2025年5月17日土曜日

2025/5/17 編笠山西岳 B隊

日時:5月17日(土)

メンバー:CL大串,SL鈴木,前嶋,松原,大門,日々野,杉浦,石田,清田

行程:
17日:静岡=富士見高原駐車場-編笠山(西岳)-青年小屋-西岳(編笠山)-富士見高原駐車場=静岡


記録:
新入生が入部して初めての登山に行ってまいりました!天気が悪い予報で少し心配していたが、思ったよりも雨は弱く少し安心した。いつも通りの3時集合で一年生は驚いていたが、みんな早めに部室に集合していて驚いた。


    朝3時の部室   

今年は入部してくれた一年生が多いので今までとは異なり、部隊を二つに分けて登山することになった。山岳部経験者もいたため、それほど心配はせずに登っていけた。


みんな楽しそう

初心者の子達もついて来れていたし、読図も頑張っていて、これからが楽しみである。樹林帯歩きはそれほど悪くもなく順調に進むことができた。樹林帯を抜ける寸前にはツルツルの氷があり、一年生の様子を見ながらゆっくりと進んだ。


初の岩場でウキウキの一年生たち

樹林帯を抜けるとまあまあ岩場が続いていた。一年生の中には「気持ちー↑!」と叫んでいる子もおり、愉快な状況だった。雨はひどくないが風があったので慎重に山頂に向かった。山頂着いてすぐのところに残雪があり、撤退するか迷った。



どうするか迷う大串さん



これから天候が悪化していくということですぐに撤退を決断。樹林帯までは3点支持を徹底して下山開始。45分ほどかかったが無事に樹林帯までたどり着いた。樹林帯に入ってからは気が抜けてしまい、結構な速さで下ってしまった。また、樹林帯に入ったところで体調は大丈夫なのか聞いておくべきだった。反省である。

最後の方に渡渉ポイントがあったが、上りでは聞こえなかった水の音が聞こえ何事かと思い横を見ると、鉄砲水の要領で沢に水が流れ始めていた!雨の日の登山特有の貴重な出来事を経験することが出来た。林道に入った辺りから晴れ始め、一年生も笑顔になり、会話の数も増えていた。


みんな元気そうで何より
お疲れ様でした


まとめ:
初回にしてはハードな山行だったため、一年生は大丈夫かなと考えていたが、みんな楽しそうに登っていたのが印象的だった。隊を分けるのは不安だったけれど、自分にとって主体的に登るトレーニングとなる良い山行となった。何気に部での日帰り登山は初めてだったので楽しかった。
(文:鈴木)

2025/5/17 西岳編笠山 A班

日時:5月17日(土)

メンバー:CL菅原,SL中村,松田,梅田,笹木,青島,野瀬,湯本,川村

行程:
17:静岡=富士見高原駐車場-西岳(編笠山)-青年小屋-編笠山(西岳)-富士見高原駐車場=静岡

記録:
数年ぶりに入学式での部活動の声掛けが解禁され
大先輩方と愛すべき後輩による
献身的で狂気的な山岳部愛にあふれる新歓によって
今年は11人もの新入生を迎えることとなりました。
声掛けできるなんてつゆ知らずの3年は全てを丸投げし
その裏で四国にクライミングトリップに行ってました

「山に帰ろ~」
四国また行きたいですね

新入生には何の罪もないが
週末直撃待ったなしの温暖前線…
まあ初山行なんて毎年高確率で雨だし
樹林帯多くて渡渉のない山に転戦
三時集合を見せつけるのは毎年のこと。
みんな集合早くて偉かった。

9人ずつの二班に分けて周回の計画行ってきます

52号を走っていた時に比べれば雨は弱いものの
新品の雨具も靴もザックも濡れる最高の滑り出し
樹林帯をのんびり地図とみらめっこしながら歩きます
地図読み頑張っていて良き

SL中村のペース管理も読図ポイント選びも素晴らしかったです
伝家の宝刀「好きな食べ物」で一年生との会話を繋いだり。

女子が入って嬉しそうな松田
こんな劣悪な環境でも終始みんな笑顔で楽しそうにしているのが印象的でした

岩場が増えてきて濡れているので
よりフラットフッティングを意識して
前線が近づくにつれて雨も風も強くなってきました

11時前に西岳山頂着。よく頑張りました

道が雨で川になり始めていたことや
この先の残雪や諸々を鑑み撤退決定
編笠山に飛ばしたインディアンコールは
爆風の逆風で届くわけもなく
ガスに隠れてしまったのであきらめて下山開始

すぐチョコレートコーティングされる登山靴
これ以上ない練習にもってこいな道でしたね

一時間ほど歩いた後休憩で止まったところ
どうも中村がおかしい。
食欲なくてもレーションは入れろと言ったけども
水飲める気配がしないと言うのでお湯を飲ます
聞けば雨具の下が全て濡れて寒いというし
手の動きも頂上時よりかなり悪い。低体温症である
ツエルトを広げて上半身は全て着替えさせ
雨具が内側までびっちょり濡れていたので
ポンチョ型のツエルトをかませたうえで雨具を着せ
テムレスを付けさせたらだいぶましなようで下山再開
ガス一式持って行ってもよかったなと思う反面
お湯の状態で持って行った方が即効性があってよかったなと

以下中村
前述にもある通り、今回の山行で僕(中村)が低体温症になってしまうということがありました。個人の反省とともに今後の山行の参考のためにも、少し詳しく事の経緯を書いていこうと思います。

入山して最初の1時間くらいは雨がかなり弱く、フードを外して歩くくらいだったが、段々と雨が強くなってきて着ていた服が少しずつ濡れ始めた。山頂まで残り1時間くらいの時点でカッパの下の衣類は全て濡れていた。このときはまだ寒くなくて、服が冷たいなくらいだった。山頂に到着したときには寒いと感じていて、手にはほとんど感覚がなく、とても動かしづらかった。下山することが決定し10分くらい休憩して下り始めるも、とても寒い。寒い以外考えられないくらいだった。そこから1時間くらい下ったが、SLとしての仕事をほとんど忘れていて、寒いと思いながら無心に下っていた。寒いので止まりたくなかったがCLの提案で休憩を取る。止まってみるとシバリングが始まった。手もほとんど動かないし、制御できないほどのシバリングだった。これはまずいとのことになり、いったんツェルトで屋根を作ってもらい、暖かくしてもらった。菅原さんからもらったお湯を飲んでパンを食べる。フリースを持ってきていたので、上半身を全て脱いでそれを着てツェルトをかぶってその上からカッパを着た。服を替えたらかなり暖かくなったので行動を再開する。雨もほとんど止んでいてすぐに回復した。そのまま歩き続けて下山した。

考えられる原因
1、カッパの性能が落ちていた
  それほどひどい雨でもないのにびしょ濡れだった
  5年前くらいからずっと使っているものだった

2、レーションを食べていなかった
  普段の山行もそうだが、ほとんどレーションを食べていなかった(パン1つくらい)
  雨だったのでレーションを取り出すのが面倒だった
  エネルギー不足で熱を生産できなかった

3、着替えようとしなかった
  フリースを持っていたのに着替えなかった
  ずっと濡れていたから体温が奪われた

4、半そでだった
  腕にカッパが常に密着していて手がとても寒かった
  いつもだともっと早く登って汗をかくので半そでにした

5、低体温症に対する認識の甘さ
  そんなに簡単になるとは思っていなかった
  5月なのに夏山の感覚でいたのできっと雨でも暑いだろうと思い込んでいた

6、冬山の感覚で登っていた
  この前までは冬山だったので感覚がおかしくなっていた
  手の感覚が無くても全く異常だと思わなかった

7、気合で行動してしまった
  寒くてつらかったが「あと数時間頑張れば」と我慢して歩き続けてしまった

8、SLの仕事に集中しすぎた
  SLとしていろいろ考えたり1年生もたくさんいたのでそっちばかり気にしていて自分のこ
  とを何も考えていなかった
  1年生が低体温症にならないか心配で体調をよく聞いていたが自分のことは何も心配して
  いなかった

9、個人の体質の考慮が足りなかった
  僕(中村)は部員の中ではおそらくかなり脂肪が少ないほうで寒さ対策をする必要があった
  去年の冬の仙丈ケ岳でも寒さで動けなくなってしまったことがあった

いろいろと原因を考えてみましたが思ったよりもたくさん見つかりました。こういう事態というのは1つの原因ではなく複数の原因が重なって起きるものだとよくわかりました。後から考えてみると去年やったトムラウシ山の遭難事例検証にとても似ていることがわかってゾッとしました。ソロだったらと思うととても怖かったです。前にも寒さでやられたことがあるのでこれからはこのようなことがないように寒さに関しては人一倍気を付けていきたいです。そして、適切に判断して助けてくださった菅原さんと処置の手伝いをしていただいた他のメンバーの方々、ありがとうございました。あと1年生、初回山行なのに先輩としてSLとして情けない姿をお見せしました。ごめんね。
以下菅原さん

着替えて体が温まり笑顔が戻った中村

温暖前線が通過し露骨に気温が上がり
だいぶ林道チックな感じになってきたので
しりとりしてみたり野球の話したり
一年生だけで話しながら歩いてみたり

下りてきたら晴れるのはいつものこと
お疲れ様でした。

まとめ:
今度は暑さに悶える山行記録を書くつもりであったのにまた寒さに悶える記録を書くことになってしまった。一年生が終始笑顔で登ってくれていたのが印象的であった。隊を分けると反対側の人たちと喋りできないのが残念であるがここまで人数が多いと仕方がない。うれしい悲鳴である。次は晴れるといいな~
(文:菅原)

2025年5月4日日曜日

GW 小川山 烏帽子岩左稜線

日時 : 5月4日(日)

メンバー : 菅原、中村

行程 :
テン場(6:50)~烏帽子岩左稜線取り付き(7:30)~登攀開始(7:40)~登攀終了,下山開始(17:00)

記録 :
GWにクライミングしに小川山に行くことになり、2日目にマルチに行くことになった。小川山にはたくさんのマルチがあるが、蓮容さんお勧めの烏帽子岩左稜線に挑戦することにした。烏帽子岩左稜線は18pでとても長く、プロテクションもほとんどNPで取るので、マルチの中でもアルパインに近いルートだ。ちなみにこの日は、僕ら以外にも他の先輩たちが「ガマルート」や「春のもどり雪」に取り付いていた。

4日
起床は6時。前日の夜は1時くらいまで起きていたので眠い。ギアを選定してパッキングしながらラーメンも食べて、7時前にはテン場を出発する。今日は渡渉で岩を飛んで濡れずに渡ることができた。途中で道に迷うも修正して、40分で取り付きに到着。ちょうど1p目を登っていくパーティーが見えた。

地上とはしばしの別れ

1p目 20m 5.7 : ルンぜを登る
菅原さんリード。 砂混じりで朝イチだったこともあり、結構怖かった。

2p目 20m 5.7 : 少しフェースを登り、トラバースして、またフェースを登る
菅原さんリード。1p目の終了点に先行パーティーがいたこともあり、ロープの関係上で菅原さんが連続でリードした。トラバースで結構怖そうにしていて、自分も怖かった。

3p目 20m 5.6 : ダブルクラックを5mほど登り、トラバースする
中村リード。カムがバチ効きするところがあり嬉しかったが、回収が大変だったと言われた。このあたりから風がかなり強くて、上着を着ていてもかなり寒かった。先行が詰まっていて、10分ほど休憩した。
本日最初の中村リード
 
4p目 30m 5.8 : 寝ているフェースを登り、岩頭に出る
前半菅原さんリード、後半中村リード。先行パーティーが登るのを待っていたが、横のラインでも行けそうとなり、菅原さんがルートの右のラインからの突破を試みるが、残り5mのところで黄色ロープがスタックする。その場で一度ピッチを切り、中村が黄色ロープを回収しながら赤ロープでフォローする。そこから残りを中村がリードした。途中、気が付かずに浮石にカムを決めてしまって、その岩を持ったら動いてカムが取れた。手で叩いて先に確かめるべきだった。終了点に着くととても風が強く、5mしかないのにほとんど会話できないほどだった。セカンドビレイをするときに焦りすぎて、一回セルフを外してしまった。

5p目 30m 5.4 : 岩稜を歩く
菅原さんリード。気持ちのいい岩稜歩きだった。たまにふらつくくらいの風が吹くのでゆっくり歩いた。
露出感が高い

6p目 40m 5.4 : 岩を乗り越えながら岩稜を歩く
中村リード。木々が生えた稜線を歩いた。最後に簡単なボルダーがあったがプロテクションは取らずに終了点まで歩いた。フォロー時はボディービレイで時間を短縮した。

7p目 30m 5.5 : フェースを登る
菅原さんリード。木々に囲まれたフェースを登った。

8p目 30m 5.5 : 階段状のフェースを登り、残置ハーケンがあるフェースを登る
中村リード。2つ目のフェースに時間がかかった。ホールドが遠くてあまりガバが無かったので難しかった。また、カムが入るところがほとんどなくて、残置ハーケンで落ちたくなかったので怖かった。5.5らしいが5.9はあっていいと思った。
8p目終了点より

9p目 30m 5.7 : 3mほどのチムニーを横から抜け、岩頭を左からトラバースする。
菅原さんリード。菅原さんが間違えて岩頭を直登してしまう。幸いボルトがあったようで、それでビレイをしながら中村がトラバースをする。トラバース後に、残置でロアーダウンした。
トラバースは壁が前傾していて難しかった。

10p目 30m 5.6 : 両側が切れ落ちたナイフリッジを歩き、岩稜を登る
前半菅原さんリード、後半中村リード。ナイフリッジはとても気持ちよかった。先行パーティーが何故か途中でピッチを切っていたので仕方なくピッチを切る。そこから中村がリードした。終了点は、ピナクル2つで作成した。
面白い地形

11p目 35m 5.5 : 少し下って、クラックの基部まで登る
菅原さんリード。いつもの登山道のように歩く。風でロープが木に引っかかって大変だった。

12p目 40m 5.7 : 10mほどのハンドクラックを登り、少し登る
中村リード。クラックはちょうどテラスから外れたところにあり、真下は完全に切れ落ちていた。下が怖くてリードしたくなかったが代わってくれないので、仕方なくリードする。ため息をついていたら1つ前のピッチから「ガンバー」と応援されたのでとても元気が出た。とりあえずテラスからクラックに寄りかかって1p目を取ってから登り始める。途中でパンプして落ちそうになったが、気合で登り切った。マントルにはガバカチがあった。嬉しくて大騒ぎしていたら後ろのパーティーからナイスが飛んできた。しばらく歩いてピッチを切った。ロープがめちゃくちゃ重かった。次のピッチが歩きだったのでもっと早めに切ってもよかったなと思った。
まじで怖かった

13p目 50m 歩き : 懸垂下降の支点まで歩いて下る
懸垂下降の地点に着くと先行パーティーの最後の人が下降しようとしていた。ロープを捌いていたが、ふと懸垂下降をしている人のロープを見ると何故かビレイ器と環付きが付いていた。そしてその人は素手で下降しようとしていた。大慌てで声をかけるとすぐに戻ってきてハーネスにセットして下降していった。下は崖だったので間に合ってよかったと思うと同時に、自分もデバイスの確認を気を付けようと思った。

14p目 20m 下降 : リッジを懸垂下降する
下がリッジなので振られないように慎重に降りた。支点の木が枯れていてグラグラしていたので怖かった。

15p目 35m 5.5 : 階段状のチムニーを登る
中村リード。クラックの側面にある小さなクラックでプロテクションを取りながら登っていった。セカンドビレイをするときにバックアップを取らずに残置2つでビレイしてしまった。

16p目 15m 下降 : 5mほど懸垂下降し、歩く
最初に降りた中村が懸垂下降の途中で終わったと思いロープを外してしまったがクライムダウンで降りた。

17p目 35m 5.7 : 5mほどのワイドクラックを登りフェースを登る
菅原さんリード。プロテクションが取りづらく、ホールドも悪かった。体を押しつけたりして、何とか登る。後半も悪かった。

18p目 15m 5.8 : チムニーを登る
この時点で4時半で時間がなく、落ちずに登れる自信も両者ともなかったので、ぺたぺた触って敗退することにした。思っていたよりもデカかった。
挟まって記念撮影

帰りは17p目を懸垂下降して、斜面を適当に下って登山道に復帰してテン場まで帰った。

まとめ :
今回は3回目のマルチでマルチでリードするのは初めてだったので緊張した。ピッチ数がとても多く普通のマルチと違って別の面白さがあった。プロテクションの取り方やビレイのシステム、他にもシングルピッチでは出てこないようなことがいろいろあって勉強になった。総合力を試されるようなマルチだった。特に菅原さんに比べて支点の構築やセカンドビレイの準備が遅いのでたくさん経験を積んで早くできるようにしたいと思った。あと、距離や風の影響で声が聞こえないという場面が何回かあった。今回は臨機応変に対応して何とかなったが、事前に合図を決めておいてもいいかもしれないと思った。特にビレイ解除、ロープいっぱい、登ってくださいは必要だと感じた。今回、18p目ができなかったのは自信がなかったのもあったが、時間が足りないということもあった。先行パーティーが1pごとに毎回切っていたし毎回待っていたので遅くなってしまっていた。一度に2pくらいつなげて登れていたら十分に余裕をもって18p目に取り付けていただろう。次に来るときにはもっと早く取り付くかあまり人いないときに取り付きたい。そして18p目を登れるように練習しておきたい。

(文 : 中村)