上の黒ビンガ 快晴。アイシング 沢合宿'03 黒部川上ノ廊下
日時:2003年8月12日~8月19日
メンバー 青木睦佳(農3) 久保裕(農3) 中戸川好康(理1) 中岡稔充(OB)
8/12(火) 晴
5:30静岡~12:00扇沢13:00~13:30黒部ダム~16:20中ノ沢出合(平ノ小屋手前)
もう少し早ければ平の渡しの最終に乗れたが、渡ってしまうと良いテン場がないので調度よかったかもしれない。
アプローチ 入渓 8/13(水) 晴
7:30出発~8:00平ノ小屋~10:05平の渡し~12:00奥黒部ヒュッテ12:30~12:50熊ノ沢出合
10:05の船に乗る。一時間前あたりから続々と人が集まり、この人数全員乗れるのかよ!と思ったが、結構無理やりな感じでなんとか全員乗れた。この人数みんなが上ノ廊下にいくかと思うと少し嫌な気分になるが、人気の沢だししょうがない。奥黒部ヒュッテにはタイ人の姉ちゃんがいて、増水していて明日から天気が悪いと聞いた。
いきなり沈 8/14(木) 雨
沈殿
雨強く沈とする。近くのボルダーで遊ぶ。ただでさえ増水気味なのにさらに水量が増えていき不安だ。
下の黒ビンガ 8/15(金) 曇り
7:10出発~11:00口元ノタル沢~16:20口元ノタル沢先の河原
やはり増水している。出発してすぐに徒渉があり、ここで止まっているパーティーもいる。青木、久保、中戸川の三人は早くもここで諦めムードだったのだが、中岡さんが徒渉していく。さすがです。ザコ三人衆は投げてくれたロープをしっかり持って、激流の中に身を委ねれば勝手に対岸に到着。こうして次々と徒渉を繰り返す。他のパーティーが巻いたところも中岡さんが泳いで、へつって、飛び込んでと奮闘して抜けていく。三人はザックピストンで行くが、流れが強いため寒いしバランス崩しそうになるしドキドキした。引っ張る中岡さんも流れのせいで重そうだ。途中で久保ちゃんが流されるも、ロープを投げつけて救出。いやあ、無事で良かった。今日は本当に厳しい遡行でした。水の勢い、力強さというものを嫌というほど堪能できました。
広い河原 水流は冷たい やさしい徒渉 白い花崗岩。中岡が捻挫する
8/16(土) 晴
7:00出発~9:00上ノ黒ビンガ~10:30金作谷~12:10赤牛沢手前の河原
やっと気持ち良く晴れた。昨日に比べたら今日は大分緊張する場所は少なかった。怖い徒渉もみんなでスクラムを組んでどんどん突破していく。スクラム徒渉は楽しいしかなりパワーアップできてすごく使える。上ノ黒ビンガから始まる絶景は見もの。上ノ黒ビンガから始まる絶景は、上ノ廊下にきて良かったと思わせてくれた。金作谷まで、所々難しいへつりがあったが、お助けロープ程度で突破できる。核心を抜け、これは完全遡行できるかな?と思ったが、甘くなかった。三人が水際をへつっていると、中岡さんがいつもの遊び心で岩棚から岩棚へジャ~ンプ。が、着地に失敗。足を捻挫してしまう。かなり痛そうで、歩くこともままならない。少し先の河原に泊まることにするが、こんなに痛そうにしている中岡さんははじめて見た。腫れもどんどんひどくなっていき、小指が親指くらいになっていた。ここまでおんぶに抱っこできてしまったので、急にプレッシャーを感じる。ここは沢のど真ん中、どう動くにも動きづらい。不安を抱えたままねていると、夜中
になって雨が降り出した。
敗退を決定、同時に土砂降りになり増水。 温泉に入った
8/17(日) 雨
9:00出発~12:00赤牛沢~12:40岩苔小谷~13:50二股~15:30唐松の湯
昨夜からの雨でかなり増水してきている。岩苔小谷から高天ノ原に抜けることにする。中岡さんの足の具合はかなり悪いようだ。腫れの為鮎足袋が履けず、ガムテ
ープで足をグルグル巻きにして地下足袋を履く。昨日簡単に突破できそうだった淵も増水で無理。巻くことにする。一旦巻くと、なかなか降りられる場所がなく、かなり大きく巻くことになってしまう。ようやく降りられそうな場所を見つけて懸垂をする。が、懸垂している間にみるみる増水していき、流れは濁流に変わってしまった。さっきまで河原だった所もなくなり、仕方がないのでもう一度登り返す。結局赤牛沢出合 まで巻くことになった。岩苔小谷も当然増水していて、案外難しい。二俣からは高天ノ原へと続く踏み跡がある。温泉はありがたかった。お湯がぬるく、出るのにかなりの勇気が必要だった。夜になっても雨は止まず、昨日に引き続き寒い夜だった。明日も長い行動。中岡さんはつらそうだが、頑張ってもらうしかない。せめて雨が止んでくれれば。
雲の平
8/18(月) 雨
7:30出発~10:20岩苔乗越~11:10水晶小屋~12:40真砂岳分岐~14:50湯俣岳~16:40湯俣~17:30名無小屋
今日もずっと雨。昨夜も雨の中非常に寒かった。一昨日の夜から体はずっと濡れたままだ。でも今日からは登山道を歩くだけなので気持ちは楽だ。雨の中順調に進む。湯俣に泊まろうとも思ったが、もう少し頑張れば無人で快適な名無小屋なのでそこまで頑張る。久しぶりに雨に濡れることなく寝ることが出来る。薪のストーブもありがたく使わせていただき、体も心も温まる。味噌汁に飛び込んできた蛾にブチ切れたよしやすが印象的だった。今山行中一番感情を表に出した瞬間だったんじゃないかな。
8/19(火) 雨
名無小屋~高瀬ダム~扇沢~静岡
高瀬ダムまで歩きタクシーで扇沢へ車を取りに行く。後は車で静岡へ。
総括
今回の沢は悪天による増水と、中岡さんの怪我によって非常に厳しいものとなった。唯一晴れた日に怪我するというのもまたなんともいえない運の悪さかな。青木、久保、中戸川の三人では熊ノ沢出合からの最初の徒渉で敗退だっただろう。ほとんど中岡さん一人の力で遡行していたため、中岡さんが怪我をしたことでかなりのプレッシャーを感じた。しかし、すでに核心を越えていたこともあり、無事自力下山できて良かった。一年生の好康は初めての長期の沢で大変な部分もあっただろうが、良い経験になっただろうし、自信にもなったと思う。実際、体力もあるし強いと思う。唯一 晴れた16日は上ノ廊下の素晴らしい景観を感じることが出来たし、17日の大増水、濁流となった黒部川は恐ろしさを感じさせてくれた。自然の厳しさ、素晴らしさを改めて感じることが出来た。やはり素晴らしい沢だと思う。是非もう一度挑戦したい。そのときは自分の力で挑みたいと思う。今まで徒渉が厳しい沢というのは経験したことがなかったで、良い経験になったと思う。可能生が広がったと思う。またスケールの大きな沢に行きたい。
(文責 青木)