2019年4月3日水曜日

2019/3/22 中央アルプス 木曽駒ケ岳

日時:3月22日(金)

メンバー:CL大井,若月,杉山,高田,市川,宮下,中嶌,中川,高橋

行程:
22日:静岡=菅の台バスターミナル(08:15)-しらび平(09:05~09:30)-千畳敷(雪訓09:30~10:50)-浄土乗越(11:45)-中岳(12:15)-木曽駒ケ岳(12:45~13:10)-中山(13:30)-浄土乗越(13:50)-千畳敷(雪訓14:20~15:30)-千畳敷(15:55)-しらび平(16:02)-菅の台バスターミナル(16:45)=静岡

記録:
1年生はこれまでに、雪上訓練を2度程富士山で実施してきたが、雪不足のためにどちらも満足にこなせたとは言い難かった。4年生の卒論などが大方終わり、時間が取れるタイミングで雪訓を兼ねて山行を実施した。
4年生が4人(大井,杉山,若月,高田)も集まったのは1年ぶりくらいではなかろうか(もう1人いるはずの4年生の存在はきにしない)。
特に杉山は就職で静岡から離れるので、これから一緒に山に行ける頻度もがくっと減るだろう…。杉山の門出を祝うお別れ山行になってしまった。

02:30に静岡の部室に集合し、03:00前には部室を出発。高田車と杉山車に分かれ発進。当初の山行計画では八ヶ岳方面に行く予定であったが、唐沢鉱泉手前3㎞程で突然路面状況が悪くなり、前進を断念。杉山車と協議の結果、木曽駒ケ岳なら、始発のロープウェイに間に合うのではないかとの結論に至り、駒ヶ根方面に転進することとなった(06:30)。
高速も利用し、菅の台バスターミナルに始発前に到着する。始発のバスには乗れたが、始発のロープウェイには乗れず、増発便が出る09:30までしらび平で待機した。
当日の千畳敷の様子
千畳敷カールを見上げる市川

最初に雪訓として弱層テストと雪上歩行の練習を1時間程行った。


弱層テストをする1年生

雪上歩行訓練の様子
10:50頃に雪訓は終了し、木曽駒ケ岳へと向かう。
八丁坂を下から見上げる
久しぶりの登山が慣れない雪山のせいか、高橋,中嶌,中川の3人はしんどい様子。
辛い時に歩行が乱れるので、そこを意識させながら登っていく。
浄土乗越に11:45到着。封建山荘付近で休憩をとった。
稜線上は風が強いかと思ったがそうでもなく、安心。
浄土乗越に到着
ギロチンで処刑される高田
休憩後、中岳を目指し出発。中岳には12:15頃到着した。
中岳ですれ違ったパーティから山頂にタヌキがいると聞き、ちょっとわくわく。
中岳からの下りでせっかく稼いだ標高を無駄にしたくないとぼやく中嶌。
駒ケ岳山頂まであと少し
12:45木曽駒ケ岳山頂到着。
天気が良く御嶽から乗鞍、北アルプスまでよく見える。
木曽駒ケ岳から見る空木岳方面もまた美しい。
山頂にて
そして山頂の鳥居付近でタヌキを発見。
このタヌキは何故山頂を目指したのか思いを巡らせる。
アルパインクライマー
山頂を13時過ぎに出発。行きと同ルートで下山。
千畳敷には14:20頃に到着する。時間もあり、富士山では満足にできなかった滑落停止訓練を行った。
雪上訓練も終わり、ロープウェイを待つまでの間、4年生と1年生に分かれての雪合戦となった。両軍とも塹壕を掘りながらの戦いとなり、第一次大戦を彷彿させる熾烈な戦いであった。結果は2勝1敗でもちろん上級生が勝った。正直雪合戦が1番疲れた。
激戦の最中カメラが捉えた1枚
15:55のロープウェイに乗って千畳敷を後にする。ロープウェイ内で話を聞くと、今年はやはり降雪量が少ないとのこと。
菅の台バスターミナルに到着した後は、こまくさの湯に入り明治亭でソースカツ丼を食べるおなじみ?のコース。静岡には12時前に戻って解散となった。



まとめ:
当初は天狗岳に行く予定であった今山行だったが、まさかのアプローチ敗退となり、転進しての木曽駒ケ岳であった。
天気もよく、楽しい登山となった。
1年生にとって初めてとなる本格的な雪山山行であったため、慣れない部分が多く疲れたと思う。今回の登山で雪山やりたいと思ってくれれば幸いである。
今後、後輩主体の部活動となっていくが、どんな山岳部になっていくか楽しみである。

(文:大井)

2019年4月1日月曜日

2019年3 月27 日~28 日 白根南嶺 笹山(黒河内岳)東尾根

日時:2019年3月27日(木)~3月28日(金)

メンバー:CL若月, 市川, 宮下, 中嶌

行程:
27日:静岡→奈良田温泉駐車場→東尾根取付→2330m 平坦地
28日:幕営地→笹山南峰→笹山北峰→笹山南峰→幕営地→東尾根取付→奈良田温泉→静岡
29日:予備日
記録:
 予め深夜の内に奈良田温泉付近の駐車場にテントを張り就寝。3シーズンシュラフで冬山を乗り切ろうとした中嶌はその寒さに驚愕しこれから2000m登ることへの一抹の不安を覚える。

朝7時に出発しつり橋を渡り付近の笹山登山口にとりつく。最初尾根を登っている最中の景色は正しく夏山の様相でありかなり暑かった。3月後半ともあり山はすっかり葉をつけ緑一色であった。
標高1603m地点で水場入り口に到達する。南アルプスの天然水を北アルプスの天然水ペットボトルにいれる市川。そういうところだぞ。
冬眠から覚めた熊だろうか?ただの土方だろうか?。イカしたザックをもっている。
標高2000m程で冬山らしくなる。段々と積雪が見られるようになった。ここでアイゼンを装着する。過去数回の雪上訓練を経て一年生はなんとかアイゼン歩行を習得した。完璧とは言えないものの着実に歩を進めて行く。
ひたすら歩を進め何とか幕営予定地に到着。標高2300m地点である。雪の上にテントを張るのは初めての経験であり疲れた体では中々大変であった。さて、冬山での楽しみの一つと言えば暖かい食事であるがチーズに脳髄まで浸した若月先輩のせいで(おかげで)魔のキムチチーズ鍋が完成する。見た目こそ橋倉先輩の故郷である極貧ルンペン収容地栃木県の郷土料理「しもつかれ」を彷彿とさせるが味は抜群である。「キビャック」と同じで見た目によらないのである。おいしいものにおいしいものを加えているのだから不味くなるはずがないと孟子も言っていた。


中嶌はプラティパスに穴が開いており防寒具がびしょぬれになっていた。緊急下山も考えられたがドライバッグにシュラフを入れていたため難を逃れた。二日目、天候がすぐれず行動開始が朝5時となる。ワカンを用いて笹山まで向かう。雪もやむことなく景色も何も見えなかったため北嶺は断念。そのまま幕営地に降り撤収。
爆速で下山し帰りは奈良田温泉を満喫する。

まとめ:
冬山に泊まるというのが初めてだったということもあり寒さを舐めていた。地面が雪なので体温をごりごり持っていかれる。さらにウンチをするときに寒すぎて尻の感覚が消えうせパンツを上げたはずなのにそれを感知できず存在しないパンツを探し続ける奇行に及んでしまった。雪があるというだけで足の疲労は並みのものではなく体力のない私は市川宮下にラッセルを任せっきりになってしまった。来シーズンはより強くなってバリバリ冬山を登れる男になろうと思った。関係ないが私はあまり疲れると黙り込み脳内で忍たま乱太郎の「勇気100%」を流し精神を安定させている。

(自由律俳句 吟者:中嶌聖朗)

2019年2月24日日曜日

2019/2/21 中央アルプス宝剣岳サギダル尾根


日時:2019年2月21日(木)

メンバー:CL高田,大井

行程:
21日:静岡=菅の台バスセンター(7:50~8:15)-千畳敷駅(9:20~9:45)-サギダル尾根登攀(9:55~11:45)-サギダルの頭(11:45)-宝剣岳(12:50~13:18)-乗越浄土(13:48)-千畳敷駅(14:04~14:55)-菅の台バスセンター(15:45)=静岡

記録:

千畳敷駅前の鳥居の裏から尾根に取り付く。
いきなり傾斜が強く、ふくらはぎに乳酸が溜まる。
雪山久しぶりの大井は少しきつそう。
今日のサギダル尾根は1名が他にいただけでほぼ貸切状態。
左ピークがサギダルの頭、右が宝剣岳


鳥居裏から取り付く、一番手前に見える峰は左から巻く




1ピッチ目


1ピッチ目ビレイ支点はピナクルから


1ピッチ目
ロープを準備しているとソロの登山者が1名来られたので先に行ってもらった。
フリーソロで横にあるワイヤーを掴みながら登って行った。
1P目は高田リード、始め10数mは強傾斜の低木帯。
これを抜けると、雪のあまりついていない壁になる。
ホールドスタンス豊富で僅かについてる雪も
硬いのでピッケルがよく効く。
展望のきく楽しいクライミングとなる。
ここを抜けると1m位の細いリッジがあり再び低木帯。
ハイマツの根っこで終了点を取る。
2P目は大井リード、始め10数mは強傾斜の雪壁。
適度に締まった雪でピッケル・アイゼンが小気味よく決まる。その後は傾斜が緩みサギダルの頭に着く。
サギダル尾根登攀中に宝剣岳を望む


1P目核心


2P目

登攀中の動画







御嶽!来年冬は登れるかな?




夏道の鎖が出てました


途中巻くときは木曽側。但し木曽側は卓越風の関係で総じて硬い雪面につき注意


三の沢岳をバックに高田。なかなかいい山容です


宝剣岳山頂


宝剣岳からの下り


乗越浄土あたりまで降りてくると安心


無事登らせてもらい感謝!
サギダルの頭から木曽側に少し降り、夏道に沿って宝剣岳を目指す。
途中巻くときは木曽側を巻くが総じて木曽側は堅い雪面なので注意。
宝剣岳山頂からの下りは青氷ぽくなっており、緊張した。

まとめ:

同メンバーで仙塩尾根を計画していたが、卒論執筆や就活の関係で中止…
でも山行きたいね!ということで都合のついた1日。
少しの罪悪感を感じながらロープウェイを使ってサギダル尾根に行ってきた。

一番の核心は宝剣岳からの下りだった。
区間は長くないものの、風に叩かれ青氷気味になっておりアイゼンが全然刺さらない。
登ろうとしていたガイド登山のパーティーはその状況に引き返していった。登りでこの斜面を見ていたら私たちも引き返していたかもしれない。
今回のように天候が良くとも、前日までの気温変遷、降雪、斜面の向き如何で山のコンディションは恐ろしいものとなる。
アイゼンを強く蹴り込みながら慎重にゆっくり降りた。
中央アルプスでは2月上旬に相次いで3名が亡くなった。亡くなった方にはTJAR完走者の西田さん、海外登山もされるfinetrack社幹部の方も含まれた。
言わずもがな登山経験が豊富な方々だ。
事故日の気象条件は私達同様、悪くなかったという。
ただ同じなのは、「季節外れの高温の後の気温低下」後というコンディションだ。
これは残雪期である3~5月にも起こりやすい状況のように思う。
残雪期登山となるとアイゼン研ぎが疎かになるなど、厳冬期に比べ気が緩むように思う。
経験豊富な方々でさえ簡単に命を落としてしまう雪山。
準備や予測で避けられるリスクはなるべく避けたい。

(文:高田)

2018年12月31日月曜日

2018.12.27~28 海金剛スーパーレイン

日時:12月27日(木)~12月28日(金)

メンバー:若月(CL),市川(食料)

行程:
26日:富士宮→松崎町・雲見海水浴場駐車場(車移動のみ)
27日:駐車場(6:20)→スーパーレイン取付(9:45)→(15:10)海金剛頂上(15:20)→(22:00)スーパーレイン取付
28日:海金剛基部(10:30)→(13:40)駐車場→富士宮

年末。
富士の実家に帰省するも、どうにも暇な日ができてしまいそうだったので、
近く富士宮出身の市川に声をかけてクライミングに行ってきました。

狙ったのはマルチの有名ルート・海金剛のスーパーレイン。
全7ピッチで、うち3ピッチがテン台となかなか手強いルートです。
また、初登者は静大OBの真達さんであり、静大山岳部と縁のあるルートでもあります。

結果はと言えば、登攀自体はおおむね順調だったものの、懸垂下降で大大大苦戦。
いろいろと面白い課題を発見した山行となりました。


記録:
「海金剛が初めてのクライマーはお断りします。」
事前に問い合わせると、雲見オートキャンプ場にバッサリ断られてしまった。

仕方なく雲見観光協会の方に問い合わせてみると、雲見海水浴場の駐車場を使用しても良いとのことで、そちらを利用させていただく。
あとは幕営地だが、トポに海金剛の基部に幕営可と書いてあるので、それを信じてとりあえず行ってみることにした。

26日:
富士宮で市川を拾い、雲見海水浴場へ移動。車の中で寝た。

27日:
6時に起きて、6時20分頃に駐車場を出発。
長い1日が始まります…
















まだ薄暗い。
30分くらい歩くと、海金剛へと続くアプローチ道の入口に到着しました。
















6時50分。ここから山道を行く。ピンボケでごめんなさい…


























アプローチ道。ところどころ崩れているが、山岳部なので(?)歩くのは問題なし。
1時間半くらいで崖に出た。


























ここで朝8時。この崖はロープをフィックスして懸垂下降。
この崖を降りればスーパーレイン取付まであとわずかです。


























写真にある尾根の鞍部を目指してさらに進みます。



























尾根の裏側にテントを設営。
とはギアの準備をしてスーパーレインに向かい、9時46分に登攀開始!

1ピッチ目:5.8


























取り付きから見上げた最初のピッチ。凹角をガシガシ登るラインです。
最後のトラバースは度胸を試されるところ。


























1ピッチ目・恐怖のトラバース前の市川。
彼は1年生ながら室内壁でイレブン後半をリードするツワモノで、すいすい登ってきました。

2ピッチ目:歩き


























ここで10時50分。
次のピッチの取り付きまで。茂みの中を移動します。

3ピッチ目:5.10a
正面にクラックが見えるが、右側の易しいところから登った。
右上するフィンガークラックが難しい。
途中で小さいカムを使い果たし、最後はナッツで何とか。
ここはフィンガーサイズのカムが2セットあると重宝するかもしれません。


























11時20分。3ピッチ目をフォローする市川。

4ピッチ目:5.10a



























3ピッチ目終了点から見上げる4ピッチ目。
易しいフェイスを登り、シンハンド~ハンド~OWと続きます。
最後のワイドにキャメロット5番がありがたかった。

このピッチの終了点は居心地が良く、小休止を挟みました。


5ピッチ目:5.10a



























4ピッチ目から見上げる5ピッチ目。
出だしの階段状フェースから写真左のクラックをたどります。
核心のハング越えはなかなかパワフル。
終了点手前も岩が脆く、気が抜けません。
















5ピッチ目をフォローする市川。海がきれい。


6ピッチ目:5.8
下部要塞の薄被りフェースを右側のクラックから越えます。
ハングの下を左側へトラバースするところが難しかったです。
ここまでは穏やかだったのだが、この辺りから風が強くなってきた。


7ピッチ目:
易しそうに見えたので、市川にそのまま上がって貰いました。


























しかし、写真のクラックが思いのほか難しく、代打要請。
その上もプロテクションが限られ、渋いピッチでした。
登攀の難易度は見かけによらないものです。


























15時10分。無事に海金剛のてっぺんに到着!

時間が押し気味なので、休憩もそこそこに懸垂下降を開始しました。
が、ここからが大変でした。

懸垂下降がとにかくはかどりませんでした。原因は強風。


























懸垂下降中、風で大きくたわむロープ。
4ピッチ目終了点から撮影したものですが、この辺りは特に風が強かったです。

風で引かれてロープの繰り出しが上手く出来なかったり、
コールが届かなかったり、
ロープが回収不能になって5ピッチ目を登り返したり、
落としたロープが真横に飛んで行って岩角や木に引っかかったり、
暗くなって終了点が見つからなかったり…
おおよそ懸垂下降で出くわすトラブルは全て体験できました。

とにかくすったもんだと時間を費やし、テントに着いたのは何と22時過ぎ。
7ピッチの懸垂下降に7時間近くかかったことになります。

後日談ですが、このとき使用していたエアライズのポールが歪んでいました。
やはり、このときの風の強さはかなりのものだったのでしょう。

2人で生還を祝って(?)夜12時まで鍋パーティをして、就寝。


28日:
気の済むまで寝て、朝8時半起床。
誰かがスーパーレインを登るコールで目が覚めた。
あまりにも夜遅かったため、1ピッチ目の懸垂下降に使ったロープを放置していたので、
まずはそれを慌てて回収しに行く。
親切にも東京から来たパーティが終了点からロープを落としてくれました。


























テン場から見上げる海金剛。この日もいい天気でした。
テントを片付けて、黒潮ロック・極楽ロックの見学へ。
これまた真達さん初登のルートが何本かあるのですが、この日は波が高くて取り付けませんでした。


























近くの岸壁にも見事なクラックがありましたが、とにかく終了点が無い!
ボルトは錆びて白くなっているし、木も生えてません。

残念ですがこのまま帰ることにしました。


























11時半。フィックスしたロープを登り返す市川。
あとは少し道に迷いながらもアプローチ道を戻り、14時前に車に戻りました。
















大ボリュームの天ぷら定食を食べて帰宅。
松崎市街の「さくら」という店です。
向かいのお土産屋さんの桜葉餅もかなり美味でした。(完)

【使用ギア】
マスターカム#00~3 , キャメロット#0.5~5(#0.75~2は2つずつ), リンクカム#0.5~2
ナッツ1セット , ヌンチャク8本 , 60cmスリング3本 , 120cmスリング3本 , プルージックコード , 50mダブルロープ2本 , ATC

まとめ:
懸垂下降が強風によって難しくなるということは、あまり考えたことがなかった。
これは登山においても発生し得る問題であり、検討のうえ部内で共有していきたい。

スーパーレインは、クラックを絶妙につなげて登る素晴らしいルートだったと思う。

終了点を除いて、ボルトを全く使わずにあれだけの距離を登攀できるのだから驚きである。ただし、ルート中は一部岩が脆いところもあり、フリークライミングというよりは、アルパイン的な神経も使い方も必要になる。
各ピッチの難度・質ともに、鷲頭山の中央正面ルートにどことなく似た感じがしたので、挑戦しようか迷っている方は参考にして下さい。

(文:若月)