2022年6月29日水曜日

鳳凰三山 2022年赤抜沢遡行・オベリスク登攀について

日時:06月25日(土)~06月26日(日)

今回の遡行・登攀は新人錬成の鳳凰三山縦走の裏企画的なものであり、山行記録はそちらに委ねる。


本記録は、情報の少ない赤抜沢とオベリスク登攀の参考として残す。

メンバー
蓮容 若月(OB)

行程(参考タイム)
6月 25 日: 夜叉神峠登山口 (8:10)→赤抜沢橋(10:55)→2200m二俣(14:20)→
                 2250m付近幕営(15:00)

6月 26 日: 幕営地(6:50)→ 2400m分岐(7:13)→稜線部2700m付近(8:00)→赤抜沢ノ頭
                   (8:15)→オベリスク基部(8:25)→オベリスク登攀終了・出発(9:50)→
      赤抜沢ノ頭→観音ヶ岳(10:33)→薬師ヶ岳(10:46)→南御室小屋(本隊合流) 
                  (11:15)→苺平→夜叉神峠→登山口(14:50)
      (初日のタイムはだいぶ遊びながらのもの)


赤抜沢について
下級生は鳳凰三山へ。
なら自分も別働で行ってオベリスクも登りたい。
せっかくギアも持って行くならバリエーションで。
それを叶えてくれるのがマイナー沢・赤抜沢でした。シレイ沢より鳳凰三山への縦走として美しいルート取りができ、なおかつ記録が少ない。
OBの若月さんをお誘いし、一緒に遊んでいただきました。


快適な登攀が続く、明るく開けた美しい癒やしの沢でした。
アプローチは、今回は車道を3時間ほど歩きましたが、実際はバスに乗り赤抜沢橋で下ろしてもらえば楽々でしょう。

連瀑帯も2箇所ほどありましたが、困難な登攀はなく、事実ロープは出さずに遡行できました。

また、早い時間に起てば足並みそろったパーティなら日帰りも可能でしょう。

一方、連瀑帯やいくつか出てくる滝の中には高度感があるものもあり、初級者同伴の場合ロープを出す場面は多く、時間がかかるかもしれません。

幕営適地は第2連瀑帯まではあまりありませんが、それ以降は斜度が緩み、2~3人程度なら。。。な場所がいくつかあります。今回の幕営地は二人ならば非常に快適な、ナメを眺めながらの草地でした。

詰め方は自由ですが、2400m付近からガレがひどく斜度もでて来たため、高嶺と赤抜沢ノ頭の間のコルより二つほど東側の尾根を詰めました。
途中、少しの藪漕ぎがありましたが概ね問題ありませんでした。
入渓 立派な堰堤だが簡単にまける

しばらくゴーロ 明るい渓相

第一連瀑帯 快適に登れる

ただし、高度感はあるので要注意

小滝もいくつか

バックもすんばらしい

水は非常にきれい 痺れるほど冷たく気持ちいい

水浴び


苔むした美しい小滝

若月パワーで浮く岩板

二俣を過ぎてしばらくゆくと適地あり



2400m付近で沢から離脱


最後にマツこぎ

稜線へ 気持ちのいい爽やかな沢でした



オベリスク登攀

オベリスクは地蔵ヶ岳にそびえる岩塔で、遠くからもよく見えます。白根三山から、八ヶ岳から、あるいは以前に鳳凰三山を縦走したときから登攀にあこがれを抱いていたものです。
今回、若月さんに付き合っていただき、ようやく挑戦するチャンスをいただきました。

登攀についてですが、昔の記録では残置ロープがあったようですが数年前には撤去されたようです。現在ももちろんありません。

メジャールート(?)として、賽の河原側から見えるクラックがありますが、今回は人の目を避け裏側に回り込みました。そこにもクラックが走っており、上まで抜けられます。これはメジャールートのクラックとつながっているようでした。

取り付きまでは一般の登山者も多く登ってきていました。
クライミングをする人なら問題になりません。

今回登ったルートはチッピングも人の目もありません。クラッククライミングをしている人にはお散歩でしょう。ただし、少し表面が風化し、ザレている印象を受けました。ホールドにはご注意ください。
クラック入門者である私には少し怖かったですが、若月さんはあっという間に登られました。

カムはキャメロットC4 0.75~3を使用。
余裕を持たせるなら2,3は2つずつあると安心する印象です。

一応残置はありましたが、結構サビています。
帰りは残置支点を信頼せずにカムで懸垂下降後、リードクライミングの要領で登り返し回収しながらクライムダウン。このあたりはそれぞれの判断で行って下さい。
オベリスク かっこいい!! この裏面を今回は登攀

蓮容、リードをさせていただきます


賽の河原の人が手を振ってくれた(照)

オベリスク頂上からのパノラマ 



帰りは鳳凰三山を縦走できるというデザートまで待っています。
南御室小屋で本隊と合流するまでの1時間30分、一般登山道での快適な稜線歩きを堪能させていただきました。

文:蓮容








2022年6月25日土曜日

2022年6月25~26日 鳳凰三山縦走 赤抜沢左俣遡行ーオベリスク登攀

日時:6月25日(土)26日(日)

メンバー:CL増地,SL生熊、鈴木(健斗)、富沢、有間、奥津、鈴木(琴音)、高林、吉田
若月、蓮容

行程:
25 静岡=夜叉神峠―杖立峠―苺平―南御室小屋
26 南御室小屋―薬師岳―観音岳―地蔵岳―南御室小屋―苺平―杖立峠―夜叉神               峠=静岡

記録:
今回のパーティーの人数は驚異の9人。人数の多さから不安な面もあるが、にぎやかな山行になりそうだと私は少し胸を躍らせていた。また、私にとってはSLデビュー山行である。そして今回は別パーティーでOBの若月さんと現役主将の蓮容さんが沢を登り、オベリスクで私たちと合流するのだとか。
うーむ、、、、なんとも情報量の多い山行である。でも楽しみだ。

25日
上級生同士のコミュニケーションがうまく合わず初っ端から車問題が発生したがなんとか解決し、静岡から車を走らせ夜叉神峠駐車場へ向かう。(東さんありがとうございました。)
そこで若月さんと蓮容さんとばいばいし、私たちは、夜叉神峠登山口を8時に出発


樹林帯をさくさくと進む。途中で読図の確認も行いながら8時50分には夜叉神峠に到着。いいんじゃないか?(cv.小林さん)

初々しい1回生


...一方その頃、蓮容たちは赤抜沢入渓点まで(無駄に)約3時間の歩荷を行っていた。
広河原からアクセスするとすぐなのだが、バスの時間が合わないし、時間に余裕もあるしで、ただただ車道を歩く。
一方その頃新人は...とかいって本隊に思いを馳せる(現実逃避)。
沢の状況・オベリスク登攀の情報は別の記録にまとめるのでそちらを参照してほしい。

8:50 後輩達に思いを馳せながら歩く先輩の図


驚異の3時間歩荷など想像だにしてない私たちは悠々と10分ほど休憩を取り、出発。さあまた樹林帯へ。
今回私は初めてSLから見える景色を見た。当たり前のことだがSLは先頭であるため、基本的に自分の前に人がいない。なんだが目の前の景色を独り占めしているみたいで思わず笑みがこぼれた。

いやおもろ


なんていろいろ感動しているうちに10時15分ごろ杖立峠に到着。


ここからまた樹林帯を進む。私は今回初めて1回生と登山をしたが、とても楽しかった。奥津と高林を中心にたまに他のメンバーも加わっておしゃべりながら歩き、とてもパーティー全体の雰囲気がよかった。
考えてみればずーっと黙りながら延々と樹林帯歩くってだいぶ苦痛よな。




そんなこんなで11時すぎに苺平へ到着。

ふぁいとぉ!


本隊が苺平へ向け順調な登りをしている頃、有名なシレイ沢を越えてようやく赤抜沢入渓点へ到着。やれやれ。
準備をしている間に夜叉神峠からのバスも丁度通過。...切ない...。
獣でも見ているような目を乗客の方々に向けられていた気がすると若月さんが喜んでいた
10:50入渓点。準備中に丁度バスが通過していった。


一方、休憩を終えた私たちは南御室小屋へ向かうのみ。ここからは下りがほとんどなので気持ちも軽い。話に花を咲かせながら順調に進み、12時半ごろ小屋に到着。早い。登山開始4時間半でテント場に着いてしまった。すごいな今年の1回生。

カラフルやなー(しろめ)

うー-ん。人が多いっっっ!!駐車場の車の多さから予想はしていたがテントの多さに驚いた。さすが鳳凰三山。人気だ。


水を眺める有間
ここの水場は風情があってよき


新人達がテン場でゆっくりしている頃、私たちもアルプス特有の美しい渓相の中での遡行を楽しむ。連瀑などもあるが、いずれの滝も快適に登攀できる。

水は痺れるほど冷たい!

15時頃、幕営地を定め、最低限の火起こしをする。花火で。

う~ん、Sparkling!!!

因みに、花火は酸素がなくても燃える、差し込める、といった点から無駄に有用でした。



一方現役組はテントを張り、各々自由にすごしたのち16時ごろから食事作りを開始した。今回は9人いるためお米を9合炊く。9合炊くのってどれくらい時間かかるんだろう、、、?健心さんと顔を見合わせながらおそるおそるコンロに火をつけ、炊き始める。
案の定、だいぶと時間がかかり、だんだん待っている間の会話のネタも尽きてきた。どうしよっかなぁと思い、「ゲームでもしますか?」と健心さんに提案。すると健心さんが「ピンポンパンゲームをしよう」と言い、そこから晩御飯のチーズリゾットに入れるベーコンの数を競ってピンポンパンゲーム開始。
みんな最初は困惑したがなかなか楽しかった。
ちなみに勝者はけんてぃーさん。おめでとうございます。
このあと夕立があったが、ここでの幕営は快適だった。

晩御飯を終え、明日の予定やルートを確認し、各々解散。とはいえその後すぐ雨が降ってきたためほぼみんな就寝。
その頃、蓮容達はたたき下ろすような突風と雨に荒れ狂るうタープの下、ふて寝をかましていた。

夕立が収まったのは19時頃。それから一晩分の薪を集め、飯にありつき、25歳児に花火で小マットを溶かされ、就寝したのは21時過ぎであった。
両手に花火を持って寝るんじゃあない


本隊 ゲームに勝ち誇る女帝・生熊

沢隊 夕立も止み、ようやくゆっくりと食事&ささやかな飲み会

それぞれが山での一夜を楽しむ。

本隊が寝た頃、沢では22歳児と25歳児はウイスキーを燃やしたりベーコンに梅酒をぶっかけたり(異常に旨くなった)(メイラード反応)小マットを溶かされたりしていたそうな...。



26日
3時に起床し、朝ごはんの味噌ラーメンを食べる。今年の1回生はいっぱい食べる子が多く、本当にありがたい。大きく育てよ(何目線)。

起床


4時20分出発。登り始めからルーファイミスをしてしまったが順調に歩みを進める。とはいえ、登山3ヵ月ぶり、泊りの登山に至っては半年ぶりの私の足には1日目の疲労を感じる。1回生にも1日目の疲労が残っている子がいるように見える。がんばれ。今日がんばったらオベリスクで若月さんと蓮容さんに会える。思わず顔がほころぶのを感じながら登って行く。


などと生熊が思いを馳せているとき、私たちは爆睡していた。
若月さんの、「蓮容、そろそろ米だそうか」で起きたのが5:00。本来の出発予定時刻。
お茶漬けおいし

5時半に薬師岳登頂。予想はしていたが稜線の風がとても強く、萎えそうであったがなんとか進む。(薬師岳への登りで「走っていいよー」って言ったら迷わず奥津が山頂へダッシュしたのはまた別のお話)

👍


続いて6時10分ごろ観音岳登頂。惜しくも白根三山に雲がかかってはいたものの、富士山と伊豆半島が見え、とても興奮した。ほかにも甲府盆地を拝み「市街地が見える!」とみんなで騒いだ。

観音岳!
(風が強くて山頂が広くなかったため集合写真が撮れなかった、、、)


そして7時半ごろようやく地蔵岳登頂。ここで少し長めの休憩をとる。お疲れ様!三山完登したね!!


お疲れ様!


さて、お楽しみのオベリスクは、、、んー、おかしいな、、、若月さんも蓮容さんも見当たらない、、、?試しに私と健心さんでオベリスクの近くまで歩いてみる。んーやっぱり見当たらない。健心さんがインディアンコールをするも返事がない。(いや、仮にオベリスクを登ってたとしても返事は厳しいか)まだ来てないのかな、、、?


(参考資料:その頃の沢組 7:40)
山で美しい写真を撮る時、汚物が映り込むことがあったらそれは妖怪写真汚しの仕業じゃ。
なあに、もう一回撮ればよい。(cv.田の中勇)





もう少し待とうか健心さんと相談するが、とりあえず南御室小屋で合流することにし、8時前に地蔵岳を出発。ちぇ。

人の気配がない、、、


ここからはひたすら来た道を戻るのみ。意外と観音岳への登り返しが長く、縦走のピストンのしんどさを感じた。

長いなぁ、、あの二人どこにいるんだろうなぁ、、、

すると
「Awawawawaaaaaaaa!!!!」(形容しがたい奇声)

聞き覚えのあるインディアンコールが!ハッと振り返ると離れたところに若月さんと蓮容さんの姿が!!!
「若月さんだ!!蓮容さんだぁ!!」
各々みんなで叫びながら思いっきり手を振った。おそらくこの山行で一番歓声が上がった瞬間であっただろう。うれしい!

健心さんが蓮容さんたちのもとへ行き、協議した結果、追いつくから先に行ってて、とのこと。まあそーだろーなーと思いながら南御室小屋を目指して進む。

そして観音岳で休憩を取り、薬師岳にただいまを言い、砂払いを過ぎて樹林帯へ。樹林帯をひたすら下るのに飽きてしまった私は鼻歌を歌いながら下っていたらいつの間にか後ろで1回生たちによる私の歌っている曲当てクイズが始まっていて面白かった。


さて、沢組はここからもう一つの主題となるオベリスク登攀に取りかかる。

人の目が多い西面を避け、東面へ回り込む。
蓮容がリードで取り付くが、カムの設置がなんとも言えず時間がかかる。
登ったあとは若月さんをビレイ。若月さんはあっというまに登られた。さすがです。
上からは丁度薬師岳に登り返していく本隊が見えた。
少し風化が見られるため、手・足共にホールド注意

オベリスク頂上から(9:30)

帰りは二人で懸垂下降してから、下でリードクライミングの要領でビレイし、若月さんにクライムダウンでカムを回収していただいた。その後、1時間半程度で本隊と合流した。


そんなこんなで南御室小屋に到着し、しばらくして沢組とやっと合流してお互いに昨日から今日にかけてのお互いの行程を報告し合った。衝撃の事実!寝坊したんかい!!!

荷物をまとめて南御室小屋を出発。

順調に進み、苺平に到着。ここでSLを1回生の奥津に交代!ふぁいと!
1回生の中には続く下りによる膝の痛みを訴える子がちらほらおり、また疲労からペースが落ちてきている子もいたのでどうなるかなぁと思いつつ後ろから様子を見ていたが、みんなすいすい歩いていきずんずん高度を落としていく。ほんとに今年の1回生は強い。すごいなぁ。しかもわいわい楽しそうに下山している。とても微笑ましい。



夜叉神峠で休憩を取り、駐車場へ。今日のような10時間近い行程は1回生にとって初めてである。最後SLをやってくれた奥津をはじめ、みんなお疲れ様!!!

このわちゃわちゃ感がなんとも好き


なんと今日は高林の誕生日!部室に帰ってからみんなでお祝いし、花火をした。そして反省会をし、各々の帰路に着いたとさ。


はいさどんどん

まとめ:
今回の感想は、楽しかったの一言に尽きる。今年の1回生は人数が多い分全員で山に行くことが難しく心配な面もあるが、今回の山行を見る限り、とても雰囲気がよく、一緒に山に行ってとても楽しい。1回生同士で励まし合ったり冗談を言い合ったりしている姿がとても微笑ましかった。(昨年、同級生が全員消えた私は思わず遠い目をしてしまった。)今回の山行は私にとって初めて体力に余裕のある山行だった。日々の歩荷の成果がようやく出始めたのかと思い本当に嬉しかった。だが、まだSLをこなす上で十分な体力があるわけではないと思うためまだまだ精進していきたい。やはり歩荷最強説は体力不足に悩む後輩たちに伝承していきたいと強く思った。全体の反省としては、1回生はまだ少し支度に時間がかかっていたことかなと思った。これは慣れるしかないが、時間の使い方を考えるのも一つの手だろう。また、今回は休憩適地の一歩手前で休憩をとることが多く、とても不規則な休憩の取り方になっていた。休憩を訴えることはとても大切だし、体力に限界を感じた時は訴えるべきだと思うがその希望をすべて通してしまうと、その後の計画に支障がでることもあるのでケースバイケースに対応する必要があると思う。(ゆーて休憩を訴える子の気持ちは痛いほどわかるためなんとも言えない。ちょっとでも休憩したいよね、、、)
以上、情報量の多い山行でした。

(本文:生熊 青字:蓮容)