からないが、油断したら事故るぞ、と呟きながら下る。

下り終わったのちは、夏道も多く出ており、アイゼンの歯を消耗しながら縦走。



思い出の木(小声)
大籠手前の小さなコルで、本山行のビバーク候補地


大籠岳と富士山


白河内岳までは特に危険もなく、快適かつ順調に進む。15時過ぎには笹山につけるだろうか。
そして、白河内岳からの下りで、白河内へ登って行く本山行初めて他の登山者と出会った!
急に核心を終えた実感が出てきて、すごく安心をした。
大柄でもない女性であったが、笹山ダイレクト尾根を独りでラッセルしテントをデポして、そのあとのちょっとをお散歩してきたらしい。強い。
そして、このあとさらにこの女性の強さと、ありがたさを実感することになる。

白河内まで一気に
アイゼンが削れる削れる


そう、ここにきてラッセルが始まったのだ。

正直、多少のラッセルがこの区間にあることは予想していたが、もう本山行は終わったものとして油断していた。
先の女性のトレースこそ存在したが、重量差から腰まで踏み抜くこともあり、閉口。いや、ずっと息を切らして開口していたか。
さすがに縦走の疲労も現れ始め、想定をどんどん遅れていくが進むしかない。こんな樹林でビバークしてたまるか。
最後にこんな思いをするとは思わなかった。

トレースは夏道とは違い、稜線を辿って的確につけられていた。
これがなかったら、下手すれば笹山につくのは日没間際になっていたかもしれない...。ちなみに、全てツボ足でラッセルしてあった。強い。
本当にありがとうございました。

あ、あと少し...


笹山には16時着!最後にこんな目にあうとは...。

とはいっても、まだなんとか今から下れば、最後こそヘッテン行動になっても今日中には帰ることができるだろう。

さて、レーションでも齧って景色も見納めるか。

見納めるかー


かーー...


.................

・・・・・・・・



【速報】下山中止!下山中止!下山中止!


・疲れた
・夕日見たい
・朝日みたい
・飯もいっぱい余ってる
・どうせ温泉も閉まってる

以上。

そうと決まればさっさとツェルトを設営する。
南峰の樹木を利用し、ロケーションの良い場所を選ぶ。
本山行は小屋を利用できるうえ、もしビバークするとしたら樹林帯に逃げ込むか雪を掘るかを想定していたため、軽量化のためツェルトを利用した。事前にすぐ張れるように準備をしておくことで、木があれば容易に設営可能。そうでなくとも泊まり方は様々。
ツェルトは工夫の余地が大きく、楽しい。いろいろな細かいコツがあるのだが、それだけで結構な文量になると思う。自分もまだまだ経験は浅く、機会があれば部内で共有と研究をしたい。

縦走の最後の一夜を茶などを飲んでゆっくりと過ごす。
今回は軽量化のため酒は持ってこなかったが、不思議と飲みたいとは考えなかった。

無駄泊


稜線が月に照らされ、綺麗だった(スマホ品質!)


夜起きると月暈 幸運の兆しか、雨のしらせか
...私の場合後者だろうなぁ.........................


=========================================
5日
急いで起きる理由もないが、長く寝すぎるのもそれはそれで...。
朝日を見ながら出発できるように起床する。

外には雲海が広がっており、最終日には今までの行程とはまた違う、幻想的な朝を味わわせていただいた。

雲海と富士山、日の出



そして、出発の時を迎える。
ちなみに、昨日のトレース主も南峰付近に泊まられていたが、設営・撤退共に素早かった。

そして笹山の山頂に漢独り、やることは決まっている。
そう、アレがはじまるのである。

今するなんの生産性も必要性も存在しないが、やるものはやるのだ。

訓練された我らが部員は、もう察しているだろう。

そう、ダイレクト尾根下山RTA、開始


出発時に写真を撮影し、スタート。
因みにどれだけ早く降りようと温泉は10:00まで開かない。
コンビニすらも遠いため、いかなる下界飯にありつける訳でもなし。
なにもメリットなどないが、そういう問題ではない。
もっと根本的ななにかによって引き起こされる衝動だ。

途中で昨日のトレース主に追いつき、トレースのお礼を伝えた。
わかんも持っていらしたが、足跡を見るに上りもすべてツボ足だったようだ。
やはりお強い。

2000m付近から凍結が激しく、丁寧に降りざるを得なかったが、水場入り口付近からはそれもほとんどなくなった。

凍った森が綺麗で、一瞬立ち止まる(タイムロス)


雪は水場入り口上あたりから



橋を走るのはマナー違反
ここでゴールとした

TIME:2時間17分 
風呂が開くまで1時間

・・・


最後のRTAは知らないが、4日間は最高の天気のもと白峰の山々にじっくり浸ることができ、本当に幸せな時間であったと思う。
(参考:今年度実績:22戦 6勝☀ 3分☁ 13負☂🌀

その後は、4日間でベルト穴1つ分失ってしまった栄養をおきらく亭で補充。
行きとは違って明るい帰路についた。

えび天そば定食、なんとこれで1100円 
喫煙OKなので苦手な人は注意
自分は吸わないが、一人の時は気にしないので個人山行の帰りにはよくここで食べる。
上記のことが気にならない人にはめちゃおすすめです。









ちなみに、ちゃんと帰宅途中には雨に降られたとさ!!!


まとめ:

初めての白峰三山は1年の8月、夏合宿を前に練習で登りました。これが人生初の縦走となったわけでしたが、先輩の目論見通りか縦走のキツさと共に、白峰三山の雄大な景色を深く刻み込まれたのを覚えています。

笹山は、先輩から主将を引き継いだ2年の終わり、先輩抜きでリーダーとして部を率いていく際に初めて行く山として選んだもので、その時に笹山と白峰三山を繋ぐ稜線を歩く計画を立てていたと思います。

それ以降も半年に一回程度はこの山域を訪れ、1年の時から思い入れがある山だからこそ、学部の最後は白峰三山を登りたいと思い、計画を立てました。

4年間の活動は、部の運営も個人の成長も全く思ったようにはいかず、後悔も悔しさも多いものでした。山岳部の先輩方を見ていると、まだまだ全然知らないこと、できないことだらけで情けないですが、しかし、本山行は自分の現状ではいろいろな面でベストであったものだと思います。現状の自分にできるベストはこんなものですが、なんとか4年間の活動に一つ感情の区切りをつけることができてよかったです。

本山行を経て、なにかが劇的に変わることはありませんが、新鮮な気持ちもまた思い出すことができました。今後も初心を忘れず幅広く、かつより深く遊んでいけたらと思います。
(文:蓮容)

2023年2月19日日曜日

2023/2/17~19 南アルプス上河内岳・茶臼岳(春季・決算合宿)

日時:2月17日(金)~2月19日(日)

メンバー:CL蓮容,SL増地,池田,鈴木(健)有間,奥津,鈴木(琴)

行程:
17日:静岡=畑薙・沼平ゲート-畑薙大吊橋-ウソッコ沢小屋-中の段-横窪沢小屋-樺段-茶臼小屋

18日:茶臼小屋-(稜線)-奇岩竹内門-(撤退)-茶臼岳-茶臼小屋-横窪沢小屋

19日:横窪沢小屋-ウソッコ沢小屋-畑薙大吊橋-畑薙・沼平ゲート=静岡

20日:予備日


記録:
今年度の決算合宿は南アルプス茶臼・上河内岳へ行ってきました。結論から言うと、上河内岳は強風撤退しました。ですが、今回の山行から学んだことは多く、そう言う点ではなんとか決算山行として形になったと思います。

17日:天候 晴

3:30に部室集合し、いつもより念入りに装備チェックをし、沼平ゲートへ向かう。道中に凍結はなく楽な運転だった。

出発

畑薙大吊橋までの林道を歩く。荷物が重い日はいきなり登山口から歩き出すよりも、多少の林道歩きで身体を慣らしてから登るほうが調子がいいのはいつものことである。吊り橋渡りは自分が一番ペースが遅かった。これもいつものことである。


ヤレヤレ峠 まだヤレヤレはしない

沢筋へ

ヤレヤレ峠を越え一旦沢に降りる。この一回沢に降りる行程のせいで、1時間で高度を50mほどしか稼げていないのは悲しい。



ウソッコ沢小屋手前で有間がオーバーミトンを崖際に落とすアクシデントが起こった。蓮容さんが空荷で下降し回収してくださった。ここで回収不能になれば撤退もあり得た場面なので割とターニングポイントだった。樹林帯でオーバーミトンを外しこそすれどつけなおす場面ってほぼないので、正直腕に留めるよりザックにしまっておいたほうが無難だと思う。

後日聞いた話だが、有間はあまりに今日は物が落ちるので次は自分が落ちるんじゃないかと心配していたらしい(笑)

流石です

ウソッコ沢小屋

入山〜横窪沢小屋まではいいペースできており、1年生は入部当初に比べると本当に馬力がついたなと思った。1日目はペース次第では横窪沢小屋で行程を終えることも考えていたが、このまま茶臼小屋を目指すこととなった。

こういう橋ほんと嫌い定期

1年生達。あれ?ひとり足りないような。。。

無じかえる🐸

雪が増えてきたところでアイゼンを装着。途中からはずっとラッセルになり消耗したが、今回はラッセル要員が多いので助かった。ケンティーがノリノリでラッセルをしていたので成長を感じた。アイゼンワカンに付け替え、ソロで来ていた方とも協力しながら徐々に高度を稼いでいく。

一筋縄ではいかない

課題だったトラバース区間

茶臼小屋へ

尾根筋から茶臼小屋のある沢筋へトラバースしていく区間は、埋もれる雪だったおかげで夏道の赤テープをほぼたどる形で進むことができた。ソロの方によると上部の方に冬季ルート?があるらしい。
予想外のラッセルで時間がかかってしまったがなんとか17時前に行程を終えることができた。

美しい

夜ご飯は鍋と米だった マイタケが美味い

明日についての話し合いを終え眠りにつく。
奥津の0番シュラフと自分の1番シュラフを交換したがめちゃくちゃに快適で爆睡した。


18日:天候 曇りのち雨

外へ出て思った。あれ?雲黒くね?

午後には南岸低が来て悪くなる予報だったが朝の時点で微妙な天気だった。稜線へ上がってみると叩きつけるような突風に思わず耐風姿勢を取る。目指す上河内岳の山頂がガスに覆われているのが見えた。ここからは夏道ではなく基本的に尾根を外さないように歩いていく。


降雪はまだ先なので進む

聖方面が本当に暗い

アイゼンがよく決まっていたが徐々に埋まりだす


風下側に入ると吹き溜まっており再びラッセルになる。今山行2度目のアイゼンワカンに付け替え歩を進める。やはり風が強い。それもありなかなかペースを上げられない。

なんとか奇岩竹内門に到着したが、この強風で先の痩せ尾根やクラスト斜面を突破するのは難しいとなりここで撤退が決定した。この時風にあおられた拍子に足を攣ってしまい無様な醜態を晒してしまった(ついでにオーバーミトンも飛びかけました)。

一瞬晴れ間が

撤退を始めた瞬間に青空が顔を出したので蓮容さんも言っていたが、多分「その判断、正解!」の晴れ間だったんだろうなあと思う。

近いようで遠かった上河内。シュカブラが綺麗

聖岳が一瞬見えたが写真を撮る頃には隠れてしまった

分岐へ戻り、すぐに登頂できて危険箇所もない茶臼岳だけでも拝みにいく。9月にここへ来たときは雲ひとつない快晴で、その時の景色と照らし合わせながら歩く。

ツーショット

1、3年生で

降りる

茶臼小屋まで戻り大休止。奥津を埋めて遊んだりなどした。

0h~~~マンマミーヤ!

この時点で12時だったので横窪沢小屋まで下山することにする。しばらくすると雪が降り出した。明日の夕方ぐらいまでは降り続く見込みなので結構積もるか?とか思ってたらだんだんみぞれみたくなってきた。ん?みぞれ?いや、これはみぞれじゃない...?

雨やん

静大山岳部屈指の雨男、我らが蓮容さんはここでも豪運を発揮し、この2月の標高1630mの地に雨を降らせ奉った。まさか龍信って竜神(雨・水を司る神)と掛かってたりしますか?静岡は蓮容さんがいる限り飢饉の心配はない。

これには自分も涙を禁じ得ない(泣いてないです)

生熊が鈴木の誕プレにあげた大福をむさぼる竜神

しかし濡れや凍結によるスリップのリスクを考えると全く喜べることではなかった。まだ足を滑らせると助からないようなトラバース区間がいくつも残っている。皆が寝静まった頃外で音楽を聴いて心を落ち着かせる。こんな時でも音楽は音色ひとつ変えず鳴ってくれるのでありがたい。行きでも見た「無じかえる🐸」の看板が目に留まった。そうだ、無事帰る。


19日:天候 雨

天気は相変わらずだった。皆で気を引き締め出発する。

こういう橋ほんと嫌い定期

例のトラバース区間はやはり凍結が目立つ部分が多かった。アイゼンを履いたほうがいいのではと審議したが、木や枝に引っ掛けるリスクもあるということで結局履かなかった。自分が一番怖がって慎重に歩き過ぎてしまったので反省点である。


一歩一歩確実に

ウソッコ沢小屋までくれば凍結はほぼなくなった。崖下に目をやると濁流となった沢がうねりをあげて流れている。大丈夫、こんな音怖くない。

ヤレヤレだぜ。。。

蓮容さんが行き道に落としたコンパスはこの辺で見つかった(小声)
池田もミカンを小屋に置いてきたから取りに戻りたいと言っていた。今山行は落し物が多い
11:40下山。お疲れ様でした!

林道は行きと違い荒れていた。本当にこの辺の道は
災害との戦いなんだろうなあと思う。

上河内岳の山頂が踏めなかったのは残念だが、みな楽しみながらよく頑張ったと思う。帰りは白樺荘の温泉につかり、道が楽な焼津方面から帰った。帰りの定食屋も美味かった。

部室へ帰ると海外旅行中の高林が置き手紙とともにジュースを残置してくれてあった。やさ林。


まとめ:
目まぐるしい1年間だったが、(僕の滑落を除けば)事故もなくやってこれて安堵している。その時の怪我のせいで夏の本合宿が行えなかったのは心残りだ。来年はぜひ、、、!

去年度はコロナや力量的な面でなかなかうまく活動ができなかった。蓮容さんが残ってくださったことでほぼ去年度のメンバーのままで、かつモチベーションの高い1年生達が入って活動を行えたことで、今年度は活動の幅を広げることができたと思う。

最後に個人的な来年度の抱負を書いておきたい。次夏は北岳バットレスへ行ってみようと思う。正直冬シーズンは目の前のことで精一杯でアルパインのことなど考える余裕はなかったが、決算が終わり少し余裕ができたことで挑戦してみたくなった。院試の勉強もあるので夏の間は山に時間をあまり割けないかもしれないが、せっかく頼もしい先輩に恵まれたのでこの機会に存分に楽しんでおこうと思い、ます。

(文:増地)