メンバー:CL:高田、SL:若月
行程:
11月5日:<天気>曇り
1540静岡=1700横手=1930田代―1935てしゃまんくの里
11月6日:<天気>晴れ
0530てしゃまんくの里―0900市営小無間小屋―1010鋸歯―1105小無間山―1325大無間山
11月7日:<天気>晴れのち曇り
0630大無間山―0740三方嶺―0900アザミ沢のコル―1110大根沢山―2112m三角点―2030白樺荘―2200てしゃまんくの里
11月8日:<天気>雨
0630てしゃまんくの里―0700田代=1115静岡
記録:
空が抜けるように高く青い。
バスが一日2往復の都合で時間的に若月に少し無理をさせてしまったが無事乗車。
横手で最大7人乗りのマイクロバスに乗り換え。
運賃に関するハプニングも乗り合わせた田代の方の助けで何とかなる。
明るい運転手と田代の住人と楽しく喋っているうちに4時間のバス旅も終わり、
本日の宿てしゃまんくの里へ到着。テント設営後、登山口の下見を行う。
てしゃまんくの里にて
6日:昨日下見した道を辿り、登山口へ。登山口の水場で7Lの水を補給。
諏訪神社の境内を突っ切るわけだが、ここが薄気味悪い。突っ切ると一度車道が横切り、
本格的に登りが始まる。小無間小屋まで急登が続くが、天気よく空気もひんやりとしている為、
気持ちよく登る。小無間小屋で休憩をとる。小屋内を見ると、荷物がデポしてあり
他の登山者がいることを知る。
小無間小屋
小無間小屋を過ぎると、尾根は痩せはじめ鋸歯に着く。
鋸歯は崩壊が進み、山と高原地図ではそもそも2015年度地図より道が削除された。
のように事前情報によりびびっていた鋸歯であったが、登りに関しては慎重に通過すれば
問題はなかった。確かにナイフリッジ状であり、落ちるとアウトな為念のために
簡易ハーネスでトラロープにセルフを取った。
しかし、支点となっている木がそもそも崩れかけていること、トラロープが尾根より微妙に
南側を通っており、場合によってはセルフを取ることにより南側に引かれる形となる等、
危ない場合があるかもしれない。
(山と高原地図 聖・赤石エリアの監修者は大無間山登山路として小無間山北東尾根の利用を薦めている。)
鋸歯
しかし展望がよい。富士山
小無間山、中無間山と途中いくつかのピークを越え、13時半前には大無間山へ到着。
樹林に覆われ展望はないが落ち着いた良い雰囲気。テントを設営し、焚火の準備をするが
まだ時間が早いので昔の地図に水場として載っており、現在は崩壊により使用できないとされる
水場の調査に向かった。大無間山から風イラズ方面へ5分ほど向かい、谷を30分ほど下ると
確かに水の流れはあったが貯めるのはかなり大変そうであった。
今回は晩秋であり、一番水量の少ない時期であったが、他の時期はどうなのか気になった。
この谷を下った
また部分的に凍結しており、暖冬とはいえ冬が着実に近づいていることを感じた。
水場調査を終えると、薄暗くなりはじめたので焚火を始めた。乾燥しており、よく燃えた。
ウインナーを焼いたり、プリンを作ったり21時過ぎまで焚火を二人で囲んだ。
焚火を囲むと話も弾む。これからの部活なんかについても話す。
7日:この先は道標もない、コースタイムもわからない、バリエーションの世界だ。
自分がやりたかった山歩きの仕方でもあり、テンションが上がる。しかし、私が昨日来た方向を
真逆に勘違いしたため、とんでもない方向に進みはじめてしまった。5分程度で気づき、
正しい道に戻ったが地図コンパスでの確認を怠っていけないのはもちろん、前日中に
翌日の道を簡単にでも調査しておくべきことを学んだ。
三隅池・三方嶺間にて。笹薮が続く。
大無間山までとは違い、
笹が生い茂っており三隅池周辺では何頭もの鹿が姿を現したり、ヌタ場があちこちにあるなど
野生の楽園に足を踏み入れている体感があった。三方嶺で北方面の尾根に乗り尾根伝いに
進む。ガレの縁を通過する箇所が何か所かあるが、そんな場所は決まって展望がよく
楽しい尾根歩きだ。
アザミ沢コル・三方嶺間の登り。
ガレ縁からの展望
地図で見ても分かる通り、今日の目的地大根沢山は
秘境秘峰といっていいほど山深く、見える山々の名前は分からないが山に包まれている
幸せを感じた。
アザミ沢のコルで荷物をデポし、谷を10分ほど下ると水場がある。
こちらは大無間山南の元水場とは違い、一分ほどかければ500mlは溜まる。
水場
水をたっぷり補給し、再び歩き始める。大根沢山はだだ広い山頂で展望は全くない。
ここから信濃俣、光と繋げる山行も妄想しながら今回は大根沢山東尾根経由で白樺荘へと下る。
アザミ沢コル・大根沢山間。本当に山に包まれた場所です。
非常になだらかな山頂。
予定では2112m三角点付近で幕営の予定だったが今日中に降りれそうなので
2112m三角点を通過。この三角点より南東方面の尾根に乗り換え、明神谷林道へ向かう。
この尾根は踏み跡薄く、テープ、マーカーも少なくなる。
事件は1903m地点と1737m地点の間で起きた。このエリアはクマが出るということは
事前に知っていたので、笛をたまに吹くようにしていた。その地点で私が笛を吹いたとき、
谷のほうでガサガサと音が聞こえ、そちらを見ると小熊が三頭自分たちの行き先と同じ方向へ
向かっていった。驚き2人で立ち止まり、少し様子を伺う。檻に入っていないクマを見るのは
初めてだった。ここで話し合い、念のため武器としてお互いナイフを手にし歩くことに。
数十m進み丘を登り切る手前に大きな熊がいた。その距離は5mほど。
こちらをじっと見つめすぐに谷へ降りて行ったが本当に怖かった。
その後は笛をピーピー鳴らしながら明神谷林道下降点近くまで下った。
ここに落ち葉でフカフカの平坦地を見つけ、幕営することに。焚火の準備をし、
翌日のバスの時間を確認すると、午前中の便は白樺荘より南の田代辺りからしか乗れない
ことが判明し、今日中に田代まで降りることに。しかし、焚火大好き若月が焚火を
したいと言うこと、焚火の準備を完璧にしてしまったことから焚火だけしてから降りることに。
これがまたクライマックスを飾るのに見事な焚火だった。焚火の始末をし、白樺荘へ下る。
白樺荘の明かりが獣の目に見えたり見えなかったり。白樺荘でさっぱりし、
施設の方と話しているとご厚意で田代まで送ってくださることに。本当にありがとうございます。
てしゃまんくの里で幕営し、翌日朝のバスで静岡へ帰還。
まとめ:
若月がずっと行きたかった大無間山、そして私も行ってみたかった深南部、バリエーションルート。お互いの欲求を満たす充実感の残る山行だった。
熊たちとは仲良く共存したい。
(文:髙田)