2023年2月19日日曜日

2023/2/17~19 南アルプス上河内岳・茶臼岳(春季・決算合宿)

日時:2月17日(金)~2月19日(日)

メンバー:CL蓮容,SL増地,池田,鈴木(健)有間,奥津,鈴木(琴)

行程:
17日:静岡=畑薙・沼平ゲート-畑薙大吊橋-ウソッコ沢小屋-中の段-横窪沢小屋-樺段-茶臼小屋

18日:茶臼小屋-(稜線)-奇岩竹内門-(撤退)-茶臼岳-茶臼小屋-横窪沢小屋

19日:横窪沢小屋-ウソッコ沢小屋-畑薙大吊橋-畑薙・沼平ゲート=静岡

20日:予備日


記録:
今年度の決算合宿は南アルプス茶臼・上河内岳へ行ってきました。結論から言うと、上河内岳は強風撤退しました。ですが、今回の山行から学んだことは多く、そう言う点ではなんとか決算山行として形になったと思います。

17日:天候 晴

3:30に部室集合し、いつもより念入りに装備チェックをし、沼平ゲートへ向かう。道中に凍結はなく楽な運転だった。

出発

畑薙大吊橋までの林道を歩く。荷物が重い日はいきなり登山口から歩き出すよりも、多少の林道歩きで身体を慣らしてから登るほうが調子がいいのはいつものことである。吊り橋渡りは自分が一番ペースが遅かった。これもいつものことである。


ヤレヤレ峠 まだヤレヤレはしない

沢筋へ

ヤレヤレ峠を越え一旦沢に降りる。この一回沢に降りる行程のせいで、1時間で高度を50mほどしか稼げていないのは悲しい。



ウソッコ沢小屋手前で有間がオーバーミトンを崖際に落とすアクシデントが起こった。蓮容さんが空荷で下降し回収してくださった。ここで回収不能になれば撤退もあり得た場面なので割とターニングポイントだった。樹林帯でオーバーミトンを外しこそすれどつけなおす場面ってほぼないので、正直腕に留めるよりザックにしまっておいたほうが無難だと思う。

後日聞いた話だが、有間はあまりに今日は物が落ちるので次は自分が落ちるんじゃないかと心配していたらしい(笑)

流石です

ウソッコ沢小屋

入山〜横窪沢小屋まではいいペースできており、1年生は入部当初に比べると本当に馬力がついたなと思った。1日目はペース次第では横窪沢小屋で行程を終えることも考えていたが、このまま茶臼小屋を目指すこととなった。

こういう橋ほんと嫌い定期

1年生達。あれ?ひとり足りないような。。。

無じかえる🐸

雪が増えてきたところでアイゼンを装着。途中からはずっとラッセルになり消耗したが、今回はラッセル要員が多いので助かった。ケンティーがノリノリでラッセルをしていたので成長を感じた。アイゼンワカンに付け替え、ソロで来ていた方とも協力しながら徐々に高度を稼いでいく。

一筋縄ではいかない

課題だったトラバース区間

茶臼小屋へ

尾根筋から茶臼小屋のある沢筋へトラバースしていく区間は、埋もれる雪だったおかげで夏道の赤テープをほぼたどる形で進むことができた。ソロの方によると上部の方に冬季ルート?があるらしい。
予想外のラッセルで時間がかかってしまったがなんとか17時前に行程を終えることができた。

美しい

夜ご飯は鍋と米だった マイタケが美味い

明日についての話し合いを終え眠りにつく。
奥津の0番シュラフと自分の1番シュラフを交換したがめちゃくちゃに快適で爆睡した。


18日:天候 曇りのち雨

外へ出て思った。あれ?雲黒くね?

午後には南岸低が来て悪くなる予報だったが朝の時点で微妙な天気だった。稜線へ上がってみると叩きつけるような突風に思わず耐風姿勢を取る。目指す上河内岳の山頂がガスに覆われているのが見えた。ここからは夏道ではなく基本的に尾根を外さないように歩いていく。


降雪はまだ先なので進む

聖方面が本当に暗い

アイゼンがよく決まっていたが徐々に埋まりだす


風下側に入ると吹き溜まっており再びラッセルになる。今山行2度目のアイゼンワカンに付け替え歩を進める。やはり風が強い。それもありなかなかペースを上げられない。

なんとか奇岩竹内門に到着したが、この強風で先の痩せ尾根やクラスト斜面を突破するのは難しいとなりここで撤退が決定した。この時風にあおられた拍子に足を攣ってしまい無様な醜態を晒してしまった(ついでにオーバーミトンも飛びかけました)。

一瞬晴れ間が

撤退を始めた瞬間に青空が顔を出したので蓮容さんも言っていたが、多分「その判断、正解!」の晴れ間だったんだろうなあと思う。

近いようで遠かった上河内。シュカブラが綺麗

聖岳が一瞬見えたが写真を撮る頃には隠れてしまった

分岐へ戻り、すぐに登頂できて危険箇所もない茶臼岳だけでも拝みにいく。9月にここへ来たときは雲ひとつない快晴で、その時の景色と照らし合わせながら歩く。

ツーショット

1、3年生で

降りる

茶臼小屋まで戻り大休止。奥津を埋めて遊んだりなどした。

0h~~~マンマミーヤ!

この時点で12時だったので横窪沢小屋まで下山することにする。しばらくすると雪が降り出した。明日の夕方ぐらいまでは降り続く見込みなので結構積もるか?とか思ってたらだんだんみぞれみたくなってきた。ん?みぞれ?いや、これはみぞれじゃない...?

雨やん

静大山岳部屈指の雨男、我らが蓮容さんはここでも豪運を発揮し、この2月の標高1630mの地に雨を降らせ奉った。まさか龍信って竜神(雨・水を司る神)と掛かってたりしますか?静岡は蓮容さんがいる限り飢饉の心配はない。

これには自分も涙を禁じ得ない(泣いてないです)

生熊が鈴木の誕プレにあげた大福をむさぼる竜神

しかし濡れや凍結によるスリップのリスクを考えると全く喜べることではなかった。まだ足を滑らせると助からないようなトラバース区間がいくつも残っている。皆が寝静まった頃外で音楽を聴いて心を落ち着かせる。こんな時でも音楽は音色ひとつ変えず鳴ってくれるのでありがたい。行きでも見た「無じかえる🐸」の看板が目に留まった。そうだ、無事帰る。


19日:天候 雨

天気は相変わらずだった。皆で気を引き締め出発する。

こういう橋ほんと嫌い定期

例のトラバース区間はやはり凍結が目立つ部分が多かった。アイゼンを履いたほうがいいのではと審議したが、木や枝に引っ掛けるリスクもあるということで結局履かなかった。自分が一番怖がって慎重に歩き過ぎてしまったので反省点である。


一歩一歩確実に

ウソッコ沢小屋までくれば凍結はほぼなくなった。崖下に目をやると濁流となった沢がうねりをあげて流れている。大丈夫、こんな音怖くない。

ヤレヤレだぜ。。。

蓮容さんが行き道に落としたコンパスはこの辺で見つかった(小声)
池田もミカンを小屋に置いてきたから取りに戻りたいと言っていた。今山行は落し物が多い
11:40下山。お疲れ様でした!

林道は行きと違い荒れていた。本当にこの辺の道は
災害との戦いなんだろうなあと思う。

上河内岳の山頂が踏めなかったのは残念だが、みな楽しみながらよく頑張ったと思う。帰りは白樺荘の温泉につかり、道が楽な焼津方面から帰った。帰りの定食屋も美味かった。

部室へ帰ると海外旅行中の高林が置き手紙とともにジュースを残置してくれてあった。やさ林。


まとめ:
目まぐるしい1年間だったが、(僕の滑落を除けば)事故もなくやってこれて安堵している。その時の怪我のせいで夏の本合宿が行えなかったのは心残りだ。来年はぜひ、、、!

去年度はコロナや力量的な面でなかなかうまく活動ができなかった。蓮容さんが残ってくださったことでほぼ去年度のメンバーのままで、かつモチベーションの高い1年生達が入って活動を行えたことで、今年度は活動の幅を広げることができたと思う。

最後に個人的な来年度の抱負を書いておきたい。次夏は北岳バットレスへ行ってみようと思う。正直冬シーズンは目の前のことで精一杯でアルパインのことなど考える余裕はなかったが、決算が終わり少し余裕ができたことで挑戦してみたくなった。院試の勉強もあるので夏の間は山に時間をあまり割けないかもしれないが、せっかく頼もしい先輩に恵まれたのでこの機会に存分に楽しんでおこうと思い、ます。

(文:増地)

2023年1月22日日曜日

2023/1/21~22 中央アルプス檜尾岳

日時:1月21日(土)~1月22日(日)

メンバー:CL増地,SL奥津,生熊,高林,東,鈴木(健),池田,有間,鈴木(琴),市川

行程:

21 静岡=新太田切発電所―檜尾登山口―赤沢の頭―しゃくなげのピーク下幕営適地 

22 幕営適地―しゃくなげのピーク―檜尾岳避難小屋―檜尾岳―檜尾岳避難小屋―しゃくなげのピーク―赤沢の頭―新太田切発電所=静岡


記録:


21日 天候 晴

「卒論に集中する必要がある」と今泉先生に連行されていった蓮容さんに思いを馳せながら新太田切発電所へ向かう。今回はOBの市川さんに同行いただきました。感謝です。

今回の檜尾岳は自分が1年生の時に市川さん達に連れて行ってもらった場所であり、今回は自分が連れて行く立場となった。前回はラッセルにひどく苦しめられた(2021年1月30日(土)〜1月31日(日)檜尾岳)が今回はどうだろうか。山行の直前まで冬型の気圧配置だったが、上空の寒気が弱いので降雪はあっても少ないと予想していた。実際登山口についても積雪がなく雪は少なそうである。


とりあえず林道歩き

天気もよい

雪もあまりないので軽快に登る。凍結箇所が目立つので早めにアイゼンを装着した。



気持ちがいい

赤沢の頭着 順調

登山口から2時間半で赤沢の頭に到着した。前回は看板が埋まってしまっていたが今回は剥き出しである。オール締まった雪でコンディションは非常によい。しかし運動久方ぶりの市川さんは足が攣りかけらしく、「ゆっくり行くから先行ってて」と言い残し消えていった。市川さーーん!!

はい


はい


12:30には幕営予定地であるしゃくなげのピーク下の平坦地に到着し、ゆったりとしたひと時を過ごした。ここまで順調に行くとは思っておらず少し拍子抜けである。

自分のインナー手袋に穴が開いてしまったので
生熊に指導をもらいながら修繕した

追い出したとか、そんなんじゃないです

22日 天候 晴



うどんをすすり、5:30に出発。・・・しようと思っていたが25分を過ぎてもアイゼン装着はおろかテントから出てきてない者もちらほらいた。用意が遅い人は前日夜にある程度、次の日に使う荷物をまとめておくなど工夫が必要である。40分過ぎに出発。徐々に尾根が痩せてくるので慎重に進む。


しゃくなげのピークを暗いうちに通過

風も弱い

夜明けが近い

よい!南ア八ヶ岳がハッキリ見えた

道中はトラバース箇所もいくつかある。特に先頭の奥津高林の2人がどこをどう進むか活発に議論しているのが良かった。来年度も部の主体として動いていく2人であり、連携も取れていて今後が楽しみである。


まるで空も凍っているよう

小檜尾岳到着!

ここまで来れば後少し

檜尾小屋でザックを下ろし山頂へ向かう


今回の唯一の難所はここだった。山頂直下の急斜面がガチガチにクラストしており、アイゼンピッケルをザシュ!ザシュ!しながらのほふく前進で登った。下級生もここが核心になるとは思ってなかっただろう。この時前を進む人の直線状に続く者がいたがもし前の人が滑落した場合どうやって避けるつもりなんだろうか?

ザシュ...

ザシュ...

登り終えればこの景色

うおーーっ

檜尾岳登頂!


下りも同じ要領で

小屋に戻って一安心。帰りはひたすら下ってお疲れ様でした。

カモシカがいたのでパシャリ

僕も一口もらったんですが美味かったです

まとめ:
蓮容さんがいないおかげで天候に恵まれる良い山行になった。
雪が少なかったので2年前とは全く違う山をやっているようだった。例えば前回は尾根通しで無理矢理行くしかなかった部分が夏道ですんなりトラバースできたりと、雪のつき方次第で全く難易度が変わるということを改めて感じることとなった。行程こそやや楽なものになってしまったが、クラスト斜面でのアイゼン歩行は十分にできそれは決算に向けての大きな収穫だったと思う。
市川さんありがとうございました!

おまけ:あいもり定食を注文しニコニコの池田☺️

(文:増地)