2019年10月31日木曜日

2019/9/6~7 釜川右俣千倉沢

日時:9月6日(金)~9月7日(土)

メンバー:CL高田,SL市川,中嶌

行程:
6日:静岡=大谷内ダム=駐車地点(7:15~7:44)-取水堰堤(8:09)-819m出合(9:09)-三ッ釜(12:27~13:41)-(千倉沢)-清水沢出合付近にて幕営(17:18)
7日:幕営地点(8:05)-林道横断点(10:50~11:10)-駐車地点(14:30)=大谷内ダム=静岡

記録:
今後部内で沢活動を引っ張っていくであろう2年生2人を連れて、新潟県へ沢遠征。
関東の沢(白山書房)によるとグレードは4級だということでビビり気味の2年生2人と格闘してきた。
三ッ釜 下部
6日:晴のち曇時々霧雨

南の海上に台風がいることもあり静岡は曇りで雨も予報されていたが、
新潟まで来ると青空の沢日和。
静岡から車を走らせること5時間。釜川沿いの林道ゲート前に到着。
ゲート前に5台程、ゲート手前を左手に入った奥のスペースに10台程は停められそうな駐車スペースがあったが、ド平日のこの日、他に車は無かった。

準備をし、いざ沢へ。
沢への下降点を見つけるのに少し手間取った。
正解はゲート手前を左手に入った奥のスペースから延びる踏跡を辿る。
しかし駐車地点付近に何か所も赤テープが大量に付けられ踏跡のあるところがあるのだが、
何れも沢に降りていく踏跡ではなく困惑させられる。何の為のものだろう…
取水堰堤


市川「水量多くないっすか!?」


青空の元、遡行開始!




いきなり泳ぎ…!
さすがは豪雪地帯にある沢、水は冷たく、量豊富だ。
沢幅の広いところでは穏やかな流れも、狭まったところでは轟音を立て暴れている。
一方、豪雪地帯に多いというオロロやアブの姿は幸運にも見かけない。
二俣(2:1) 右俣へ
底の見えない淵をもつ小滝 右から行く


泳いで登って…
奥にCS滝 右から巻きました

まだまだ余裕そう


側壁がそそり立ちカッコいいところ。これが暗い沢だったら恐ろしい


泳いで左の溝状のところから登る
後続はロープで登ってもらう


滝上から


「やっと落ち着けるか…」「ん!?」


なかなか休ませてくれません(笑)


水中のホールドを拾いながらヤツメウナギ泳法で


ホワイトウォーターの危険、見極めを学んでもらう


水は綺麗


へつって 市川


へつって 中嶌



中嶌「先輩!ここ泳ぎで突破していいっすか?」
まだまだ沢も前半なのにゴリゴリ体力消耗するスタイルを選ぶ中嶌。
分かりやすく楽しそうなのでこちらも嬉しいが、以下のことを改めて学んでもらう
①水の流れを読む → 
・おかしな流れがある淵・釜は泳がない
・逆に反転流を利用して楽に進めることも 
②ホワイトウォーターの怖さ 
・浮力が下がる→沈む 空気を含んだ水の比重は軽くなる
・空気を含んだ水は抵抗が少ない為泳ぎづらい
・釜いっぱいに斜めにホワイトウォーターが入るような
 釜は強力な反転流が発生している場合があり危険

光をも飲み込む緑色の深い淵を覗くと稲妻の如く魚の家族が走る。
冬には雪で埋まる過酷な谷にもこれだけの命が生きることに改めて驚かされる。
三ッ釜






中嶌「ほぉーー!魚めっちゃいますよ、ここ!」


三つ釜の縁を歩く


三つ釜を上部から振り返る
決して我々を驚かすために出来たわけではないこの三つ釜。
浸食されてきた壮大な歴史を想像する。自然の造形力には毎度驚かされる。

さぁ今日の核心はここから。怒涛の滝ラッシュ!!
滝の左側から登る


ひえ~ 底の見えない淵を泳いで水線左側に取り付く


飛沫を間近に感じながらの登攀


30mロープギリギリだったので滝の高さは15m程でしょうか?
頑張る中嶌


市川「あそこ、めっちゃ魚いますね」


これも水線左側から登った。落ち口が微妙そうだったのでロープ出す。キャメロット#0.5利用


出てくる滝がみんな美しくてお腹いっぱい。


水が冷たくなってきて突っ込むのを躊躇する2年生2人


いやでも泳ぐしかないっしょ!!


メインディッシュないい滝が次から次へと出てくる。
そろそろデザート級で頼みます!!
この滝は右岸側の壁から巻くが中間部が少し悪い。

豪華な滝、淵があまりに多く、写真に収めるのを忘れてしまうほど。
市川は体重が軽いせいかちょっとした水流突破に時間が掛かる。太れ!!
後半部、2年生2人は滝が出てくるたび「これで終わってくれ!!」と神頼みしてて笑いました。

この沢、側壁に生える草木の幹が軒並み沢側に傾斜して倒れている。
(雪が多い地域特有?)
懸垂する時は支点のすっぽ抜け防止で、幹にタイオフしたスリングを支点のバックアップで取るというこれまでの沢では無い経験をした。
焚き火と市川
魔界から召喚したかのようなヤバい色の菓子を作る中嶌


予定より1時間ほど遅い17時過ぎに幕営予定地の清水沢出合に到着。
たくさん滝登ったね。2人共よく頑張った!
出合は清水沢の滝が近い関係で風が吹き寒いので、千倉沢を5分程遡行した左岸側で露営。
焚き木は市川の頑張りでたくさん集まった。
中嶌の火の扱いでよく燃え、21時過ぎまで焚火を囲んで語り合う。
濃密な1日の終わりは、天の川が横たわる美しい星空を眺めながら。

7日:晴れ




さっそく泳ぎますよ


滝右側の壁から小さく巻くように登りました


淵を泳いで中央の岩から登る


市川滑るか!?


絶好の沢日和




短い廊下も意外に流れが強い




ラスボスの滝右側からトラバースして滝の裏側を通り左の水線から登る
ロープを出していましたが、アッセンダーで滝裏通過中の中嶌が滝の流れに負けロープの伸びで水にドボン




復帰して登ってくる中嶌


やっと穏やかになりました




飛んでいるみたい


林道横断点


橋の上


想像していた林道と違う…普通にバリエーション


林道…らしいです
この日も朝からいい天気だ。ラーメンで簡単に朝飯を済ませ、いざ出発。
出発して直ぐ水に浸かるシーンがあり若干悶えながらも
順調に進んでいくと大きな釜を従えたラスボスの滝が。
高さは20mちょっとだろうか。中間部から上は傾斜も落ち
大きな問題は無さそうだが、下部の突破が核心だ。

ロープを繋ぎ滝へ。滝裏のスペースは思ったよりも狭く、
這って進む。少しでも水流に当たれば水流に連れていかれ、
滝つぼに持っていかれそうだ。
早まる鼓動を鎮めながらここを通過。後は苔で滑りやすくなっている左の水流を気を付けて辿れば滝上だ。
次は中嶌がアッセンダーで登る。
私の位置からだと核心の滝裏通過が見えないが、ここに
差し掛かったところでロープにテンションが掛かる。
恐らく水流に持っていかれたのだろう。
滝壁にホールドが無いこと、水が入り重くなったザックの
せいで上手く釜から這い出せない中嶌。
10分が経ち、補助ロープで中嶌のサポートをしようと
準備し始めていた頃何とかアッセンダーを頼りに登ってきた。
小柄な市川は上手く滝裏を通過し突破。

この滝が終わると滝らしい滝は無くなり、
太陽で照り輝く穏やかな流れとなる。
続いた登攀での緊張を解きほぐしてくれるようだった。

橋が横切る所で林道上に上がる。装備を解除し、
林道を行くが、想像していた林道とは異なった。
背丈以上の草木をかき分けて進むような感じ8割、
2割ダート道。
道がこれだけ自然に還りつつあるのに、沢を横切る橋が
あれだけしっかり残っていたことに驚く。

予想よりも時間は掛かりながらも駐車地点に夕方前には
到着し今回の沢旅は完了。

まとめ:
滝登攀、泳ぎ、焚火、釣りと沢の良さを存分に味わう
ことのできる良沢だった。
これから沢活動を引っ張っていくであろう今回の2人は、
あまり難しい沢に連れて行けておらず、沢のシビアな面を感じてもらう為にも易しくは無い沢に連れていきたいという思いがあり、それを先ずは達成でき良かった。
2人からも今後の沢に繋がるような良い反省が聞かれ、今後の彼らの沢旅紀行が楽しみだ。

私自身の反省は、ロープ装備についてだ。今回30mシングルロープ(8.9mm)と20m補助ロープ(6mm)を持って行った。滝の登攀、懸垂下降は30mシングル。お助け、廊下の泳ぎ突破、短い難所に補助ロープを使用した。補助ロープの使用は少し掴むくらいのイメージでいたが、テンションを掛けるなどハードな使い方をしてしまった。初心者を連れていくときにはお助け用でもテンションを掛けることを前提としてロープ選定をせねばならないと思った。

市川感想
多分今までで一番大きな沢登りだったと思う。そして初めての沢泊だった。今回は全てフォローだったが、それでも滝を登るのに苦戦した。こういった長い沢でこうもこなす滝の数が多いと、一つ一つにあまり時間をかけてはいられない。迅速かつ丁寧な行動が必要だと感じた。基礎的なロープワークは勿論、滝の登攀力もつけていきたい。 沢泊自体は楽しかった。行動範囲も広がりそうだと思う。

中嶌感想

初の沢泊だったが、泊まり云々の前に沢の難易度がたかかった。一度アッセンダー登攀で滝から落ちた時は実力の無さと水の怖さを改めて感じた。しかし沢での焚き火はとても楽しく、水もかなり綺麗で自然に溶け込むような思いがした。帰ってから沢靴を見たがよくこれで行ったなと自分を褒めたくなった。この沢を通して精神的に成長できたと思っている。

(記録文:高田)