日時:12月18日(土)~12月19日(日)
メンバー:
OB: 青池,真達,谷木,小林,伊藤,高田,若月
現役:CL東,SL増地,金子,鈴木,生熊,芳村
行程:
18日:静岡=美濃戸口-赤岳鉱泉-赤岳鉱泉付近雪上訓練
19日:赤岳鉱泉-硫黄岳-赤岳鉱泉-美濃戸口=静岡
記録:
OBの方からお誘いを頂いて、交流会も兼ねて硫黄岳に雪上訓練に行くこととなった。
私は今年初めての雪山で、なんとなく楽しみにしていた。
が、そのようなモチベーションは本番が近づくにつれ雲行きが怪しくなっていき、去年の記憶からか体が雪山に対して拒否反応を示し始め、前日には動けなくなっていた。準備が大幅に遅くなり、一睡もせずに行こうとしたら炬燵で寝落ちし、起きたのは集合時間ぴったりであった。
顔面蒼白で部室に着き、カッパとヘルメットを忘れたことに気が付いた。なんと情けないスタートであろうか。もたもたと準備をする私を待っていて下さった方々には、非常に申し訳なかった。
18日、早朝に駐車場に着き、なんとその先の林道を車で運んでいただいた。林道がカットできるとは文明も進歩したものである。(ありがとうございます)
ちなみに私は乗りそびれて一人だけ林道歩きか?と思われたが無理矢理乗らせていただいた。
すみませんでした。
最初の感想としては、「寒い」ということである。
駐車場の段階で既にその寒さに恐ろしさを感じていた。しかし、歩くととても暑くなる事を知っているので、最初から薄着で行った。
行者小屋へ向かう
雪はいい感じに積もり、さらさらしていた。
テント場で地面を固める
テントを張り終えると、行者小屋から下の方へ歩き、良さそうな場所を探した。
東君はOBの方と共にアルパインへと向かった。
ちょうど良い斜面で雪上歩行の練習
少し下ると、右手に雪上訓練にぴったりの美しい斜面があったため、OBの方の指導のもと、歩行の訓練を行った。
前々主将高田さんが、つぼ足歩行やキックステップ、ピッケルの持ち方を丁寧に教えてくださった。真達さんからも、長年の経験をもとに歩きやすい方法などを伝授していただいた。
説明の後、斜面を横一列になって登っていった。最初はつぼ足歩行、次にキックステップ、という具合である。雪が深く、軽くラッセル気味であった。
晴れ間に見えた美しい山容
それに釘付けになる人々
途中、事件が起こった。皆で雪の斜面を全力で走り回っていた際に、若月さんがスマートフォンを落としたのである。
というわけで、歩行訓練も兼ねて若月さんのスマホ探しが始まった。
ピッケルで雪面を掘りながら、皆で上へ登っていく。
しばらく時間が経って、諦めのムードが漂ってきた頃…。
「ありました!」
私がなんとなく手を突っ込んだ所にそれはあった。よかったです。
感動の再会(スマホとの)
雪を掘り続けたため、間違いなくピッケル使いが上手くなった。
その後、キックステップや滑落停止、ロープワークなどをじっくりと行い、良い時間になったので引き上げることとなった。アイゼンを使っての歩行は、翌日に行うこととした。
良い写真をありがとうございます
テントに戻り、アルパインに行った人々を待ちつつ夕飯を作った。
ポトフ(?)と米
お米が炊けて、鍋も作り、東君が帰ってこないので、先にいただいていた。東君の分をどれだけ残しておくか考えたりしていた。いつものように談笑して待つ。
日が落ちてくる。
段々と、テント内には不穏な空気が漂ってきた。
(あいつ…まだ、帰ってこない…。)
口少になり、重々しく夕食を口に運ぶ。天候状況や様々な危険が、各々頭を巡る。人生において、ここまで重い空気の夕食は初めてであった。
彼ら
彼らが帰ってきた時、私は放心して何も喋れなかった。これほどまで彼の存在を尊いと思ったのは初めてである。
東君だ!東君が笑っている。無事だー!
東君が持ってきたお楽しみ
テントに暖かく迎えられた東君は、「こんな空気の中気が引けるが…」と徐にパイナップルとリンゴとホイップクリームとスポンジを取り出した。
けんしん作
最終形態
大事な仲間が帰ってきたことに一安心し、皆でケーキを食べた。
高田さんから巨大なソーセージと、バウムクーヘンも頂いており、充実した夕食であった。
就寝
翌日(19日)、朝食を終えて硫黄岳へ向かうルートを確認した。硫黄岳に行くことは、前日に決めていた。我々は、地形図を見ながら、正規の登山道のルートでなく、尾根の末端から登っていくルートを使い登頂することとした。
沢を超えた所で位置確認
どうやらここが末端だ
道なき道を行く
尾根に乗り、ラッセルをしながら登っていった。
交代で一人ずつラッセル
少し離れてOBの方々
無事登山道に行き当たり、平和に樹林帯を歩いていった。
雪景色が美しい。
ラッセルカモシカ
木が少なくなる
稜線上は風が強いと聞いた。私は去年の山行を思い出していた。にも関わらず、早く稜線上に出たいと願うのは何故だろう。
森林限界
やはり稜線上は風が強く、最高に寒かった。
ホワイトアウトで何も見えない
岩場が怖い
耐風姿勢
硫黄岳山頂にて、高田さんの指導のもと、耐風姿勢の訓練を行った。
私は実は山頂に向かう途中でも、耐風姿勢をしていた。飛ばされる気がしたので。
山頂で複数の地形図が風に舞ったり、下山早々道を間違えたり、色々とおかしなところはあったが、無事に行者小屋まで戻り、テントを片付けた。私の髪は恒例だが凍り、「イソギンチャクみたいですね」などと言われて腹が立ったが、(そこはサンゴ礁だろ)下界に降りる頃までには溶かしておいた。ついでに凍ったおにぎり(なんで持ってきたんだろう)も溶かしながら歩いた。
駐車場までは何人か転びながら順調に歩き、この山行を終えることができた。
色々と教えてくださったOBの方々、本当にありがとうございました。
まとめ:今年最初の雪山も、強風の中寒さに打ち震えるものとなったが、レイヤードを去年よりだいぶ改善していたためか、スムーズな感じがした。とは言っても、雪山に慣れていない部分が多く、特に自分の準備の遅さには腹が立った。
歩行に関しても、乾雪だけでなく湿雪や、凍った地面などにも対応できるよう、まだまだ訓練が必要である。OBの方々の手厚い指導を胸に、これからの雪山に挑んでいこうと思った。
また、硫黄岳に対して吹雪の印象しかないのはどうにかしたい所である。晴れている時に登ったら、全く違う景色が見られるに違いないと思った。
(文:芳村)