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2023年9月23日土曜日

2023/9/23~24 鳳凰三山(個人山行)

日時:9月23日(土)〜9月24日(日)

メンバー:CL堀,SL大串,菅原,渡邊

行程:
23日:静岡=夜叉神峠駐車場-夜叉神峠-杖立峠-苺平-南御室小屋
24日:南御室小屋-薬師岳-観音岳-薬師岳-南御室小屋-苺平ー杖立峠-夜叉神峠-夜叉神峠駐車場=静岡

記録:
夏休みに1年で山に行きたいと思っていたものの、スケジュールが合わないのであきらめていた。が、周りの協力によりなんとか行くことができた。
鳳凰三山を選んだ理由は、名前がかっこよかったから。
初めての1年のみの山行で、かつ自分が夏合宿でダウンしてしまったこともあり、二日目の行程時間に少し不安があったが、ここ以外に名前がかっこいい山が思いつかなかったのでここにした。

23日
午前4時。部室に1年生が4人だけ集まるのが新鮮だった。
窓からみる空模様は明るくなるにつれてどんどん怪しくなり、駐車場に着くころにはもう真っ白。

すっげえ白くなってる

7時半ごろ入山。一か月振りの山だったため、身体が重い。天気も悪いため気分も上がらない。読図を間違えて自分の場所をだいぶ手前だと勘違いし、体力がないから歩くのが遅いんじゃないか?と思ってしまい焦って倍近いペースで歩いてしまった。自分の間違いを指摘されるころには夜叉神峠に着いていた。ごめんなあ。


なにもない

夜叉神峠から歩き出すとすぐに雨が降ってきた。ザックカバーをつけたが、すぐにやんでしまった。
杖立峠に着いた。はっきりしない天気だというのに、妙に人が多い。ご老人にマダムに家族連れなどなどでにぎわっていた。
 
人が多くてこれしか撮らなかった

杖立峠から苺平までは広々として歩いていて気分がよかった所もあったが、途中でダレてきた。小屋に着いた時のことを楽しみにしながら歩いた。
苺平から甲斐ある寄り道をしようと思ったが、道が分からなくてやめた。

あと少し

サルの毛がどうのこうのみたいな看板を見てあーだこーだ言いながらテン場に到着。
おじさま達が宴会して盛り上がっていた。楽しそうだった。
負けじと私たちもジュースパーティーを敢行。





今思えば晩御飯まで四時間くらいあったので甲斐ある寄り道をすればよかったのだが、天気があいにくの曇りの上、寒い。あまり動くような気分にはならなかったのでテントでグータラしていた。

ばんごはんはメンチカツカレー。お米もうまく炊けた。やっぱり12人前を一気に炊くのはおかしかったんだ。
鍋は一つしかないから

粒が立ってておいしかった

 渡邊は今日、もともと風邪気味だったのだが、1日目の行程を終えた時点でそれが悪化していた。2日目の朝の体調でどこまで行くかを決めるため、2時半から3時の間に起きることにして就寝。


24日
2時45分に起こされた。間ってそういうことかぁ。
朝はホットドックとコーンスープ。
吐いた息が白くなり、寒さを感じた。
4時30分過ぎに出発。まっくら森のやみの中を進んでいると鳥のぬいぐるみがいた。怖かった。
本当に怖い

木々の隙間から明かりがちらちら見えてくると自分が高いところに来た気がしてだんだん気分が上がってくる。夜景ってどこのだろうと見えるとうれしい。
5時50分前に稜線に出た。雲が邪魔で日の出は見えなかった。

甲府盆地
一か月ぶりの稜線はたのしいなあ!
砂っぽい地面が見ていて新鮮だった。左側に白根三山が見えていたはずなのだが、それに対してリアクションをした記憶があまりない。雲がかかってたのかな。

薬師
観音

結局渡邊の体調は悪いままだったので観音岳まで行って帰ることにした。なあに、元気になったらまた行けばいい。

おもむろにスクワットをしだす堀

稜線からは富士山が笠をかぶっているのが見えた。思ったよりも大きく感じたし、富士山だとわからなかった。ニセモノの富士山がご立派に笠なんてかぶってんじゃないよ!と貶してしまった自分が情けない。

ごめんな富士山

稜線を降りて樹林帯に入るころには天気もすっかり良くなっていた。
苺平から辻山への道が分からなかったが、堀は昨日の時点で分かっていたみたいだった。まだまだSL力が足りていないと反省。
夜叉神峠からは昨日とは違い白根三山がよく見える。
アフター

お地蔵さまは見れなかったし甲斐ある寄り道もできなかったけどいいもの見れたのでそれなりに満足。特に事故もなく山道を下り、謎のループ橋を通らされながら静岡に帰りましたとさ。お疲れさまでした。

今日の核心




まとめ:
山の選び方は適当だったし、ご飯もレトルトだよりでカロリー計算をほぼしなかったけど、山行の一通りの流れを自分たちで考えるという経験ができてよかった。本当は計画通りに行けばよかったけれど、今回は仕方がないと思う。でも、撤退する癖がつかないようにはしていきたい。
あと山行記録は早いうちに書いた方がいいと心で理解した。
(文:大串)

2023年8月6日日曜日

2023/8/6-7 南アルプス 北岳 (夏季事前合宿)

日時:8月6日(土)~8月7日(日)

メンバー:CL有間,SL鈴木、高林、増田、米虫、堀、松田、前嶋、菅原、大串、梅田

行程:
6日:静岡=奈良田駐車場ー広河原山荘ー白根御池小屋ー肩ノ小屋ー北岳ー肩ノ小屋
7日:肩ノ小屋ー白根御池小屋ー広河原山荘ー奈良田駐車場=静岡

記録:
 今回の山行は本合宿を直前に控え、事前合宿として一年生にとっては初めて二泊の山行を行って本合宿に備えることを目的に企画した。しかしながら、後述の諸々の事情で一泊となってしまった。

 今回の山行も例にもれず悪天が予想された。台風接近に伴って上空の状況が不明瞭で二年生の間では計画のそのままでの実施は困難と考え、事前準備は一泊の想定で行った。しかし、蓮容さんと再度検討したところギリギリ高気圧の張り出しがある可能性がある旨を指摘して下さったため従前の計画での実施に再変更した。今年に入ってからの山行では自分たち自ら天気図をみて判断してきてはいたが当時の予想天気図からそのような判断をすることは出来なかった。天候判断に未だ難があると言わざるを得なかった。

1日目
 奈良田駐車場まではいつも通りレンタカーを使い、そこからバスで約1時間程度揺られて広河原山荘に向かった。このような形のアプローチは少し不安であったが幸いそこまで他の乗客はあまりおらず、無事全員が乗ることができた。
結構きつきつ

橋を渡っていざ入山
日曜日なのにすごい数の登山者。抜いたり抜かされたりしながら山を登っていく。
単純に登るのもつらかったが、休憩のたびに様々な問題が発覚していく様も滑稽で面白かった。
最初あたりの休憩で、予備食のアルファ米を持ってくるのを忘れたことに気づく。そしてその次の休憩で、晩御飯のアルファ米を持ってくるのを忘れたことに気づく。
今回の山行が短縮された要因は大体ここにある。食事がないのだから天候云々の前に進む選択は取れない。
しかし、誰も言わないでいたが、何となく(天候)、不思議と(課題、レポート、追試)、1泊して帰るという雰囲気が漂っていたのは間違いない。その撤退が確実になった瞬間であった。

かなり序盤に撤退が確定したが、その後も登っていき白根御池小屋に到着。


相変わらず人は多い。休憩をとって草すべりへ向かう。

草すべり

ここも人が多く、足場が細く急登であった。譲り合いが終始起きていたが、少し登り始めた頃に、下ってきた人が足の悪いとこを踏んでしまったのか、土が剥がれ、3~5mほど転落してきた。幸い横の草むらに転がり停止し、けがもなさそうだった。中々に緊張したので、下りは気を付けようとすごく思った瞬間でした。
肝心の天気はまだ大丈夫そう。迫りくるガスとともに上を目指す。



草すべりゾーンを抜けて、稜線へ出る
暑かったのが一気に冷える瞬間である。風があって気持ちいい。
余談だがここら辺で鈴木はかなり疲弊。この感覚に何となく身に覚えがあった。




とてもとても綺麗なトラバースを通り、良い景色をたまに見つつ、肩の小屋に到着。
テント場に移動しつつ、今後の動きについて話し合う。

今回も寝不足の梅田

小屋に到着したのは11時すぎ。天気もガスり気味だが北岳に行って帰ることが出来ると判断。多分14時~から落雷確率が上がる感じだった気がします。
おそらく高山病であった鈴木は待機。他の人達で北岳を目指す。

第2位 北岳登頂

計画段階から心待ちにしていただろう2位の北岳につきました。多分ガスっていたと思うが、皆うれしかったのでは。


下りはガスも若干晴れてよい景色が見れました。


さて、肝心の天気ですが、めちゃくちゃ晴れてます。一瞬遠くで雷がゴロゴロしてましたが、夕日も見れました。1泊で帰って、地上にいる先輩たちにどう説明しようと2年はいそいそしていました。白状するほかないのですが。
1日目の行程は終了。夕飯のパスタを食べて寝ます。


2日目
始発のバスに間に合わせるために、早めに起きて食事を済ます(ラーメン)。
ここでは1年2年ともに朝の準備等の課題が見つかったので、今後気を付けていくとよいですね。

1年生にとって初めての夜間行動。雨もぱらつき、足元に注意して下っていく。


色々ずり落ちながら白根御池小屋まで下る。ここからSLを大串に任せて、バスに間に合うように急いでいく。



結局バスには間に合って無事下山できました。事前合宿終了。


まとめ:

今回の山行では完璧で究極なミスが多発したことが反省点の一つである。
今回の事前合宿は、本合宿前に連泊を経験するという目的があったはずだ。しかしそれが出来なかったのは本合宿に不安を持ち込む形となってしまった。正直、大丈夫だとは思っていたが。
また、1番大きな点で食料の忘れ物があった。当日のご飯も予備食すらない状況はまずかったと感じる。しかし、これが少人数山行だったら、自身のレーションで食いつなぐという強行手段をとることもあったかもしれない。今回は大半が1年生かつ大人数パーティということもあり大胆な行動はとれなかった。&とらなくてよかった。こういった点から2年は特に、大人数の山行では柔軟に動きづらいため普段から重要なところだが、準備を入念に行わなければならないことを実感できた。本合宿前の教訓になったことは間違いない。

さらに、朝の準備にも反省点があった。朝の準備にばらつきがあり、その影響で行動開始時刻が遅れた。原因は2つあり、起床から出発時刻が1時間と短く設定されていた、起床して約10分後に朝食の準備を始めたことにある。今回の山行で朝の準備について再確認することが出来てよかった。

個人的には一番重要だと感じた点。今回の撤退は、実際食料がなかったのでこの結果は変わらない。しかし、事前の部会で、①北岳とって帰る、②だけどもしかしたらいけるかもしれないので当日判断する、みたいな話でまとまったと思うのだが、私は体感9:1で、この時から北岳以降は行かないだろうなと思っていた。また、各自に迫りくる課題もあったため、多くの部員にとって、撤退した方が学業面において好都合だっただろう、という背景から、そもそもモチベが自分を含め、部全体に無かったのではと思った。 
 これはまずいですよ。基本、課題に追われ睡眠不足な部活ですが、これ主体になったら部として成り立たなくなってしまうのでは。また、忙しいのは皆同じなのに、今回課題やレポートを終わらして来た少数の部員に申し訳が立たない。今回だけでなく今後も同様。多忙カス大学生っぽくて好きですが、自分を含め、各々反省すべき事項だなと思いました。

この反省を最大限生かした山行を、直近だと本合宿を行えるとよいですね


(文:鈴木)


2023年7月18日火曜日

2023/7/16~18 北岳バットレス 第4尾根主稜登攀

日時:7月16日(日)~7月18日(火)

メンバー:蓮容,増地,鈴木

行程:

16日:静岡=奈良田駐車場=広河原―白根御池小屋―下部岩壁偵察―白根御池小屋

17日:白根御池小屋(3:00)―大樺沢二俣(3:10)―ピラミッドフェース取付(4:15)―第4尾根主稜

   (10:00)―北岳山頂(14:30)―北岳肩の小屋(14:45)―草すべり分岐(15:30)―白根御池小屋

   (15:45)―広河原(18:35)

18日:広河原=奈良田駐車場=静岡


記録:

今夏の個人的目標であった北岳バットレスの登攀へ蓮容さんと行ってきました。


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16日:天候 晴時々曇り


今日は白根御池小屋にテントを張り、岩壁取り付きへの偵察の予定。
晴れ予報ではあるが、暖湿気が流れ込む影響で発雷リスクは高め...ということで始発である5:30の広河原行バスへ乗り込むべく2:15に部室集合。x+1回目となる奈良田を目指す。


天気のよい3連休ということもあり、とんでもない量の車が停められていたがなんとかねじ込む。危ない危ない。

いざ広河原へ

右手負傷中の鈴木もリハビリがてら御池小屋までのお散歩へやってきた。本山行の影の立役者である。
広河原へ到着し出発するがこれまたとんでもない量の人間で登山道は大渋滞であった。泊装備と登攀具の詰まったザックが重くしんどい。ストックは持ってないのでエアストックで何とか頑張る。

白根御池小屋 着

3人テントのフライを間違えてしまいダサテントが出来上がってしまった。すみません反省してます。

ダサっ

テントを張り終え3人で取り付きへの偵察へ向かう。大樺沢二俣分岐を左に進み、400mほど急登を上がる。

雪渓が出てきた

目の前にあからさまな岩峰が見えるがあれだろうか?

C沢とD沢の中間稜付近

どうやらここから登山道を逸脱するようだ。悪場が予想されるため鈴木をここで残し、蓮容さんと先へ進む。中間稜かD沢のどちらから登るか迷ったが、D沢から登った。ガレ沢で💩も多数落ちておりなんともいやらしい。3級です。

踏まれて潰された💩もありました(ハスイ)

途中で行き詰まったため、右へトラバースし中間稜に取り付くと明瞭な踏み跡に合流できた。どうやら中間稜から行くのが一番楽そうである。急登にあえぎながら進むと明日の目標であるピラミッドフェースが近付いてきた。



ピラミッドフェース取り付き

バックには池山吊尾根と鳳凰三山



雪渓のために軽アイゼンを持ってきていたが使う場面はなかった。左右一面に、そして遥か上まで続く岩壁の様相はまさしく要塞と呼ぶに相応しい。これを明日登るのかと増地はたじろぎである。

いい感じの岩陰を見つけ、明日の登攀具を全てデポし、身軽となって中央稜を降る。今日は日が進むにつれどんどん荷物が軽くなっていくのでありがたい笑。

登山道まで復帰し、待機中の鈴木を探すためにインディアンコールを飛ばすとOBの大井さんからコールが返ってきた。大井さん!?
どうやら大井さん達もバットレスへ向かうらしい。今日に登攀を始め、4尾根主稜の取り付きでビバークするようだ。メールか何かで自分たちがいることを知っていたようで、何回かインディアンコールを飛ばしていたらしい。ちなみに鈴木はそのインディアンコールに釣られて下の方へ下山して行ったそうだ。大井さん...(びっくりして写真を撮るのを忘れていました)
明日挑戦するバットレスに大先輩の人たちもいらっしゃるというのは心強いものである。

大井さんとお別れし、そそくさと下山する。御池小屋に戻ってきた時点でまだ14時前。夕立する気配もなくありがたい。

暇なのでねるねるねるね作ります

今日の晩ご飯はビーフシチュー。
個人山行ということでお楽しみが豪華

ふーん、リッチじゃん

AI生成画像みたいだな...

非常に楽しい、充実した時間でした。


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17日:天候 晴


2時に起床しマルタイ棒ラーメンを作る。水が少なくつらかった。やはり水をケチるのは良くないと一年の頃から思っているはずなのに何故こうなってしまうのか。ベーコン250gはしっかり食らいました。
落石が怖いので一番乗りで取り付きへ至りたいが、自分たちより早めに出発したパーティがいるようである。急いで支度し3時に御池小屋を出発する。

荷物も軽いので軽快に高度を稼ぎ、先行パーティにも追いついた。まだ辺りは暗かったが昨日の偵察通りに迷うことなく歩を進める。

一番乗り出来そうで蓮容さんもこの表情である

登山道を逸脱し、中間稜から取り付きへ向かう。

デポしていた登攀具を回収し、

ピラミッドフェース取り付きへ。

鳳凰三山から日の出が!
日の出を見るのは久しぶり

快晴の中、登攀開始


1P目 蓮容さんリード
ブッシュ帯手前でピッチを切る。逆層っぽく、少し岩が濡れているので嫌な感じであった。

残置は適度にありますが、カムも使いました。(ハスイ)

2P目 増地リード
短いブッシュを抜け、スラブ横の草付きを上がってみるが合っているのかどうか分からない。自信がなかったので蓮容さんを引き上げ、バトンタッチし上がってもらう。どうやらこちらで合っていたようだ。

3P目

3P目 増地リード
草付き混じりのフェースを左上する。横断バンドへ出た。

横断バンドにて

4P目 蓮容さんリード

ここで迷う。自分たちは横断バンド上にさらに階段上の脆いバンドがあるという認識でいたのだが、それを見つけられない(もしかして写真上の所がそれなのか、、?)。横断バンドを進んでいくとCガリー方面まで抜けてしまい、一度戻ってきた。

蓮容、帰宅

左から攻めるのではないかと左上を試みるも、上部のホールドが悪そうで進めない。本来このピッチはⅢ級のはずであり、そんなに悪いホールドが来るわけがない。ここが下部フランケの1ピッチ目だったのだろうか?結局、懸垂下降で蓮容さんは戻ってきた。増地にバトンタッチし、再度横断バンドからルートを探す。

しかし、見つからない。
ルートが崩落してしまったのだろうか?それともブッシュと草付きで隠されていたのだろうか?真相は壁の中である。

後日、人から聞いたり記録を探したりしたが、やはり結構悪くルートも分かり難いらしい。
やはり真相は分からず。。。リベンジしたいですね。(ハスイ)

タイムリミットもあるので、横断バンドをそのまま進みCガリーへ。当初の予定であったピラミッドフェース〜第4尾根継続登攀を断念し第4尾根主稜単体で登ることがここで決定した。

一方その頃鈴木はアイス食ってました

ヤレヤレである

第4尾根主稜の取り付き方は様々であるが、今回は横断バンド〜Cガリー〜ヒドンスラブを経由し取り付きへと至った。

Cガリーはフリーで登る。足場は良くない
フリーというかただのガレ。ちょい面倒です。(ハスイ)

ガレの大斜面

ヒドンスラブ。濡れている

上部から

蓮容さんはヒドンスラブを先にフリーで登ってしまった。自分もフリーで取り付くが、スラブ中盤で恐怖から過呼吸になってしまい結局ロープを出してもらった。高林だったら気絶して死んでいただろう。

下からは特に支点も見えず、短いしごく簡単そうなので時短を兼ねてさっさと登ってしまいました
(一応一ヵ所だけ残置があったような)。うーん、こうなるとは想定外でした。反省点です。(ハスイ)


色々大変だったがようやく第4尾根の取り付きへと至る。まだメインルートはこれからだと気を引き締め直す。


第4尾根主稜登攀開始
5P目 蓮容さんリード

クラックから易しいスラブを登る。出だしの足がツルツルだがいいクラックだった。クラックが終われば後は大優勝のクライミングである。下部岩壁はブッシュと草付きでロープの作業等が非常にやりづらかったがようやくクライミングらしく(?)なってきた。

お手本のようなダブルロープ振り分け

6P目 増地リード

白い岩のクラックを登る。このピッチでピラミッドフェースのルートと合流した。

増地はアホ程ランナウトしながら登っていきました。ヒドンスラブでのアレはなんだったのか...。
私的にはこのランナウトの方が壊れて見えました(笑)
増地の恐怖心のツボの把握は難しいですね。。。(ハスイ)

段々とガスってきた

7P目 蓮容さんリード

三角形の垂壁から緩傾斜のリッジを辿り、マッチ箱の懸垂下降点へ。ロープがかなり重くなってしまったらしい。

この三角形の垂壁、面白かった

リッジを辿る

8P目 マッチ箱から懸垂下降

左のコーナーへ20mの懸垂下降

今からこれを登るらしいが正気か?と思いました
このあたりから暑くて沢ノボリーとしか考えられなくなっていました。ありがたいガスでしたね。(ハスイ)


9P目 増地リード

残すはあと3ピッチ。スラブからカンテ上のクラックへ。2ピン目のランナウトで行き詰まり、再び過呼吸になりかけるが、薄カチを全力で握り締め強引に突破した。
この時蓮容さんにいくつか暴言を吐いたらしいが全く覚えていない。暴言はひどいと思います(すみません)。

彼にクライミング中声掛けすると大抵暴言が返ってきます。
なみだがとまらない😿(ハスイ)


ある意味思い出のピッチとなった

10P目 蓮容さんリード

カンテ〜枯れ木テラス〜脆いナイフリッジを辿り城塞ハング手前まで。右側のルンゼはルンゼと呼ぶには亀裂が大きく、崩壊が進んでいるのを感じた(と蓮容さんが言ってました)。いつかマッチ箱自体もC沢方面へ崩落してしまうのだろう。


素晴らしいロケーション


2010年の崩落の爪痕が残されている

ナイフリッジはガバでそれほど怖くはない

いよいよ最後の城塞ハング

11P目(最終) 増地リード 

第4尾根最後の核心となる城塞ハングである。今まで蓮容さんに助けてもらってばかりということもあり、最後のリードを譲っていただく。チムニーに腕を挟みながらホールド、スタンスを探し、少しずつ体を上げていく。腕が疲れるので体で突っ張りながらレスト。3日前ぐらいに蓮容さんとクライミングJAMで半日間リード壁の練習をしたが、あれがなかったらヨレて落ちていたかもしれない。何が言いたいかというと、感謝感謝ということである。

ハングを超えわずかにトラバースするとキャメロットの1番が決まり安心。そのまま右上しハイマツのブッシュ帯でピッチを切る。蓮容さんを引き上げ、グータッチをかわす。

喜びに浸りたいが時間がない

最終ピッチ終了時点で14時である。広河原〜奈良田へ帰るバスは16:40が最終便。それまでに、山頂をとり、下山しなければならない。登山道復帰を急ぎたいが、最終ピッチで力を使い果たした増地はふにゃふにゃな登りで遅れる。

登山道復帰の瞬間

間も無く、北岳山頂へ。2年生の9月以来の北岳だが、喜びもひとしおであった。

北岳登頂

滞在時間2分で下山開始。こっちのほうが辛いかもしれない。

肩の小屋

草すべり分岐

15:30までに白根御池小屋に到着できればまだ希望はあるということで全力で降り始める。15分で草すべり分岐に着き、このまま行けば今日中に帰れると自分を鼓舞する。はたして増地は間に合ったのか?








無 理 で し た \(^o^)/



草すべり中盤からまったくペースが出なくなってしまい、足元おぼつかなく御池小屋で動けなくなってしまった。全身のしびれもあり、軽度の熱中症になっていたと思われる。orz...

というわけで今日中の下山が不可能になってしまい、広河原での幕営が決定した。鈴木には先に広河原まで降りてもらっているので、広河原まではいかなければならない。水を飲み、レーションをかじり、30分ほど爆睡しなんとか回復しました。

グッタリ

鈴木が予めテント撤収し、自分たちの荷物をまとめてくれていたおかげで休息後、スムーズに撤収出来た。感謝しています。

というわけで広河原まで下山。

一方その頃鈴木は石のアートを創作してました

日焼けした体を冷やし、

余った飯達で晩酌

__________________________________________
18日:天候 晴


今日は帰るだけ。
北岳を貫く飛行機雲

帰りのバスは貸し切り

すき家で朝ごはんを食べ、温泉に浸かり、
のんびりと帰路につきました。


まとめ:

感想:増地
まずは目標としていた北岳バットレスに行って帰ってこられて嬉しい。ここまで共に攀じてくださった蓮容さんには感謝である。思えば2年生の秋、マルチピッチができるようになったら北岳バットレス行ってみたいね、と蓮容さんと話をしてから2年近く経ってしまったが、こうして実現に至ったのは感慨深いものである。
結果としては全ピッチOS、ノーテンだったが決して楽な道のりではなく、厳しかった。全ピッチ総じてランナウトする場面が多く緊張を強いられ、ルーファイも難しかった。山の総合力が求められているということを肌で感じた山行であった。しかしロケーションの良さやルート取りの美しさは抜群で、これが日本でも随一の人気を誇るクラシックルートだということには納得である。色々な意味で忘れられない充実した山行になりました。

感想:蓮容
北岳バットレスといった大きな岩場でのクライミングは長く目標にしてきただけあって、楽しいものでした。また、バットレスそのものでなくこの登攀へ向けてフリーのグレードを上げたりマルチを練習したり、クラックを始めたり...その過程で得た経験自体が遊び幅を広げてくれたなあと思っています。
ただ、途中からずっと
「暑い」「水」「さわ」「サワ」「沢」「沢!」
これに思考を支配されていました。
3000mといえども、この時期の直射日光のあたる岩は水属性の天敵です。
当分は沢に逃げようと決意する山行でした。


(文:増地)