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2025年3月20日木曜日

2025/3/20~3/22 冬季 鹿島槍ヶ岳東尾根

日時:3月20日(木)~3月22日(土)

メンバー:堀、菅原、OB真達

行程:
20日:静岡=大谷原登山口-一ノ沢ノ頭-幕営適地 
21日:幕営地―二ノ沢ノ頭―第一岩峰―第二岩峰―鹿島槍ヶ岳北峰-幕営適地 
22日:幕営地―鹿島槍ヶ岳南峰―冷池山荘―大谷原登山口=静岡 

記録:
さてさて早いもので静岡でもソメイヨシノ開花が騒がれている今日この頃ですが、
真達さんとこの冬最後の山行に行ってきました。
北アルプス鹿島槍ヶ岳に東尾根から登って赤岩尾根から下りてくる二泊三日の計画です。
始発の電車に乗り身延線の国母駅で真達さんの車に拾っていただき登山口手前の駐車場まで、ここで大井さんの車を発見。山頂でばったり会えないかなと淡い期待を抱いてみたり。
ガチャ類やロープを入れたザックはパンパン。今回も同期に借りた100Lを持ってきました(大串ありがとう)
林道を少し進んだ後適当にラッセルして東尾根に乗ります。トレースはあったのですが尾根に乗るまでは無視して違うラインで登りました。暑くて全員あみあみ一枚でした(笑)
一日目は風もほとんどなくいい天気。駐車場で大井さんの車を発見したので天狗尾根のどこかにいるだろうと目を凝らしますが見つかりません。
だんだん雪団子で重くなってくるワカンに悶えながら歩いていると…
突然右側からインディアンコールが聞こえてきました。
先に見つけられてしまいスナイパーから狙撃でもされた気分でしたが元気が出ました。
かろうじて堀がカメラに捉えたようですが大井さんどうですか合ってますかね?
最後は尾根が細くなってきていやらしさトラバースで堀が落ちて行ったりしましたが
16時に頭に着くことが出来ました。なんだかんだ4時間1000mアップですよ。
正面に鹿島槍ヶ岳が見える素晴らしいテン場ですね。
今回の山行用に秀岳荘でエアライズのスノーフライを買ってきましたので初使用です。正直無かったら2日目夜がかなりまずいことになっていたと思います。
先行者の二人組は17時頃まで頑張っていました。
個人のコッヘルを忘れてきたためにペンネの袋で代用することが決まったりありましたが
19時に無事就寝

2日目
4時に起床し5時半出発。風が若干気になりますが視界はそこそこ良好。
先行者のトレースのおかげですぐ追いついてしまいました。
先行者の方々はコンテで丁寧に歩いていたので岩峰で順番待ちも嫌なので追い抜かせてもらいました。
堀ご所望のスーパーラッセルタイムです。
白峰三山でもトレースがあったり堀は今シーズンラッセル不足に嘆いていました。
さすがは北アルプスの積雪量といったところでしょうか
真達さんのラッセル力には感嘆するばかりでした。
ワカンを付けるか微妙なラインであることやそもそも尾根が長く自分はついていくだけでやっとでした。
第一岩峰の取りつきでロープを出しました。
岩峰にわざわざ回り込むことはせず左の雪壁からコンテで突破しました。
徳永さんからお借りしたクウォークのおかげで快適でした。
第二岩峰は堀がリードするつもりでしたがプロテクションが悪そうで真達さんにお願いしました。写真以上に立っていて難しかったのでリードしてもらって良かったです。
アックスの効きが個人的に悪く、岩の露出も悪く足のスタンスが悪い印象でした。自分は右のチムニーに入ってプロテクションを回収した後クライムダウンして左に乗り込もうとして落ちました。
スタンディングアックスビレイも例年現役だけでの雪訓ではあまり力を入れて練習はしていませんでしたが、今年の遠見尾根の雪訓ではかなり時間をかけて練習しました。
八ヶ岳での特訓も含めて今回がこの冬の集大成です。
今日ラッセル一回もしてないなと思って一瞬先頭に出ましたが
ピークの遠いこと遠いこと......10分持たずに真達さんに替わってもらいました。
でもって少し歩いたら
堀もろとも雪庇踏み抜きました。真達さんのトレース通り歩いたのですが堀と自分の二人分の体重がいけなかったのか堀の足元から自分の足元にかけて亀裂が入っていくのが見えました。
今山行一回目のピッケル制動で止めました。堀は若干ロープに荷重かかったようですがほぼ自己制動で止めました。コンテは安心感があっていいなと思いました。
山頂に近づくにつれて風が強くなっていき、鹿島槍ヶ岳北峰に着くころには真っ白になってしまいました。山頂標識は雪の下ですがここが一番高いことは分かりました。
北壁登攀した青木さんのように山頂で寝転がる余裕はなかったです(記録を読んで知ってはいたのですが山頂ではすっかり忘れるくらいに疲れてました)
真達さんは南峰も今日中に取りに行くのために風の弱いコルで休憩にしてくれましたが、ここまでの爆風と疲労度、時間と目の前の爆風雪壁を見てその場に天幕することにさせてもらいました。スノーフライをクライミング道具を総動員してがちがちに固めました。
強風で起きてしまうものの寒いということはなかったですが、不安感は残るためお酒は進まなかったようです。

3日目
今日も風が強いです。撤収に手間取ってしまい少し出発が遅れてしまいました。
風の妖精(レベルMax)相手はなかなか手強かったです。
テン場から3mも離れれば耐風姿勢が必要な強風で
幸い視界はいいのですが、不安感もあったのでコンテにしてもらいました。いざ南峰へ
南峰までの登りは真達さんを先頭に耐風姿勢を交えながらジリジリ進みました。
正直部の山行なら行動しない判断するレベルの風でした。昨日疲れきった体で突破するのは無理あったかなとも感じつつ南峰登頂です。
南峰から冷池までも標高下げられるまでは強風に晒されて続けました。
前に見えているのは爺ヶ岳の山々と針ノ木岳に続く稜線でしょうか
コンテのロープが風に流されて岩に引っかかって四苦八苦
立山から剱岳方面です。レンズ雲は強風時に出るそうです。
冬毛の雷鳥に会いたかったのですがこの風では出てこれませんよね。
冷池山荘から赤岩尾根までの分岐まで少しだけ登り返しました。
だいぶ風も収まりましたがここまでで既になかなかの疲労度です。
看板が完全にひっくり返っていますね
雪の状態見つつ距離を空けてトラバース開始
出来るだけ刺激は与えたくないんですが途中から腰まで埋まるせいでそこそこのラッセルを強いられました。
斜面二つほどトラバースして赤岩尾根に乗りました
赤岩尾根からは3人上がってこられたので東尾根をバックに写真を撮ってもらいました
風も当たらずポカポカでしたが、雪がかなり緩く
雪の下が空洞になっていたりして足がとられまくりで
滑落停止を2回ほどしました(下まで落ちなくて良かった)
菅原は滑落停止をやったこともありかなり慎重に歩いてしまったり精神的にも参ってしまいました。
堀真達さんに林道歩きで遅れをとるのはいつものことですが最後は気力で頑張りました
体力も精神力もギリギリまで使い切った山行でした
真達さんから焼酎の余りを頂いてご機嫌な堀くん
国母駅近くで晩御飯をご馳走になり電車で静岡に帰りました。

後日Instagramで見かけたのですが東尾根で先行していたパーティーはファイントラックの方々であったようです(ドライレイヤー使ってます!とか言えればよかったですが……)
木曜から日曜の山行を組める労働環境はさすがですね


まとめ
今季は雪訓から始めて毎月八ヶ岳に行ったり大唐松尾根白峰三山を組んでみたり、真達さんのお力を借りてアイスやアルパインに挑戦してみたり、個人的にかなり頑張った冬でした。というのも自分がこの世界に手を出せるのか知りたかったのが発端で、体力や登攀力に圧倒的な差を付けられていく堀についていけるか不安で押しつぶされそうでしたが、たとえ足を引っ張としても得るものが何かあるだろうと全ての山行敢行しました。
この世界に手を出せるのかという問いに明確な答えを得られた感覚はありませんが(うまく言語化が出来ないと言った方が正確かもしれません)山への向き合い方や自分が山と自分自身に求めるものを考え直すきっかけにはなったように思いますし、つらい中歩きながら感じたことや自問自答を繰り返したことは価値あるものだったと思います。
少しだけ言語化するならば、全員が同じレベルになれるわけではないということだと思います。同じ経験を積んでも得られる経験値が同じではなく、同じ本を読んだからといって同じ知識量が頭に入るわけでもなく、同量の努力で同レベルにいけるわけでもなく、各々の生活において同量の努力をする難易度が同じなわけもありません。それぞれが身体的な差のみならずあらゆる差を持っているはずです。その差を埋める努力が各々必要だとしても完全に埋まるものではないことも事実だと思います。だから山岳部や山岳会といった組織ないしはパーティーで動くのかなといったところに落としどころを付けることにしました。
個人としては本山行において本能的にやばいと感じる場面が多々ありました。それは自分がどのように落ちていくか、どのように事故に繋がっていくか明確に想像できてしまったことに起因するように思います。強風下での行動中も滑落停止中も冷静であるとともに自分の置かれている環境のやばさをひしひしと感じていました。これまでの自分の経験を全て上回った山行であったことは間違いないです。それでも南峰から見た立山連峰は格別でした。このような経験を積ませてくれた真達さんには感謝の気持ちでいっぱいです。
クリスマスに八ヶ岳に一緒にこもってくれた梅田や白峰三山に付き合ってくれた奥津さん、この冬全ての山行一緒に奮闘した堀、毎月特訓を組んでくれた真達さん、アイスアックスなどを貸してくださった若月さんや徳永さんに改めてお礼申し上げます。
来年度はどんな新入生が入ってくるのか、どんな山行計画が組めるか、どんな景色を見られるか、どんなトラブルが襲い掛かるか(テント浸水はもう勘弁してほしいですが…)、不安と楽しみが半分半分です。この長ったらしい記録を最後まで読んでくれた新入生がもしいるのであれば、登山でもクライミングでも沢登りでもマラソンでもサイクリングでもやりたいと言った時には山岳部の先輩方やOBさんが死ぬほど強力に応援してくれるということを伝えておきたいです。こんなメンタル弱虫でもこのような素晴らしい山に行くことができるようになりますからね、ぜひお待ちしております。
最後になりますがOBの皆さんに置かれましては今後とも暖かいご声援と熱いご指導よろしくお願いします。
暑さに悶える山行記録を書く頃までクライミングにでも勤しもうと思います。
ではまた

文責 菅原



2025年2月15日土曜日

2025/2/15-16 大同心大滝小同心クラック登攀

日時:2月15日(土)~2月16日(日)

メンバー:菅原,堀,OB真達

行程:
15日:静岡=美濃戸別荘地-赤岳山荘-大同心大滝登攀練習―赤岳鉱泉幕営 
16日:幕営地―大同心大滝―小同心クラック―横岳―大同心稜-赤岳鉱泉―赤岳山荘-美濃戸別荘地=静岡 

記録:
真達さんとの冬山特訓vol.2でまたまた八ヶ岳に行ってきました。
今年の冬山シーズンに入って月一回ペースで八ヶ岳にお世話になってます。
若月さん元い井出さんと徳永さんがアイスアックスを貸してくださったので今回は冬季アルパインに片足を突っ込んでみました。
北沢を爆速でアプローチして赤岳鉱泉まで。
気を抜くと一瞬で離されるので体力が無い自分にとっては第一核心です。
今回もテントは真達さんの超快適DXエスパスを持ってきていただきました。
ありがとうございます。
大同心沢のトレースを詰めて大同心大滝まで。
赤岳鉱泉から30分強くらいでしょうか。立派な滝です。
先行が1パーティいらっしゃいましたが真達さんが右側にトップロープを張ってくださっていざ練習!

菅原はアイスクライミング3回目ですが、イマイチ動きのコツを掴めずなかなか上手く登れませんでした。
左の簡単なラインで基本の三角形の動きを繰り返し練習しました。アックスを強く握りこんでしまいパンプしてしまうのも練習が要りそうです。

前回南沢小滝をリードした堀君は動きに安定感があってレストも上手く挟みながら登っていきます。天気も良く気温が上がってきてアックスがよく刺さります。
なんなら暑いくらい

真達さんの「堀リードする?」に「やります!」と即答の堀。気温が上がってきたためにスクリューの刺さりが悪く、途中1本落とすミスはありましたが安定感のある登りでスルスルと登っていきます。

完登しました!ロープスケール30m登り切りました!
アイスクライミング2回目ですよ!驚きです。

菅原も明日に向けて練習を繰り返して今日は終了。
結局1日貸し切り状態でした!

晩御飯は堀君が全く軽量化を考えなかった具だくさん鍋を〆のうどんまでお腹いっぱい食べました。おつまみは北海道から持ってきたエゾシカのスモークハムでした。

2日目
具だくさんラーメンを朝ごはんに食べ、大同心大滝に向かいます。
昨日のように朝から晴天とはいかなさそうです。

ガスガスで昨日よりは冷えてますが、気合い入れていきます。真達さんリードで

セカンド堀君はたまにやる謎落ちを披露しながらトップアウト

サード菅原は真達さんがギャンギャンにロープを引いてくれていたので落ち着いて手足を決めてトップアウトしました。

コンテに切り替えて小同心の取り付き目指してルンゼを詰めていきますが、途中小同心を目指しているグループに遭遇し方向を信じた結果、間違えていたようで

目の前の岩峰を突破すれば小同心基部に出るだろうということで真達さん気合いのリード(コンテ)
小同心よりもここの岩峰の方が難しく感じました。
結果的にはハイマツにノミックを引っ掛けてその先の岩を保持して気合いで誤魔化しました。真達さんの凄さをまじまじと実感しました。

トラバースとかをこなしながら詰めていくと

小同心の取り付きに出ました。
今までガスガスだったのがさっきの岩峰頑張ったご褒美かのように晴れてきました。

小同心1ピッチ目は真達さんリード
残置は終了点も含めて全て使わない方針でグイグイ行きます。ピナクルで切って

2ピッチ目は堀リード
ATCを落としてテンパったのか終了点の作製は堀らしくない微妙な感じでしたがナイスリードです。

菅原はフォローで気楽にガシガシ登らせてもらいました。アックスで登るの難しくて手に頼りました。
足のスタンスを作るのが難しかったです。

3ピッチ目は赤岩ノ頭の先くらいまで真達さんリード
声が全く届かなかったのでそういった場合のコミュケーションの取り方を工夫したいものです。

山頂直下の最後の岩壁をこなして横岳に出ました。
夏にも小同心取り付きまでは来たのですが雨で撤退してしまったので初アルパインが冬季小同心になりました

3人で撮った写真はスマホのバグで消えてしまいました(悲しい)
 
大同心稜から懸垂下降して大同心基部をトラバースして降りてきました。真達さんが小同心取り付きまで登り返して堀が落としたATCを回収して下さいました(あって良かったね)小同心をバックに3人でパシャリ。

赤岳鉱泉に戻りテント撤収して帰りました。
2日間みっちり真達さんありがとうございました!

感想
滝を登って山頂に行くというのがいかにも自然が作り出したルートを行っている感じがして気持ちが良かったです。
アイスも岩も全ピッチフォローで行かせてもらったので気持ちよく登ってましたが、真達さんに連れて行ってもらってる感じが否めないので、アルパインのリード含め練習が必要だと感じています。
真達さんお忙しい中いつもありがとうございます!
またお願いします!

菅原